海外で出産しました【ブラジル】

ブラジルに滞在中、第二子を出産されたRさんのインタビューです。

自己紹介をお願いします

Rです。2022年11月からブラジルに住んでいます。

妊婦健診~出産まで、簡単に流れ(スケジュール)を教えてください。

2024年3月末に第二子の妊娠が分かり、4月上旬に自宅近くの産婦人科クリニックで初診を受けました。

担当の産婦人科医は、第一子でお世話になっている小児科医に紹介してもらいました。日本人のお産も何度か経験されているベテランの女医さんでした。一般的には出産経験のある日本人の方に紹介してもらうか、自分で探すことのほうが多いと思います。

ブラジルは分業制のため、産婦人科クリニックでは基本的に問診のみです。エコー検査をしてくれる場合もありますが、クリニックによっては超音波検査装置を置いていないところもあるそうです。

その他に必要な検査は検査専門機関で行います。担当医からの指示に基づいて、指定された週数に尿検査、血液検査、精密エコー検査をそれぞれ受け、その検査結果をもって月に一度担当医のクリニックに行き、次の検査の指示を受けるという流れです。私の場合は担当医に検査専門機関を紹介してもらい、自宅から通いやすい場所で検査を受けることが多かったです。

分娩に関しては、担当医が提携している私立病院であれば、自分の希望する病院で出産できます。SUSを利用して公立病院で出産する場合は、当直医が担当するようです。

私は日本人の出産実績も多い私立病院で出産しました。35週目での妊婦健診の際に担当医がオンラインで入院手続きをしてくれました。

*SUS:ブラジルの統一保険医療システム(Sistema Único de Saúde)の略称。登録しておくことで公立病院での医療を無料で受けることができる。

妊婦健診の流れを教えてください

産婦人科医(担当医)のクリニック

  1. 受付
  2. 問診(検査結果の確認)
  3. 体重測定
  4. エコー検査
  5. 血圧測定
  6. 次回予約
  7. 会計

*クリニックによってはエコー検査や血圧測定がない場合もあります。

検査専門機関

  1. 受付
  2. 会計
  3. 尿検査
  4. 血液検査
  5. エコー検査(臨月はNST検査)
  6. 検査結果の受け渡し

海外と日本で妊婦健診に違いがあったら、教えてください

大きく違うのは、検査ごとに別の場所に行かなくてはならないことです。

私が妊婦健診を定期的に受けていた産婦人科の個人クリニックでは、精密検査は行っていません。古い機械しか置いていなかったので、エコー検査では赤ちゃんが動いていることくらいしか分からず、臓器を詳しくチェックしたり推定体重をはかったりするのは、いつも検査専門機関でした。

担当医による妊婦健診は月に一度ですが、精密検査もあわせると、受診のために月に2〜3回はどこかしらに出向かなければならないのが少し面倒でした。

日本と違ってよかったなと思う点は、担当医とチャットで気軽に連絡が取れたことです。妊婦健診の予約などはメッセージアプリを使って直接担当医とやりとりをしていました。

業務連絡以外にも「何かあればいつでも連絡してね」と言われていたので、今日は胎動が少なく感じたけど大丈夫かな…?と心配になったときにはすぐに連絡して指示を仰いだり、体調が悪いときには妊婦でも服用できる薬があるかどうかを聞いたりしていました。担当医とはたまたま家が近かったので、妊娠後期にお腹が張って動けなくなったときに、家まで往診してくれたこともありました。日本だと病院に電話をするかどうか迷ったり自分で調べようとすることでも、気軽に相談することができたのはとてもよかったです。

海外での妊婦健診で、不安や心配なことはありましたか?

妊娠初期に出血してしまい、緊急入院したことがありました。日本だと切迫流産という診断名がつくもので流産の危険性も十分にあったかと思いますが、ブラジル人は良くも悪くもポジティブで楽観的な人が多く、何を聞いても「大丈夫だよ!心配ないよ!」としか言われませんでした。

妊婦を安心させるための配慮だと思いますが、自分の状況をしっかりと把握しておきたかったので、その時はとても不安でした……。

出産までの流れを教えてください

夜中の1時に陣痛がきて、すぐ担当医に電話をしました。第二子はお産の進みも早いだろうということですぐ病院に行くことになり、担当医が自宅まで車で迎えにきてくれて一緒に病院へ向かいました。

病院到着後は陣痛に苦しみながら入院受付を済ませ、その後個室(LDR室)に案内され、そのまま出産しました。

なぜ、海外での出産を選ばれたのですか?不安はありましたか?

周りにブラジルで出産されている日本人の方がたくさんいたので、特に不安はありませんでした。第一子もブラジルで学校に通っていたので、日本で里帰り出産をすることは考えていませんでした。

海外と日本で出産に関して、違いはありましたか?

