海外で妊娠、里帰り出産をしました【南アフリカ共和国】

南アフリカに滞在中、現地にて妊婦検診を受け、里帰り出産を選択したCさんのインタビューです。
自己紹介をお願いします
Cと申します。2021年6月から南アフリカのダーバンに約3年半滞在し、2024年11月に本帰国しました。2025年1月に第一子を日本で出産しました。
妊婦健診~出産まで、簡単に流れ(スケジュール)を教えてください
2024年5月上旬に第一子の妊娠が分かり、5月下旬に現地で初診を受けました。妊娠前から通っていたクリニックがあったので初診はそちらで受けましたが、そのクリニックでは妊娠10週までしか診てもらえませんでした。そのため、それ以降の7月からは自分で探した産婦人科医に健診をしてもらいました。妊娠31週目にあたる2024年11月に里帰り出産のため帰国し、2025年1月に日本で出産しました。
妊婦健診の流れを教えてください
健診の頻度は、妊娠7~12週は3週に1回、妊娠12~30週は4週に1回というスケジュールでした。主な検査内容は、尿検査、血圧測定、経腹エコー(12週までは経腟エコー)、必要に応じて体重測定と血液検査でした。
血液検査は、クリニックではなく専門の検査機関である「Lancet Laboratories」と「PathCare」で受けました。どちらの施設もクリニックが入っている建物内にありました。検査では貧血や風疹の抗体などを調べ、結果は検査機関からクリニックに共有され、後日電話または次回健診時に説明を受けました。
妊娠12週の時には希望すればNIPT(新型出生前診断)を受けることもできました。
妊娠20週の時に30分ほどかけて丁寧なエコー検査を受け、妊娠25週の時には初めて4Dエコーをしてもらいました。妊娠26週の時に糖負荷検査を受けました。
下記に受診した病院名・医師名と健診の流れを紹介します。
産婦人科医のクリニック(10週目以降に受診した産婦人科医です)
病院名:Netcare Umhlanga Medical Centre
医師名:Dr. Hartmann
- 受付
- 尿検査
- 問診(検査結果の確認)
- 血圧測定
- エコー検査
- 次回予約
- 会計
*必要に応じて体重測定も行う場合があります。
血液検査専門機関
- 受付
- 血液検査
- 会計
海外と日本で妊婦健診に違いがあったら、教えてください
いくつか大きな違いを感じました。
私が住んでいた地域では、一つのビルの中に複数の医師がそれぞれ開業しており、医師が個人事業主のような形で診療を行うスタイルでした。そのため患者が自分で医師を選び、直接予約を取るという仕組みです。同じビル内に複数の産婦人科医がいて、医師によって使用している医療機器の新しさや診察費用、診察スタイル、説明の丁寧さに大きな違いがありました。「どの医師を選ぶか」で、満足度や安心感が大きく変わる印象です。実際、周囲の日本人の間でも「どの先生がいい」「あの先生は高いけど安心」といった口コミ情報があり、その選択がとても重要で、病院選び=医師選びという感覚でした。
私の場合、妊娠10週以降は自分で産婦人科医を探す必要があったため、クリニックでもらった近隣の産婦人科医のリストと現地で妊婦健診を受けたことがある日本人の口コミを参考に、自宅近くで評判の良い男性の産婦人科医にお願いすることに決めました。ほかにはインド系の先生が多かった印象です。
日本では妊婦健診のたびに体重測定があり、体重管理をとても重視している印象がありましたが、南アフリカの妊婦健診では体重測定は1回のみでした。
また、日本では妊娠24~30週頃は2週に1回の健診が一般的だと聞いていましたが、南アフリカでは妊娠30週頃まで4週に1回の健診が基本でした。健診の間隔が長いため不安に感じることが多かったです。
妊娠中期に受けた糖負荷検査でも違いを感じました。日本ではサイダーのような味がする飲みやすい検査用ドリンクでしたが、南アフリカでは常温の水にブドウ糖を溶かしたものを飲む方法でした。正直かなり飲みづらくて大変でした(笑)。
海外での妊婦健診で、不安や心配なことはありましたか?
一番不安だったのは言葉の壁です。私が住んでいた地域には日本語が通じる病院や通訳者がいる医療機関がありませんでした。そのため健診はすべて英語でした。専門用語も多く内容を正確に理解できているか常に不安がありました。質問したいこともあったので、健診に毎回夫が付き添ってくれたのはとても心強かったです。
初めての妊娠で日本の妊婦健診と比較することができず、今受けている健診が本当に適切なのか分からないという不安が常にありました。さらに、健診の頻度が日本より少ないことや検査項目がシンプルであることも不安を感じる理由の一つでした。それでも担当医が毎回とても丁寧に診察してくれたので、安心して健診を受けることができました。
また、日本では産院や自治体が開催する両親学級などを通して妊娠・出産・育児に関する情報を得る機会がありますが、南アフリカにはなかったので、自分で情報を集める必要があり不安に感じることも多かったです。日本の企業が提供しているオンラインの両親学級やセミナーによく参加して情報収集していました。
里帰り出産の際の流れについて、教えてください
第一子の出産とビザ更新のタイミングが重なったため、妊娠31週目の2024年11月に夫と一時帰国しました。
2025年1月に日本で出産し、当初は産後4カ月頃に南アフリカへ戻る予定でした。しかしビザ手続きが思うように進まないなか、2025年3月付で夫に本帰国の内示が出ました。そのため予定していた南アフリカへの再渡航は見送ることになり、そのまま本帰国となりました。夫は帰国準備と仕事の引継ぎのため、2月に1カ月間単身で南アフリカへ戻りました。私は産後間もなかったこともあり現地には戻らず、日本で育児に専念する形となりました。
なぜ、里帰り出産を選ばれたのですか?不安はありましたか?
