パートナーの海外赴任を機にキャリアを一度中断せざるを得ず、帰国後の再就職や、将来のキャリア形成に悩んだり不安を感じたりする方も多いのではないでしょうか。
また、同行生活を経験してキャリアについての考え方が変化することもあると思います。
私たち駐在ファミリーカフェのメンバーも同じように、キャリアに関する不安や悩みを抱えています。
そこで今回の記事では、現在海外に在住している運営メンバーに「駐在同行を経験した後の再就職へのモチベーション」や「駐在同行を経験して変わったキャリアへの考え方」などについて語ってもらいました!
メンバープロフィール
①滞在地域について、②これまでのキャリアについて、③今後のキャリアについて
■Mさん(退職後、同行先でフリーランス)
①2021年12月からアメリカ・カリフォルニア州在住。
②2012年に新卒でハウスメーカー入社。夫の海外赴任に同行するために退職するまでの約10年の間に、経理、営業事務、カスタマーサービス部門に従事。勤めていた会社に休職制度はなかったものの、再雇用制度があったためその申請はしている。
③夫の海外赴任の任期は未定だが、本帰国したら本格的に仕事をしたいと思っている。働き方については再雇用制度を使って元の会社に戻るのか、新しい会社を探すのか、フリーランスで仕事をするのか、いろいろと悩み中。
■Rさん(育児休業中)
①2022年11月からブラジルのリオデジャネイロ在住。
②新卒で総合商社に入社。営業部署で9年間働いた後、育児休業を取得。その後ブラジル駐在となった夫に同行し、渡航。現在、育児休業中。
③いずれは復職したいが夫の任期が分からないため、今後どうするかは未定。子育てという面ではブラジルは非常に暮らしやすく子どもの年齢を考えるともうしばらく滞在したいというのが本音。会社に再雇用制度はあるものの、再雇用時に面接などの選考プロセスがあり一度退職すると復職できる保証はないので、育休満期のタイミングで帰国すべきか、退職するかで日々悩んでいる。
■Cさん(2年間の休職制度利用後、退職済)
①2021年6月から南アフリカのダーバンに在住。
②新卒で人材系の会社に入社し、外勤営業と業務委託先での中途採用のリクルーターを経験。同行を機に会社の2年間の休職制度を利用し、現在は退職済み。
③夫の海外赴任の任期は未定だが、そろそろ本帰国ではないかと感じている。本帰国後は働きたいと思っているが、元の会社に戻るのか、新しい会社を探すのか、そもそも雇用形態はどうするのかなど、自分に合った働き方について日々悩み中。
駐在同行生活、普段何してる?
Rさん
ボランティア活動(駐在ファミリーカフェの活動や企業のコラム・SNS等のライティング活動)を行っています。それぞれに費やしている時間は大体週5時間(1日1時間)程度。残りの時間は家事や、習いごと(ポルトガル語のオンラインレッスン)をしています。週に1-2日はお友達とランチをしたり、一人で散歩したり息抜きに外出するようにしています!
キャリアにつながるような活動・勉強は何もできていません……。渡航直後は退職することも見据えて再就職に有利になるような資格の勉強をしようと思っていたのですが、一時帰国のタイミング(子どもの学校が休みになる7月か12月)に試験を受けられないと知って結局やめてしまいました。
Mさん
仕事につながるものは駐在ファミリーカフェの活動とライティングの仕事で、時期にもよりますが最大で昼間2〜3時間、子どもが寝たあとの3時間位を活動の時間に充てています。人と会うことが好きなので、平日の日中は日本人の友達と会うことも多く、週1〜2回は友達とお茶やご飯、電話をする時間を作るように意識しています。最近は週1回ピックルボールというアメリカで流行っているスポーツをするようになったので、生活にメリハリがついてきて楽しいです。
また、家事や読書・ゲームなどの趣味の時間以外に、今後の自分の働き方に活かせそうなことをいろいろと試しています。自己理解を深める本や仕事に関する本などを読んだり、オンラインスクールやオンラインコミュニティにも参加したりしていますが、働くことに関しては常に模索する日々です。
Cさん
普段は日本人の奥さんたちとテニスやゴルフのレッスンを受けたり、ランチしたりして過ごしています。キャリアに関することで始めたことは3つあります。
1つ目は資格の勉強です。同行中に2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP)の資格を取得しました。同行が決まった時から何か資格を取りたいなと考えていました。お金に関する知識は必ず役に立ちますし、興味があった人事の仕事においても、税金や保険の知識は再就職の際に活かせるのではないかと思い、FPの勉強を始めました。試験の時期に合わせて運よく一時帰国ができ、無事に取得できました。また、南アフリカは英語圏なのでオンラインでの英会話レッスンを続けています。
2つ目はプロボノ活動です。2023年から駐在ファミリーカフェの運営メンバーとして、キャリアに関するイベントの開催やインスタライブの出演などをしています。オンラインで世界中の駐在妻の皆さんと関われるのは刺激を受けますし、みんなで物事を進めていくのは仕事をしていた感覚を取り戻すような感じがしてとても楽しいです。また、今年からは南アフリカで教育支援の活動をしている日本のNPO団体の広報のボランティアも始めました。HPの更新やSNSの発信を行っています。以前から興味があった活動に携わることができてうれしいです。
3つ目は単発ですが南アフリカの生活情報や観光情報の記事の寄稿をしています。
帰国後再就職し、数年後にもう一度駐在することになった場合、
また退職して同行したい?その判断基準は?
Cさん
その時の状況にもよりますが、できれば同行したいと思います。南アフリカでの生活を通じて、家族と一緒に過ごすことの大切さを感じましたし、海外での生活は困ることや大変なことはあるけれど、それ以上に貴重な経験を得られたからです。
ただ、同行先や子どもの年齢・受験、家庭の状況(介護など)によっては日本に留まることもありうると思います。
また、同行を機に仕事を退職したことはすごく喪失感が大きかったので、次の同行先で仕事が続けられるのか、働くことができるのかなどは同行前にしっかり確認したいと思います。
経済的に自立していない状態やアイデンティティロスに陥ったことが想像以上に辛かったのでこの点は判断基準の一つになると思います。
Mさん
現時点では同行しないつもりです。同行生活で家族が一緒にいることの良さはすごく感じていますが、私自身は日本に住みたい気持ちが強いですし、子どもも日本の方が合っている気がしています。もしまた駐在の話が出たら単身で行ってもらうか、転職をお願いするか……子どもが海外を希望するなら、子どもと夫で行ってもらうのもアリかもしれないとも思ってます。
話し合った結果、やっぱり家族全員で駐在に同行するという結論になるかもしれませんが、一度駐在同行を経験したことで、自分が受け入れる前提ではなく自分の気持ちやキャリアも大事にさせてもらおうと強く感じました。
Rさん
仕事を続けたい気持ちは山々ですが、自分の中に家族が離れて暮らすという選択肢はないので、もしまた駐在になったらついていくと思います。ただし、そのときはどんな形であれ、現地で何かしらの仕事がしたいです。
理想は現地の日系企業でナショナルスタッフとして働きたいですが、言葉の問題や就労条件などのハードルもあって難しいかもしれないので、そのときはフリーランスや日本での仕事をリモートでできたらいいなと思っています。今のような専業主婦の形ではついていきたくないです。