第一子を日本、第二子をブラジルで出産しましたが、一番の違いはやはり入院期間ですね。

日本では出産日を0日目として6日間入院をする病院で、初産だったこともあり入院中は看護師さんが赤ちゃんのことや母乳のことを丁寧に教えてくれて、母体のケアも手厚かったのが印象的でした。

ブラジルは産後72時間以内の退院が基本で、私は産後の回復が順調だったので翌日には退院していいよと言われました。傷口の経過観察なども特になく、そのまま退院となったのには驚きました。日曜日に出産し、火曜日のお昼に自宅でお昼ご飯を食べているときは不思議な気持ちになりました(笑)

海外出産してよかったこと、困ったことについて教えてください。

よかったことは、妊娠中から産後にかけての期間をブラジルで過ごせたことです。ブラジル人は妊婦や子連れ、お年寄りにとても配慮してくれるので、日本で第一子を妊娠していたときよりもストレスなく過ごせました。また、妊婦や子連れ、お年寄りを優先しなければいけないという法律もあるので、混雑した場所では常にプライオリティレーンに通してもらえますし、電車でも必ず座席を譲ってもらえました。

困ったことは、やはり語学力不足で自由にコミュニケーションが取れなかったことです。担当医とは英語で会話ができましたが、検査専門機関の技師や出産した病院の看護師さんとはポルトガル語で会話しなければならなかったので、翻訳サイトを使って会話したり、ときには聞きたいことを躊躇してしまうこともありました。

出産前後に、特別にお手伝いはお願いされましたか?

普段から週に一度お手伝いさんに来てもらっていますが、出産前後で特別に何かお手伝いを頼んだことはなかったです。

海外での妊婦健診、出産費用は日本より高いと聞きますが、いかがでしたか?

妊婦健診も分娩費用も日本より高かったです。妊娠初期の血液検査で一回10万円ほどする検査があり、とても驚きました。幸い、我が家は夫の会社が費用をすべて負担してくれたので自己負担はゼロでしたが、入院費用の立替金額が高額だったため給与を前借りしないと払えないほどでした…

妊娠・出産は健康保険適用外であり、私は私立病院を選んだこともあって高額でしたが、SUSを利用して公立病院で出産すると妊婦健診も含めて費用はゼロです。ビザを取得していれば外国人でもSUSを利用できるため、会社負担がない方は公立病院を選ばれる方もいます。ただし当直医が担当するため医師を選ぶことはできず、医師によっては分娩方法も限られるそうです。

妊娠、出産、産後を通じて、必要なものはどのように揃えましたか?日本で調達した方がいいものはありましたか?

第一子を日本で出産したので、ある程度日本のものは持ってきていました。ベビーベッド、ベビーカー、バウンサー、クッションマットなどです。その他の消耗品(オムツ、おしりふき、ベビーシャンプー、クリーム、ベビー用洗剤など)はすべてブラジルのものを使っています。

日本でしか買えないものでいうと、マタニティ&授乳用の衣類です。ブラジルでは、妊婦さんは堂々とお腹を出してセパレートの洋服を着るのが普通です。授乳も隠さずにするので、臨月や授乳に適した洋服や授乳ケープなどは売っているのを見たことがありません。

あとはパウチに入った離乳食もこちらにはないので、旅行用に日本から大量に持ってきました。ブラジルにも一部瓶詰めの離乳食はありますが、低月齢用でとても高額なので日本から調達したほうがよいと思います。

*肉エキスを含む食品の持ち込みは多くの国で禁止されており、持ち込み可能でも条件や手続きが必要な場合もあります。レトルトの離乳食を持ち込む際は食品表示と合わせて渡航先の最新情報をご確認ください

住んでいる国ならではの習慣や困った経験はありますか?どのように対処されましたか?

日本では新生児期は外出を控えるよう言われますが、ブラジルはすぐに外出OKと言われます。小児科医にもよりますが、私は生後4日目の小児科の初診で、毎日15分程度は外出して外気を浴びさせるようにと言われました。私自身、新生児を連れ出すことに少し抵抗があったので必要以上に外出することは控えましたが、外出時には日本から持ってきたベビーカー用の遮光ケープをつけて日差しが当たりすぎないよう注意していました。

妊娠から子育て期間を通じて、困ったことはありましたか?もしあった場合、どのように解決または対処されましたか?

実家に頼れない分、夫の立ち会い分娩を希望していましたが、それが叶わなかったのは残念でした。どうにか立ち会いできるよう日本人の友人や、普段からお願いしているお手伝いさんの力を借りようとしましたが、計画分娩ではなかったためお手伝いをお願いできない時間帯に陣痛がきてしまい、タイミングが合いませんでした。

どうしても立ち会いをしたい場合は、計画分娩も可能だと思います!

これから妊婦健診〜出産を迎える方にメッセージをお願いします

妊娠・出産はただでさえ心配ごとだらけなので、海外でとなると余計に不安が重なってしまうと思います。里帰り出産するか、現地出産するか、お手伝いを頼むか、などいろんな選択肢に悩むこともあると思いますが、妊娠・出産は何よりも母体が第一です!旦那さんや親御さん、お腹の赤ちゃんのことは一旦置いておいて、自分が一番身体的にも精神的にもストレスを感じにくい方法を選べばいいと思います。自分が心地よく過ごせたら赤ちゃんもお腹の中ですくすく育ってくれるはず!

大変なことももちろんありますが、私は実家に頼らず日本から遠く離れたブラジルでこの妊娠・出産という経験を自分たちだけで乗り越えたからこそ、家族の絆がより一層深まった気がしています。

ご家族にはとことん甘えてサポートしてもらいつつ、ご自身が最もリラックスできる形で赤ちゃんを迎えてください。

運営メンバーHARU

日本での妊娠、出産とは大きく異なるブラジルでの経験には新しい気づきがいっぱいですね。無理をせず、まわりの協力を得ながら少しでもストレスを減らせると安心です。