人事担当者必見!令和時代に必要な海外駐在員と家族のサポート 〜海外人事編〜第3回

コラム

今回で最後となる「人事担当者必見」シリーズ。

前回まで、令和時代の駐在妻は「キャリア志向」であることが多く、夫の海外赴任に同行することによって「キャリアの中断」に悩みがちであるという状況についてお伝えしました。

さて、最終回は「駐在妻のサポートはどうあるべきか」。

2012年から現在に至るまで足掛け7年、アジアを中心に帯同生活を送ってきた経験を元に、駐在妻向けのサポートの現状と今後の人事に期待されていることについて、駐妻カフェ運営メンバーのスパイシーAikoが語ります。

<前回記事>
第1回「変容する女性のキャリアと海外駐在員の帯同家族(駐在妻)の実態」


第2回「帯同家族(駐在妻)は何を悩んでいるのか」

駐在妻のサポートの現状について

キャリアに悩む駐在妻には、その「悩み」を共有する仲間や、相談できる専門家によるサポートが必要です。

駐在員本人は、所属先からメンタルヘルスのサポートが用意されているケースが多いようですが、駐在妻にもそのようなサポートが用意されているケースは少ないようです。

見知らぬ土地で複雑な「悩み」を共有できる仲間を見つけることはすぐには難しい。さらに、気心知れた仲間が簡単にはできない環境で、家族(夫)にも頼れない人も多くいます。

私の暮らすシンガポールでは、夫が仕事に忙殺されたり、出張で不在だったりと、夫婦で話す時間すらないという声をよく聞きます。

また、仕事やキャリアといった悩みは、個人の価値観が反映されます。似たようにキャリアに悩む人に出逢ったとしても、客観的な視点を持つ人や、過去に類似した経験を持つ人に相談しないと、「理解してもらえない」とますます悩みが深まることもあります。

現地で知り合った駐在妻にランチでもしながら「働きたいのに働けないのよ」と愚痴ったところで何も解消されない駐在妻の悩み。根本的な解決には、やはり専門家によるカウンセリングやコーチングなどが有効でしょう。

ただ、このような駐在妻を対象としたカウンセリングやコーチングの専門家は多くいるものの、残念ながらその情報にたどり着けない人も多い。

駐在妻に適切なサポートが行き届いていないのが課題です。

家族の安定があってこその充実した駐在生活。人事への期待は高まっている

これまで述べてきたように、駐在妻の「悩み」の質が変わっている中、駐在員とその家族のサポートを担当する人事部門は、そのサポートを見直す時期に来ていてるのではないでしょうか。

もちろん、「自身の意思で海外赴任に同行しているので、過剰な対応はしない」という考え方もあるかもしれません。

しかし、駐在妻はその夫である「駐在員のサポートをする」という重要な役割を持っていることから、企業にとっても駐在妻のメンタルケアが重要であることは間違いなく、少なくともどのような状態であるかは把握しておくことが必要ではないでしょうか。

また、滞在中だけでなく、渡航前にできるサポートもあります。

渡航後に駐在妻が悩みそうなパターンやそれらが起こり得るタイミングなどについて、予め情報提供することです。

そのような情報を知っておくだけでも、滞在中のメンタルヘルスに好影響があると思います。

※駐妻カフェ運営責任者 飯沼ミチエが実施している『渡航前オリエンテーション「海外生活を人生のチャンスにする5つのヒント」』は、 2018年からスタートしました。法人企業からの参加も含めて、2020年1月までに26か国約120人のプレ駐在妻が参加。「不安が解消できて前向きになれた」との感想を多くいただいています。

最後に

私が3回にわたり人事担当者必見シリーズを書いたのには、私自身が働きたいのに働けない悔しさを経験したからです。

会社は駐在妻に悪意を持っているわけではなく、むしろ海外生活への配慮をしてくれてているのは理解できます。しかし時代が変わり、これまでの認識では駐在妻の意図が理解ができず、多くの会社と駐在妻の間で、互いに納得がいかない現状になっているのかもしれません。

加えて、この歪みは会社(日本側)と駐在員との間にも見られます。日本では「働き方改革」が声高く叫ばれていますが、海外駐在員の働き方については、蚊帳の外になっているような気がしてなりません。

実際に、駐妻カフェの調査では駐在員の40%以上が「時間外労働をストレスに感じる」と回答しており、海外駐在員の働き方の改革はまだまだ進んでいない様子が伺えます。

※詳細は『海外駐在員のワーク&ライフ ~そのリアルな実態と駐在員家族に必要なサポートとは?~』をご覧ください。

人事部門は「会社と社員およびその家族」の関係性について、大きく捉え直すべきタイミングに来ているのかもしれません。

人事には、駐在員も家族もイキイキと充実した生活が送れるような令和時代のサポートが期待されているのではないでしょうか。

<前回記事>
第1回「変容する女性のキャリアと海外駐在員の帯同家族(駐在妻)の実態」


第2回「帯同家族(駐在妻)は何を悩んでいるのか」

aiko

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東京でバリキャリ後に上海・シンガポールへの夫の海外赴任へ同行。4歳の育児の傍ら、シンガポールでワーキングマザーのコミュニティ運営ボランティア活動や、ローカル...

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