海外で現地幼稚園に通っていました【アメリカ・ニューヨーク州ニューヨーク市】前編

セントラルパークで寝転ぶ人々。

アメリカ・ニューヨーク州ニューヨーク市でお子さんが現地プレスクール日系幼稚園日本語補習校に通った、Kさんへのインタビュー(前編)です。学校の選び方、通わせてみてよかったことなどについてお聞きしました。 

自己紹介をお願いします。

Kです。2018年からアメリカNY州に住んでいます。

お子さまはどのような幼稚園・学校に通っていますか?

2018年9月に現地プレスクールに入園(2歳)
2019年4月から2022年3月まで日系幼稚園の土曜補習校にも通学(3歳〜6歳)
2019年9月にモンテッソーリ系プレスクールに転園(3歳〜6歳)←前編はここまでの学校選びについて
2022年9月からインターナショナルスクールに在籍中(1st Grade〜現在)

その選択をされた理由をお聞かせください。また、いつ頃から考え始めましたか?

現地プレスクール(1校目)

渡航してすぐ物件探しと並行して、プレスクールを見学しました。
私が住む地域では、義務教育前の学校の選択肢はデイケア(日本でいう保育園の位置付け)・プレスクール・公教育に準ずるPreK(Kindergartenの1年前の年齢より開始)の3つの選択肢があります。子どもは渡航時2歳過ぎでPreKの選択肢はなかったため、すぐに通うことができるプレスクールとデイケアをいくつか見学しました。

日系幼稚園の日本語補習校

現地プレスクールの年度初めは9月で、6月〜8月は夏休みです。
渡航後自宅に入居できたのが夏休み中だったため、ずっと子どもと2人きりの生活が続いていました。そんな時自宅近くに日系幼稚園を見つけ、夏休みの間親子教室に通ってみました。
当初駐在期間は3年程度と言われていたので、日本語力の維持は絶対不可欠だと夫婦ともに考えていました。家庭では日本語での会話ですが、家庭以外でも日本語や日本文化に触れる機会を作っていきたいと考えていました。
夫は帰国子女だった自分自身の経験から、「平日は現地校・週末は補習校」という選択肢を当然だと考えていたようです。

N Y博物館にて。渡米したての長女2歳。
N Y博物館
渡米したての長女2歳。
近所のプレイグラウンドシリーズ② マンハッタンは意外と公園が多い。
近所のプレイグラウンド
マンハッタンは意外と公園が多いです。

どんな情報を参考にされましたか?実際に見学する機会はありましたか?

現地プレスクール

物件探しと並行して、実際に子どもと一緒に見学しました。
情報としては学校のウェブサイトを参考にしましたが、ウェブサイトから受ける印象と、実際の学校の様子は想像以上に乖離があると感じました。また、子ども自身が感じた印象も大切にしました。
転園に関しては、初めに通ったプレスクールが*ISAAGNYという組織に所属しており、同じくISAAGNYに加盟している近隣のプレスクールを何校か紹介してもらいました。その中で1校見学に行ったところ、とても印象が良かったのでその学校に決めました。

ISAAGNY(Independent Schools Admissions Association of Greater New Yorkの略称)

ズバリ、何が決め手となって、その幼稚園・学校を選びましたか?

現地プレスクール(1校目)

日本では自宅保育でしたが、外遊びの団体に参加していたので、同年代の子ども同士でのコミュニケーションには慣れていました。そこでの活動の様子から、友だちや大人と会話でのコミュニケーションを取ることが好きな様子が見受けられたので、英語に慣れていない間は少人数保育の保育施設がいいと判断しました。
プレスクールは子ども8人に対し、常に先生が3人いるという手厚いフォロー体制でした。
また、見学の際に子どもが活発に発言したり、小さいながらも園庭や体育館があったこと、人種に偏りがなく、家庭で英語以外の言語を話しているクラスメイトが多いと聞いたことも決め手となりました。

現地プレスクール(2校目)

AMSに所属しており、モンテッソーリ教育をきちんと導入している学校であること、見学時に子どもが自ら夢中で遊びはじめたこと、生徒・先生・スタッフの人種が多様であったことが決め手となりました。
他には、施設は決して新しくはなかったけれどきちんと整理整頓されており、片側一面が大きな窓になっていて教室が明るかったこと、挨拶をしてくれた生徒たちがとても礼儀正しく好印象だったことなども理由です。
(Greeterという役割があり、教室に訪問者が来た際に自己紹介と挨拶をすることになっていることを、見学の際に説明を受けました。他にはSweeper、Bag helper、Teacher helper、Line leader、Bell ringerなどがあり、週ごとに立候補制で役割分担をします。)
過去に通っていた日本人家庭を紹介してくれて、疑問があれば日本語で質問できるよう取り計らってくれたことも、好印象でした。

AMS(American Montessori Societyの略称)

日系幼稚園の日本語補習校

先生方が熱心で一人ひとりに丁寧に対応してくださること、まだ体力のない我が子にとって出来るだけ通学の負担が少ない徒歩圏内にあることが決め手となりました。
夏休み中に親子教室に通ったことで、慣れない海外生活において、親子ともに家族以外と日本語でコミュニケーションを取れる場所の存在が今後大切になると痛感しました。そのため、夏休み以降もアフタースクールやイベントなどに継続的に参加し、翌年に子どもが年少になった年から日系幼稚園の日本語補習校(土曜日)に通い始めました。

実際に通わせてみて、よかったことは何ですか?

