海外で日本人学校から現地校へ転入しました【イギリス ・ロンドン】(後編)

お子さまの今後の学校、教育について、どのようにお考えですか?

イギリスに来る前は「画一的だ」と批判的にとらえていた日本の教育の優れた点を、イギリスでの教育を経験したことによって、再確認することができました。

例えば、日本の学校では「子どもたちの能力をある一定のレベルまで、等しく引き上げる」という社会的な努力がなされていることです。

子どもたちが通っていた現地校では、体育が週に一回しかなく、日本人から見ると遊びの要素が多い内容でした。日本のように跳び箱を指導したり、短距離走のタイムを計ったりという「競技」を教えるということは、少なくとも子どもが通う小学校ではなかったように記憶しています(イギリスは中学校になるとガラリと厳しくなるので、また様子が変わるかもしれません)。

また、イギリスでは子どものあるがままを伸ばすという価値観で、子どもをよく褒めます。そこからさらに頑張って自分を高められるか、現状に満足してしまうかは個人、そして家庭の意識と努力にゆだねられていると感じました。

その点、日本は社会として「子どもは最低限ここまでできるようにする」という共通目標があります。学校がその能力獲得の大きな役割を果たしていると気づきました。

そのため英語はもちろんですが、子どもたちにはまず、日本での定められた勉強をしっかりやってほしいと思っています。

その上で、将来自らの意思でまた海外へ行ってみたいと思うようになったときには、大いに応援したいと思っています。

これから海外で学校選びをされる方にメッセージをお願いします。

「海外での時間をどのようなものにしたいか」という気持ちを家族で共有した上で学校選びをすると、その選択やそこで過ごす時間に納得ができるのではないかと思います。少なくとも我が家の場合は、この「目標の共有」が大きな助けとなりました。

滞在国によっても、子どもの希望や性格によっても、最善と思われる選択肢は異なると思います。実際に現地校での時間が長く、日本に戻るときのことを心配されている方もいらっしゃいます。万能な選択はないように感じます。

周りの選択はあくまでも参考程度にとどめ、家族で方向性を共有することが大切だと思います。迷ったら自分だけで抱え込まず、子ども本人を含め家族で話し合って答えを探っていけば、どんな経験からも必ず得るものはあると感じています。

あとがき

現地で二人のお子さんが進学や転入を経験する中で、いつもいちばん近くで見守っていたT.O.さんにも、様々な不安や迷いがあったことと思います。

それらを乗り越えてきたT.O.さんが語る「家族で気持ち、目標、方向性を共有することが大切」という言葉に、私自身も家族との向き合い方について考えさせられました。

T.O.さん、貴重な体験談をありがとうございました!

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