きっかけは、ひとりのプレ駐在妻が声に出してくれたひとつの問い。
“What do you do(何をしていますか)?”
駐在妻の経験がある方なら、だれもが一度は、この問いを投げかけられたことがあるのではないでしょうか。
私たち駐在妻は、一人ひとりがそれぞれの環境で、様々な思いを抱えながら帯同生活を送っています。
“仕事をしているわけじゃないからー”
“専業主婦としての自分が、どこか後ろめたいからー”
“あきらめたキャリアがあるからー”
“まだ生活のペースをつかめていないからー”
“自信を持って言えることがないからー”
周囲の人からの何気ない“What do you do?”は、私たちに多くのことを投げかけてきます。
ひとりのプレ駐在妻が声に出してくれたこの問いをきっかけに、運営メンバーから様々な声があがり、座談会が開催されました。
座談会で語られたメンバーの体験談とその想いを綴ります。
“What do you do?”と聞かれたらなんと答えていますか?
住んでいる国や地域により、駐在妻に対する印象や、“What do you do?”に込められた意味が異なることがわかりました。また質問をする相手によって、駐在妻である私たちの受け止め方も異なってくるようです。
アメリカはボランティアが活発です。VISAの関係で、駐在妻の就労が難しいことは周知されているので、あまり回答に困ることはありませんでした。ボランティアについては、渡航前からやりたいと思っていたため、積極的にやりたいという旨を自ら周囲に発信していました。
渡航前に日本で専業主婦として過ごしていた時は、何をしているか聞かれると少し辛かったです。マレーシア渡航時には、聞かれることに抵抗がなくなってきていたので、このように答えていました。
中国ではインドアで過ごす人が多く、また人目を気にせずに自分の好きなことをする人が多いと感じるので、”何か特別なこと”をしていなくても大丈夫だと思えるようになりました。逆に日本にいる人や、出張などで日本から来た人に「何をしているの?」と聞かれたときに、答えに困っていました。
時間・お金・労力をかけてまでしたいことが見つかりませんでしたが、現在は駐在ファミリーカフェでの活動や日本語を教えるボランティアをすることで、その活動について話せるようになりました。ボランティア活動をすることで、誰かのために働いている喜びや新しい経験が得られ、新しい人間関係も築けるので、とてもよいと思っています。
シンガポールで帯同家族が持つVISAは現地就労が可能なものでしたが、私は「就職」という選択肢を取りませんでした。しかし日本で長く仕事をしていたため、渡航してすぐのころはアイデンティティロスがありました。
徐々に、ボランティアや自分が楽しいと感じること、現地でしかできない習いごとを始めました。ボランティアをやってみると楽しく、新しい自分を見つけることができました。ボランティア仲間とは今でも繋がりがあります。
上海は日本人が多く、駐在妻は働くことができないと周知されているため、駐在妻向けの習いごとがたくさんあります。そのため、現地の人から「何をしていますか?」と聞かれるときは「何の習いごとをしていますか?」というニュアンスが多いです。
しかし、日本にいる人からは “専業主婦だよね?暇だよね?”という前提をもって「何をしているの?」と聞かれるため、今でも卑屈になってしまいます。
“What do you do?“の問いに対して、ネガティブな感情を抱いた経験のあるメンバーがほとんどでした。
アイデンティティロスや様々な葛藤に悩みながらも、少しずつ自分がやりたいことや楽しいと思えることを見出し、ボランティア活動や習いごとを始めたメンバーたち。
その新しい経験が、新たな人間関係の構築のきっかけとなり、駐在生活がより充実したという意見がありました。
では、それらの活動はどのように始めればいいのでしょうか。