駐在妻のリアルな気持ちを知る<海外帯同配偶者の異文化適応能力についての一考察より>

今回から5回に分けて、当サイトの立ち上げメンバーでもある中原美由己(アメリカ在住)が2011年に国際ビジネス研究学会で発表した論文内の様々な調査データを出来るだけわかりやすく紹介します。

まず、第1回目は、「駐在妻のリアルな気持ちを知る」です。

 

駐在妻は、海外駐在員とは違った、駐在妻特有の様々な精神的なアップダウンがあります。たとえば、言葉の問題や生活習慣への戸惑い、海外帯同のための退職などです。海外駐在員の場合、勤務地は海外へ変われども、人間関係など大きく変わることなく、ビジネス環境での生活が続きます。一方の駐在妻は、様々な生活の変化に見舞われます。

以下は、その気持ちの変動を、「楽しみにしていた・楽しかった」、「不安だった」、「つらかった」、「大変だった」の4つの切り口で、元駐在妻を対象に行った調査結果をまとめたものです。

 

調査方法は以下の通りです。

・楽天リサーチ株式会社のネットリサーチを利用
・2010年7月23日から27日の5日間
・現在日本在住の20歳から59歳までの配偶者の海外転勤に伴う海外帯同経験者である既婚女性(元駐在妻)を対象

 

①海外帯同前に感じていた気持ち
②海外帯同中に感じていた気持ち(帯同後1~2年目、帯同期間が1年未満の方は1年未満)
③海外帯同中に感じていた気持ち(帯同後3年~帰国まで)
④振り返ってみて海外帯同から日本へ帰国後、海外での生活をどのように感じていましたか。

 

 

 

この結果、海外帯同中は、「楽しい」と感じながら過ごしている人が比較的多いことが分かりました。また、海外帯同に対して不安な気持ちを抱えながらも、時間の経過に伴い、徐々にではありますが、不安要素を克服しています。しかし、全体を通して、約2割の人が海外帯同に対して不安が払拭できない状態でした。

 

そして、つらい気持ちを抱えるのは、その人の置かれている環境や対人関係、また現地での社会的サポートなどにより大きく左右されます。帯同後1~2年は、現地でのカルチャーショックを感じる時期であることが多いため、精神的・肉体的な安定を図るためにも現地コミュニティーに参加するなど、人とのコミュニケーションが不可欠です。

さらに、海外帯同期間中を振り返ると「大変だった」と感じている人は、約4割にも上ります。海外帯同は海外での生活が前提となるため、海外生活を積極的に望んでいなかった人に対する心のケアなど、様々なサポートが必要でしょう。

 

詳細については、以下を参照ください。

海外帯同配偶者の異文化適応能力についての一考察―グローバル人材としての潜在可能性に関する研究―(中原美由己)|国際ビジネス研究 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaibs/3/2/3_KJ00007729880/_article/-char/ja/

また、論文に掲載しきれなかった数々の調査データや、駐在妻経験者へのアンケートやインタビューから得た様々な「本音」や「生の声」などを掲載している本が、Amazonで購入可能です。

『夫の海外赴任を「自分ごと」にする:グローバル駐在妻の選択―“転機”をチャンスに-』
https://www.amazon.co.jp/dp/4815006911/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1532352327&sr=1-1

も、是非ご覧ください。

今後、

第2回 駐在妻の語学力を知る
第3回 駐在妻の異文化適応力を知る
第4回 駐在妻のキャリア(仕事)を考える
第5回 駐在妻をグローバル人材に

と続きます。どうぞお楽しみに!

駐在ファミリーカフェでは、同じ悩みを抱える駐在妻同士のコミュニケーションの場として”駐在妻のオンラインカフェ”を活用していただくなど、駐在妻自身が元気に活動できるサポートを、随時行っていますので、是非ご活用ください。

 

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