【帰国後インタビューvol. 8】妻の海外赴任「おめでとう!」迷わず決めた駐夫の道

駐夫さんインタビュー第2弾!*

今回は同じ会社に勤務するご夫婦で、夫が帯同休職制度を利用して妻の海外赴任に同行したケースをご紹介します。同行を決めるのに「全く迷いはなかった」と言い切るKさん。アメリカでの2年間の駐夫生活を経て、現在は以前と同じ会社に復職されています。同行を決めた経緯や海外滞在中の過ごし方、家族と暮らすことへの想いについて語っていただきました。

*駐夫さんインタビュー第1弾「 夫になって直面した「男の甲斐性」というしがらみ ~昭和生まれの政治記者が駐夫になった場合~」 もぜひご覧ください。

妻が念願の海外赴任 迷いなく同行を決意

-まずは駐夫となるまでの経緯を教えて下さい。

同じ会社に勤める妻から「海外赴任になりそう!」という話を聞いたのは、いつものように家で晩ご飯を食べている時でした。夕飯時は大体毎日のように会社での愚痴を聞いているので(笑)、その流れの1つだったと記憶しています。

海外で働きたいという彼女の夢は結婚する前から知っていて、その夢を応援していました。なので、海外赴任の話を聞いた時は素直に「おめでとう!」と思いましたし、本人にもそう伝えました。私はその時すでに同行する意思は固まっていたと思います。

-同行を決めるまでに、迷いや葛藤はなかったのでしょうか?

同行することに、ハッキリ言って迷いはありませんでした。当時の私は上司との折り合いがあまりよくなく、仕事に対してのモチベーションがものすごく低かったのも要因だったと思います。どこかで今の状況をリセットしたいとも考えていました。

同行を決めたのは私の意思です。彼女からは「一緒に付いて来てほしいけれど、最終判断は任せる」と言われていました。

そのときの周囲の反応がさまざまで面白かったですね。私の直属の上司は「行く必要があるのか?」と否定的でしたし、彼女の上司からは「ぜひとも一緒に行ってサポートしてほしい!」と言われました。しかも、一度ではなく何回も同じような話し合いの場が持たれました。

いろいろな人たちからそれぞれ話を伺いましたが、やはり仲良くさせていただいている先輩から、「家族は一緒の方がいいよ」と言ってもらえたのはとても嬉しかったですね。

でも実は、実家の家族には帯同休職することは伝えられませんでした。あまり賛同を得られないことが何となく分かっていたので、あえて伝えなかったという表現が正しいかもしれません。

―もしも帯同休職制度がなければどうしていましたか?

帯同休職制度がなかったらと思うとゾッとしますが、会社を辞めるという選択肢はなかったと思います。国内の単身赴任と同じような感じで、大型連休に会いに行くような感じになったかもしれません。

―休職制度の採用が広がってきたとはいえ、取得する男性はごく一部で、実態としては女性が休職、もしくは退職して同行するケースがほとんどです。

考え方は人それぞれなので、これといった答えはないと思いますが、今は女性が活躍する時代なので、男性が休職するということを躊躇する必要はないと思っています。うちの会社の場合、帯同休職制度の利用は夫婦ともに社員であることが条件というのも(休職制度を利用する男性が少ないという)背景にあるとは思いますが、もっと積極的に男性も活用すべきだと思います。

―渡米後はどのように日常を過ごされていたのでしょうか?

平日は基本的に朝6時半頃に起きて妻のお弁当を作り、飼っていた犬の世話をして、彼女が出社する頃に一緒に家を出て30分くらい散歩をします。そして自分の朝ご飯を食べて、ニュースを軽く見ます。

午前中は英会話の学校に通っていました。午後は買い物をしたり、家に併設されているジムに行って汗を流したりした後、17時くらいに犬の散歩をしてから晩ご飯の準備をするといった感じです。その他の空き時間は、ベランダで日向ぼっこをしたり、昼寝をしたりと自由な感じで過ごしてました。

―家事の分担はどうしていましたか?また、日本では未だ家事は女性が中心的であるのが現実ですが、専業主夫を経験してみて家族のあり方についてどう思いますか?

家事は基本的に100%私がやってました。専業主夫でしたし、子どもがいなかったので、全部やることは苦ではありませんでした。はじめての専業主夫体験でしたが、なかなか貴重な体験をさせてもらったと会社には感謝しています。

私自身がそのような考え方を持っていないので、一般的に言われているような、「女性が家事をやるべき」という考え方は私には理解できませんね。

キャリアの不安より、貴重な経験への感謝

―駐在妻の間では、自分が仕事を休んでいる間に順調にキャリアを積んでいるパートナーに対する嫉妬や焦りといった感情が湧くという話を聞きます。滞在中、相手に対する感情の変化などはありましたか?

嫉妬や焦りという感情はまったくありませんでした。むしろ、「こんな生活をさせてくれてありがとう!」という感じでした。仕事をせずに海外で主夫経験ができるなんて、めったにできないことですから、感謝しかないです。

また、日本にいた時より通勤時間が短くなったので、夫婦の会話がより増えたと思います。私の場合、会社の婦人会などに参加してなかったので、周りの奥様方の気持ちに影響されないのも大きかったかもしれません。周りの状況がまったく分からないというのも、いい面があるのかもしれませんね。

一方で、それまで自分のものは自分で買っていたので、収入がなくなったことで少し引目を感じることは確かにありました。でも、夫婦が対等であるという考え方に変わりはなかったです。私に物欲があまりないということが影響していたのかもしれませんが。

―海外滞在中、ご自身のキャリアや復職後の仕事について不安に感じることはなかったのでしょうか?

自分のキャリアに関しては、あまり深く考えていなかったというのが当時の心境です。それは「休職してしまったので、もう出世は難しい」というような考えではなく、「会社から海外に行かせてもらえた」とポジティブに考えていました。キャリアは復職してバリバリ働けばなんとでもなると思っていました。それに、社内ではまだ帯同休職制度を利用したケースが少ないので、「制度に関して参考になる話ができたら役に立てるかもしれない」という風に考えていました。

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