現地プレスクール(1校目)

1クラスの生徒数が少なかったので、子どもが比較的すぐに先生方やクラスメイトと打ち解け、楽しく通うようになったことです。また、親が参加するイベントが多かったため、スクール内での子どもの様子がよく分かったり、DiwaliやChinese New Yearなど日本では馴染みのなかった民族的な行事に親子ともに触れる機会が多かったことも良い経験となりました。
この時クラスメイトだった家族とは1年だけしか同じ学校には通えませんでしたが、今でもプレイデートをしたり、家族ぐるみでお付き合いを続けています。そういった付き合いができる現地の友人と出会えたことが、私たち家族にとって何よりも大きいと感じています。

現地プレスクール(2校目)

モンテッソーリ教育が子どもにとても合っており、自分のペースで英語の読み、書き、算数、文化教育に触れられたことが、その後の学びにも繋がっていると感じています。
未就学児のうちに、フォニックスやsight wordsを子どもの習得のペースに合わせて丁寧に向き合ってもらえたことで、小学校から移ったインターナショナルスクールで先生方に「日本人家庭でどうやってここまできっちり習得したんですか?」と聞かれるレベルにまでなったと思います。

また、モンテッソーリ教育では「大きなところから小さなところへ」という見方でアプローチしていきます。
例えば、自分たちが今住んでいる地球について考える時、宇宙から始まり、太陽系→地球→世界の大陸→アメリカと視点を移していきます。
初めは幼い子どもが理解できるのだろうかと思いましたが(モンテッソーリに限らず、アメリカでは子ども向けの本や教材などでも宇宙や太陽系を扱っているものは一般的だと思います)、大きなところから捉えることで、子どもが「地球に住んでいる人間は、民族や宗教の違いに関係なく、皆地球という同じ惑星に住んでいる仲間」という捉え方をしていることに気付き、ハッとしました。

勿論スクールで学んだことだけではなく、今生活している環境がとても多様性に富んでいるということも影響しているとは思いますが、自分の身の回りから発展して違いを知っていくのではなく、逆から知ることの意義を痛感しました。自分と人との差異を感じた時に「違うから仲良くできない」という発想ではなく、「違うのは当たり前。違うから面白い。でも皆地球に住む人間だし、それ以外にも共通点はたくさんある。」という理解をしていることが、ポジティブな意味で今後の人生に大きく影響すると感じています。

日系幼稚園の日本語補習校

家族ぐるみで付き合うことができる友人ができたこと、継続的に日本文化に触れる機会ができたこと、幼稚園時代に平仮名・カタカナなど読み書きができるようになったこと、家庭で「日本語の課題に取り組む」習慣ができたことなどが挙げられるかと思います。

プリスクールの廊下には子どもたちの出身国の挨拶が。
プレスクールの廊下には子どもたちの出身国の挨拶が飾られています。
プレスクールの子どもたちのArt作品。

期待や予想と違っていたことはありましたか?

現地プレスクール(1校目)

通いはじめて5カ月で、何の前触れもなく年度末(=その年の6月上旬まで)閉園の知らせをを2月に受け取ったことです。
当時私は第二子を妊娠中で体調がよくなかったのですが、短期間で次のスクールを決めねばならず、家族全員かなりストレスがかかりました。毎晩遅くまで夫と話し合いました。今思えばそこまで深刻に捉えなくても良かったのですが、子どもが学校に慣れてきたタイミングだったので、かなりショックでした。
そのお陰で当時のスクールの保護者とも積極的に交流するようになったり、その後素敵なプレスクールにも巡り合えたりしたので、結果的にはプラスの経験となりました。

日系幼稚園の日本語補習校

年少の4月〜6月は平日プレスクールは週3午前中のみ通っていたため、補習校に通っても体力的な問題はありませんでした。しかし平日週5で通いはじめてからは早生まれの娘にとっては、予想以上に体力面で厳しかったです。
また、「日本文化や行事に触れさせる機会を作りたい」と思い補習校に通わせることを決めたのですが、年少の終わりからコロナ禍となってしまい、オンラインに切り替わることに。
通学ができるようになってからも、行事は縮小傾向だったため、日本らしい季節行事やイベントに触れる機会が少なくなってしまいました。

日本との違いで戸惑ったことがあれば、教えてください。

現地プレスクール(1校目)

スナックタイムに果物などの軽いおやつを提供してくれるのですが、食べきれなかった際はゴミ箱に捨てることを先生が促します。通い始めた頃は、日本との文化の違いに戸惑いました。子どもも同様だったようで「家に持ち帰ってお母さんにあげたい。」と、どうにか意思を伝えたようです。
お迎えの際に先生に「そんなことを言われたのは初めてだったけど、日本の文化なの?まだ食べられるものを捨てないというのは素晴らしいことね。」と言われました。

