海外駐在員のワーク&ライフ ~そのリアルな実態と駐在員家族に必要なサポートとは?~

帯同家族の「言語」と「子女教育」は特に不安!

「帯同家族の語学力(英語以外の赴任先の言語)」と「子女教育」はどちらも6割以上が不安であると明らかになりました。子どもの教育については、日本語力をキープできるか、日本人学校と現地校を比較、検討するほど十分な情報が集まらない、学校教育制度の理解と帰国後の進学(帰国子女受験の条件等)など、「そもそも情報がない」という要素が多いことが分かりました。

Q5.Q1.で「家族帯同」を選択された方にお聞きします。海外赴任前、ご家族に関する以下のことについて、もっとも近いものを教えてください。

「配偶者のキャリア中断が不安」という声も多い!

家族が帯同するうえでの不安に関する自由回答では、「配偶者のキャリアに不安がある」という内容の記述が最も多い結果になりました。退職によるメンタル面や帰国後の復職への影響などを不安視する声が多く見られました。

次に、子どもの教育についての不安が続き、就学先の選択や適応能力を不安に思う意見が見られました。

3番目に、配偶者の語学力についての不安が多く、生活に必要な語学力(英語・現地語)を習得できるか不安に思う意見が見られました。

また、その他、配偶者に現地で友達ができるか、海外慣れしていない配偶者が心配などの意見も見られました。海外駐在員が配偶者の生活全般について配慮していることがうかがえます。一方で、治安や介護に関する意見は少数であり、回答者の移住地と年齢が関係していると思われます。

Q6.Q5.で「不安があった」と「やや不安があった」を選択された方にお聞きします。特に不安だったことについて、教えてください。(自由記述)

※ワードクラウド分析:文章中に出現する単語の中から特徴的な単語を選び出し、図示しています。単語の大きさはどれだけ特徴的であるかを表しており、色は品詞を表しています。

<コメント紹介>

  • 妻のキャリアが一時中断してしまい、良い条件での再就職ができないのではないか。
  • 離職を伴う転居が配偶者に与える精神的な影響について。
  • 駐在期間中に配偶者が無職となることは本人の帰国後のキャリア形成の観点からも避けたいことだった。したがって、赴任先の国が帯同者ビザでも就労可能かどうかがまず一番最初に確認した点だった。
  • 配偶者のキャリアが途切れることで、普段の生活の充実感が不足し、家族間で不満が募らないか心配。
  • 妻のキャリア。家族は就業禁止という規定がある。
  • 子どもの学校への入学手続に関する不安、家族が新たな環境に馴染めるかどうかの不安。
  • 生活の大きな変化が心身にどういう影響を与えるか不安。
  • 妻も子供も初めての海外生活だったので、日常生活の言語面で不安があった。特に子供は現地校に入れるのかどうかについて。
  • 現地学校についていけるかの不安。
  • 子女教育について、現地校での英語と日本語での教育の両立をどうしていくのが子供にとって良いのかイメージできなかった。
  • 両親等の介護。
  • 現状、介護は必要ないが、何かあったらという不安。
  • 出国後に家族の病気が分かり、心配。
  • 日常生活では英語があまり通じない国のため、妻が日常生活が出来るか、また緊急事態の場合どうするか少し不安はあった。
  • 妻は飛行機が苦手で海外旅行経験も少なく、いわゆる「海外慣れ」していなかったため、引っ越し、生活、言語、ありとあらゆるものに心配があった。

帯同家族への「語学学習」と「子女教育」のサポートが求められる

「海外引っ越し」サポートは利用者の6割以上、実施は少ないものの「英語以外の語学学習」サポートについては5割以上が、満足しているという結果となりました。「eラーニング」については普及していないことが明らかになりました。

一方、「海外子女教育」サポートについては、利用者の4割以上は満足度が低い状況です。「渡航先の情報提供(紙やデータでの資料提供、ウェブサイトの提示など)」サポートがない方が3割程度、「集合型研修(海外赴任前研修)」を受けていない方が5割以上も。語学に不安がある方も多く、「語学」サポートの必要性も分かりました。

Q7. 日本側の担当部署からの以下の渡航前の帯同家族向けサポートについて、満足度を教えてください。

5割以上が海外で働くことにストレスを感じている

5割以上の回答者が労働環境の変化により、仕事で何かしらのストレスを感じていることが明らかになりました。30代ではその割合が他の年代に比べて高い結果に。原因のトップ3は、「現地スタッフとの人間関係」「時間外労働」「自身のキャリア形成」。「現地スタッフとの人間関係」は特に20代、30代、40代後半が顕著に目立ちます。20代と30代では、「時間外労働(残業・休日出勤・呼び出しなど)」、30代・40代前半で「自身のキャリア形成」が目立ちます。

他には、「言葉や文化の違い」「価値観や考え方の違い」「治安、安全面」など、日本とは異なる環境下で生じるストレスや、「業務量」「少人数での責任の重さ」「本社と現地社員との板挟み」「日本からの出張者が多く、アテンド対応に追われる」などにストレスを感じているという切実な声も見られました。

Q8. 海外で働くという、労働環境の大きな変化により、仕事にストレスを感じていますか?もっとも近いものを教えてください。
Q9. Q8. で「ストレスを感じる」と「ややストレスを感じる」を選択された方にお聞きします。それはどんなストレスですか?該当することをすべて選択してください。

仕事のストレスが家族との関係に影響を及ぼしているという声も!

仕事におけるストレスが家族関係に影響を及ぼしているというリアルな声も。時間外労働や休日出勤、自身の出張や出張者のアテンドによって、家族との十分な時間が確保できていないという回答が多く見られました。赴任中における、海外駐在員の働き方の調査やメンタル面のサポートの必要性も明らかになりました。

Q10. Q1.で「家族帯同」、Q8. で「ストレスを感じる」と「ややストレスを感じる」を選択された方にお聞きします。そのストレスにより、家族関係に影響はありますか?もっとも近いものを教えてください。

Q11. Q10.で「影響している」と「やや影響している」を選択された方にお聞きします。それはどんな影響ですか?(自由記述)

※ワードクラウド分析:文章中に出現する単語の中から特徴的な単語を選び出し、図示しています。単語の大きさはどれだけ特徴的であるかを表しており、色は品詞を表しています。

<コメント紹介>

  • 仕事に疲れていて家族との会話の集中力が続かず、喧嘩の原因となっている。
  • 特に家族の渡航直後の現地への順応期間のフォローはかなり大変だった。
  • 出張で不在が多く、妻や上の子への負担も大きく、会話が極端に減りすれ違いが多くなり、家庭崩壊の危機にも直面した。
  • 長時間労働・家にも仕事を持ち込まざるを得ず、十分な会話ができない。
  • 出張者対応や自身の出張も多く、家を空けることが多い。
  • 夕方からの電話会議等が多く、駐在先で祝日だったとしても、日本から連絡があることもあり、気分的に仕事に拘束されている時間が長い。
  • 母国語ではない環境で、仕事中の集中力を切らさないので疲れが倍くらいに感じる時があり、帰宅後に子どもと余裕を持って向き合えない。
  • 日本人は残業し、現地スタッフは定時で帰るため、業務の負担が多い。
1 2 3 4
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!