4.帰国後の就業に向けて利用できる制度やサービスを知る
帰国後の就業を目指す場合、あらかじめ利用可能な制度やサービスの概要を知っておくことで、漠然とした不安が減り、実際の手続きがよりスムーズになると思います。ここでは、渡航前まで雇用保険に加入しながら働いていた方が一定の要件に該当した場合に、退職後に受けられる2つのタイプの給付の概要を紹介します。
■「基本手当」
雇用保険の「基本手当」(いわゆる失業手当)は、求職活動を行う間の生活保障という位置づけになります。帰国後に利用を希望する場合は、少なくとも以下の点に注意してください。
- 退職時に会社から受け取る雇用保険に関する書類一式(「離職票」など)は、基本手当の手続きの中で必要になりますので、大切に保管しておきましょう。
- 基本手当を受けられるのは原則として退職の翌日から1年間ですが、家族の海外赴任への同行などの特別の事情がある場合は、退職後すぐに就職活動ができないため、申請を行うことで退職の翌日から最大4年間まで受給期間を延長することができます。この期間を過ぎてしまうと、基本手当は受けられなくなります。
- 延長申請は、退職の翌日から仕事に就けない日が継続して30日を超えた日以降、お住まいの住所を管轄するハローワークで行うことができます。郵送や家族などの代理人による申請のほか、一時帰国時などに自分で行うこともできます(早期の申請が原則ですが、延長後の受給期間の最後の日までの間であれば申請が可能です)。手続きには、退職時に会社から受け取る雇用保険に関する書類の他に、延長理由を証明する書類(家族の海外赴任の辞令のコピーなど)も必要になります。
- 帰国後は、延長申請時に受け取った「受給期間等の延長通知書」とそこに記載されている必要書類など(帰国の証明となる辞令やパスポートなどの提示が求められる場合があります)を準備し、ご自身が直接ハローワークに出向いて延長解除申請と求職の申込みを行う必要がありますので、これらの書類を大切に保管しましょう。
*ハローワークによる基本手当の詳細情報はこちら
■「教育訓練給付」
雇用保険の「教育訓練給付」は、仕事に関連するスキルの向上や資格取得を目指して既定の講座(通信教育も含まれます)を受講し修了した場合に、支払った費用の一部が給付金として支給されるものです。給付金は支援の目的や受講する講座などによって以下の3種類に分かれ、支給額や申請のタイミングが異なります。要件を満たせば退職後であっても認められ、給付の対象となる期間も上で紹介した基本手当の受給期間の延長手続きを行うと一緒に延長されます。対象講座や給付を受けるための要件、手続き方法などが細かく決まっていて、変更になることもありますので、詳細・最新の情報は必ず厚生労働省のWebサイトやハローワークの窓口などで確認してみてください。また、ハローワークにて「支給要件照会」を行うことで、自分が給付を受けられるかどうか、希望する講座が給付の対象となるかどうかを確認することができます。
給付金の種類 | 一般教育訓練給付金 | 専門実践教育訓練給付金 | 特定一般教育訓練給付金 |
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支払った教育訓練経費に対する給付割合と上限額 ※全て4千円以上の経費が対象 | 20%相当額 (上限10万円) | 受講中50%相当額 (上限は受講期間により40~120万円) ※一定要件を満たすと追加支給の場合もあり | 40%相当額 (上限20万円) |
申請のタイミング | 講座修了後1か月以内 | 講座開始1か月前まで、 受講中、 講座修了後1か月以内 | 講座開始1か月前まで、 講座修了後1か月以内 |
※2020年12月時点の情報です。
※基本手当も教育訓練給付も、面接や講座受講のために保育サービスを利用した場合、状況によってその費用の一部が補助される場合もあります。
5.具体的な就職活動の準備を行う
本帰国前後の具体的な仕事探しの要となるのは、やはり「これまでの経験と現状のスキルを再確認し、希望するキャリアの方向性を決める」ことです。併せて、再就職にあたって譲れない条件や実現したいこともあらかじめ具体的にしておきましょう。これらの情報を再就職活動の「軸」として仕事探しや選考に臨むことで、自己PRの内容に一貫性が生まれ、企業側への説得力も高くなるはずです。そして最終的に自分でも納得感を得られる再就職活動になるでしょう。先輩駐在妻の体験をまとめた以下のキャリア体験談もぜひご覧ください。
細かいノウハウやテクニックなどは、サイト検索や本などで簡単に見つけることができ、後から身につけることも可能です。⑪再就職のサポートや手続きについての情報を集めよう!では、実際の再就職活動の際に受けられるサービスや支援などを紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください。
皆さんの帰国後の再就職や仕事についての不安が少しでも減り、具体的な行動をするきっかけやヒントになれば幸いです。
◆以下の他にも、帰国後の就業を視野に入れながら積極的に活動された方々の体験談はまだまだあります。ぜひご覧ください!
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