現地プレスクール(2校目)

Show&Tell※が3歳からあることです。

幼い頃から自分の意見を言ったり、人前で自分の好きなものや興味のあることについて発表する訓練を積むことの大切さを知りました。英語がままならない初めの頃は練習が大変でしたが、そのうち「自分で考えて話せるから家で練習しなくてもいいよ。」と子どもに言われるようになり、英語習得の早さに驚きました。

※「クラスメイトの前で、自分の好きなものや興味のあること、最近のできごとについて発表すること。その後、クラスメイトや先生からの質問に答えたり、感想を聞いたりします。」

親と先生の面談ではとにかく長所を伝えてくれることです。

できることやクラスメイトとのやり取りで素晴らしい点、普段取り組んでいる課題やアートの作品などの実物を見せながら、とにかくポジティブなフィードバックをしてくれます。渡米直後はどうしてもできないことに目がいってしまい、「夏休み中にどんなことを家庭でサポートしたらいいですか?」「あまり文字を書きたがりませんが、どうしたらいいですか?」など質問をしていました。
日本との考え方の違いやモンテッソーリ教育についても自ら学ぶことで、私自身の捉え方が変化しました。最初の頃は先生方を困惑させる質問ばかりしていただろうなぁと思います。

入園・入学・転入前に、お子さまは必要となる言語の学習はされましたか?

特にしていません。
ただ、乳児の頃から日本で英語のベビーサイン教室(米国手話に基づいている)とsing along fun(英語の歌を歌いながら英語に慣れ親しむクラス)には週一ペースで通っていたので、英語を聴くのがまったく初めてという状態ではありませんでした。渡米時に幼児向けの歌や簡単な英単語を知っている程度でした。

入園・入学・転入前に、語学学習以外でやっておいてよかったこと、やっておけばよかったことがあれば、教えてください。

上の質問で回答しましたが、英語にわずかでも触れていたことは、「言語も分からない。知っている人もいない。母子分離も初めて。」という初めて尽くしの娘にとっては良かったと思います。知っている英語の歌を幾つかプレスクールで歌ったそうで、帰宅後嬉しそうに話してくれました。

お子さまは、日本語の学習、日本語での教科の学習を継続していますか?どのようにして学習しているか教えてください。

幼稚園年少から卒園まで3年間、日系幼稚園の土曜補習校に通っていました。
小学校入学以降は、日系塾と公文に切り替え、毎朝家庭学習をしています。
その他、日本から参考書を取り寄せて、週末や長期休みを中心に自宅学習をしています。
また、日本語の絵本の読み聞かせには、かなり時間を割くように努めています。近くの図書館で日本語の絵本を借りたり、一時帰国時やオンラインで絵本を購入しています。我が家の一時帰国の際の購入品は、毎回半分以上が絵本と児童書です。
年齢が上がるにつれて自分でも読めるようになりましたが、読み聞かせはずっと続けています。小学校にあがった頃からは、娘が興味を持ちそうなジャンル(ハーブ、魔法使い、鉱石など)のシリーズものの児童書を購入しています。最近は英語の方が優位になってきたため、英語で読んだ本の日本語訳版を読むということもしています。

補習校卒園式
コロナ禍で親は参列できず、Zoomで参加しました。

幼稚園・学校選びについて、お子さまとはどのような相談をされましたか?また、通われたお子さまの感想はいかがですか?

当時2歳数カ月とまだ幼かったため、学校選びに関して事前の相談はとくにはしませんでした。
ただ学校見学には必ず子どもを連れて行き、そこでの娘の様子をよく観察し、見学後には感想を聞くようにしました。
実際通ってみて、最初のプレスクールでは慣れるまでに時間はかかりましたが、友だちができてからは楽しく通えていました。また、スクールでの日々の出来ごとや行事の話など楽しそうに事細かに話してくれるようになり、親としては安心でした。
その後転園したモンテッソーリ系のプレスクールでは、異年齢クラスの最年少の1人でした。年上の子どもたちにお世話をしてもらう毎日だったようです。
英語のリスニングやスピーキング力もついてきていたタイミングだったため、帰宅後に毎日詳しい話を聞かせてくれました。また制作したクラフトや取り組んだ活動の成果物(モンテッソーリ教育では「おしごと」と呼ぶ、子ども一人ひとりの発達や興味に合わせた活動をします)を持ち帰ってきて、とても熱心に説明してくれていたので、学校で一生懸命に活動していることがよく分かりました。娘自身も毎日学校で様々な活動をしたり、友だちと遊ぶことを楽しみにしていました。

ブルックリンから見たマンハッタンの眺め。
ブルックリンから見たマンハッタンの眺め。
近所のプレイグラウンドで初めて出来た現地の友だちと。
近所のプレイグラウンドで初めて出来た現地の友だちと。
運営メンバー H

前編では、現地プレスクールと日系幼稚園の日本語補習校に通ったお話を伺いました。後編では、現在通っているインターナショナルスクールについて伺います。

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