4.漢方
漢方はアジア圏では比較的処方を受けやすく、個人で手に入れることもできます。
ただし、漢方は
・生まれつきの体質(大きく6つに分類)
・現在のホルモンの分泌量
・体調
などによって、処方される種類や分量、配合が変わります。
そのため、服用をはじめる場合、医師や漢方の専門家に相談して、状態をチェックしながら体に合ったものを選ぶことがおすすめです!
また漢方は徐々に効果が出てくるため2〜3ヶ月飲まないと効果の判定ができません。なので、一度飲み始めたら自己判断で中止しないというのも大事なポイント。
ちなみに処方された漢方薬が同じだったとしても、一人ひとり体質は違うため、効果には個人差があります。
現在は規制緩和により、薬剤の種類によっては長期処方が可能になっているものもあります。
そのため、一時帰国の際や出国前に多めに処方できないか、医療機関に相談してみるという方法もあります。
その際には合わないものを大量に持っていっても仕方がないので、合うものを見つけてからにして下さい。
※各国への持ち込み方法や規制に関しては、念のため各自でご確認ください。
【婦人科領域でよく処方される漢方薬】
●冬季芍薬散(トウキシャクヤクサン)
月経痛、PMSや月経困難症に対して。毎日内服することも可能。
●芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)
非常に痛みが強い時には頓服的に内服する。
●桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
重い月経痛や経血量が多い場合。
(※あくまで一般的な処方の場合と内服の頻度です。医師に処方された場合はその用法用量をお守りください。)
またこれらの漢方に含まれる生薬を独自に配合し直したサプリメントが前述の”命の母”です。含有量は少ないんですけど、婦人科で出される漢方と生薬の成分が似ています。
ただ効果が出るまで時間がかかるため、自己判断で内服を中止する方も多くいます。即効性は低いですが、2,3ヶ月くらい飲んでいるとじんわり効いてくるため、途中で止めずに、様子を見ることも大切です。また、稀ではありますが、漢方薬による肝障害を起こすこともあります。内服中は定期的なチェックをすることをおすすめします。
5.ピル
現在の医療現場ではPMSの改善の第一選択として低用量ピルが挙げられています。
しかし、日本ではピルの保険適用は月経困難症と子宮内膜症に限られていて、PMS・PMDDは保険適用外です。
※加入されている保険によって異なるため、各自ご確認ください。
日本ではピルの使用に不安を感じる方も多いようで、今回もピルに関して多くの質問が寄せられました。下記の表から分かるように、日本や中国といった東アジアではピルを服用している人が圧倒的に少ないです。
【世界のピル使用率】
・フランス:33.1%
・カナダ:28.5%
・ノルウェー:25.6%
・イギリス:26.1%
・タイ:19.6%
・アメリカ:13.7%
・ベトナム:10.5%
・マレーシア:8.8%
・日本:2.9%
・中国:2.4%
(参照:Contraceptive Use by Method 2019)
日本のピル使用率が低い理由は、日本では”ピル=避妊の薬である、副作用が強い”というイメージがあり、その上、保険適用の範囲が限られているためだと言われています。
けれどピルはPMS・PMDD・月経困難症の治療に対して効果があると医学的に証明されていますし、海外在住の皆さんは現地で処方されることもあるでしょう。
そのため、ピルに関して正しい知識を持つことが大切です。
そういった点で海外の医師は経験が多いので、たくさんの種類の中から皆さんの体にあったものを処方してくれる可能性は高いです。
50年ほど前、日本にピルが入ってきた頃は、高用量のピルが一般的で、胃腸障害や血栓症といった副作用が多く報告され、それがイメージとして定着してしまいました。現在では、高用量ピルは使われていません。
ピルの副反応で一番避けたいのが血栓症です。割合としては少ないですが、血栓ができてしまった場合、肺塞栓症・静脈内血栓症などが起こる可能性があります。これは、血管が詰まって必要な臓器に血が届かなくなってしまうという非常に怖い病気で、放っておくと死に至ります。
それ以外ではあまりデメリットはないと言っていいでしょう。
しかし、今はピルを飲んでいる方が妊娠を希望し内服を中止した場合、妊娠する確率は98~99%と言われています。
またホルモンの配合方法によって一層性と三層性という分け方もあります。
一層性とはエストロゲンとプロゲステロンが入ったものを一定期間飲んで、飲み終わった瞬間に生理を起こすっていうシンプルなタイプのもの。女性ホルモンの濃度はずっと同じです。
一方、三層性はエストロゲンとプロゲステロンの濃度を三段階に変えています。濃度を変えることで、体の中で従来の女性ホルモンサイクルと同じような状態を作り出します。
海外では三層性のピルがよく処方されています。
けれど20年以上経ち、ピル自体も改良されているので、より安心して内服できます。妊娠出産の回数が少なくて、常に女性ホルモンサイクルに体を翻弄されている現代女性にとっては、ピルの内服は体を休めるチャンスになります。
6.代替医療
アロマセラピー、ハーブ療法、ホメオパシー、ナチュロパシー、音楽療法などがあります。アーユルヴェーダも非常に有用な伝統医学のひとつです。自分がリラックスできる状態に持っていくのが代替医療のポイントです。