第一子の出産ということもあり、海外での出産や産後の育児に対して、医療面・生活面の両方で不安が大きかったため、里帰り出産を選びました。
一方で不安もありました。南アフリカから日本までの長時間のフライトは、妊娠後期の体には大きな負担になるため、「途中で具合が悪くなったらどうしよう」と心配でした。無事に帰国することができましたが、フライトは精神的にも体力的にも大きなハードルだったと感じています。
一時帰国する前にしておいたこと、しておいたらよかったと思うことがあったら、教えてください
里帰り出産を予定していたため、南アフリカにいる間に日本で出産する産院を決めました。実家近くの産院に目星をつけていたので、心拍確認ができた妊娠10週頃にメールで問い合わせしました。希望していた産院で里帰り出産の受け入れが可能と分かり、早い段階で予約を取ることができたので安心しました。一時帰国前に南アフリカで受けた健診の内容や血液検査の結果を日本の産院へメールで提出しました。検査項目が一部不足していたため追加で検査を受けましたが、事前にやりとりをしたおかげで健診がスムーズに進みました。
私は妊娠31週で帰国したため、事前に担当医に相談し航空会社に提出するための診断書を書いてもらいました。国内線、国際線どちらも必要だったため余裕を持って準備してよかったと思います。妊娠中の飛行機の搭乗は航空会社や妊娠週数によって条件が異なるので、里帰り出産を予定されている方は早めに確認することをおすすめします。
また産後はしばらく自由に動けなくなると思ったので、夫と一緒にサファリに行きました。家族写真を撮る機会がなかったので、近所のビーチでマタニティフォトを撮ったのもいい思い出です。
海外での妊婦健診、出産費用は日本より高いと聞きますが、いかがでしたか?
日本よりも高いと感じました。担当する医師によって異なりますが1回の健診で2万円ほどでした。日本では妊婦健診に対して公的な助成制度があり、自己負担は比較的少なく抑えられていますが、南アフリカでの妊婦健診は基本的にすべて自己負担でした。
幸い我が家は夫の会社の制度により医療費の補助がありましたが、一度立替える必要があったため、毎回の健診では費用面での負担を感じました。
妊娠、出産、産後を通じて、必要なものはどのようにそろえましたか?日本で調達した方がよいものはありましたか?
妊娠前から私たち夫婦と兄とでロンドン旅行に行く計画がありました。私は妊娠が分かり同行できませんでしたが、その際に日本から「エンジェルサウンズ(赤ちゃんの心音を聞くための機械)」を持ってきてもらいました。健診の間隔が長かったため、自宅で赤ちゃんの心音を確認できてとても安心しました。
妊娠中に必要な妊娠線予防のためのオイル、妊婦帯、サプリメントなどは現地のドラッグストアやベビー用品店で購入しました。また、妊娠中はカフェインを控えたかったのでノンカフェインのルイボスティーをよく飲んでいました。南アフリカはルイボスティーの産地ということもあり、種類が豊富で飽きずに飲めたのがよかったです。
産後は再び南アフリカへ戻る予定だったため、ベビーベッドやチャイルドシートなどの大型育児用品は、本帰国する方から譲っていただきました。一方でベビーカーや抱っこ紐などは、日本で購入して持参する予定でした。
帰国前には現地のベビー用品店を訪れ、どのような育児用品が手に入るのかを下調べしました。その上で「日本で用意するもの」「現地で調達できるもの」をリストアップし、事前に準備計画を立てました。
おむつやおしりふきは、日本より価格はやや高めでしたが、日本でもよく見かけるメーカーの商品が販売されていました。哺乳瓶も日本メーカーのものがあり、実際に使用したわけではないので使用感は分かりませんが、想像していたより育児用品に困ることはなさそうという印象を受けました。
一方で赤ちゃんの洋服は、日本から用意しておくと安心だと感じました。南アフリカでは、頭から被るタイプや足まで覆われているロンパース型の洋服が多く、日本で主流の前開きタイプの新生児服が少ない印象でした。新生児期は着替えやおむつ替えの回数も多いため、前開きタイプの肌着や洋服を日本で用意しておくと、育児がかなり楽になると思います。
妊娠から子育て期間を通じて困ったことはありましたか?どのように解決または対処されましたか?
妊娠中は吐きづわりがとても辛く、食事を取ることにかなり苦労しました。食べられるものが限られていたため、毎日の食事をどうするかが一番の悩みでした。現地では日本食が手に入りづらく、体調が悪い時に無理に現地の食事を取るのも難しかったため、夫の会社の「食料送付制度」を利用して、日本から食べ物を取り寄せていました。主に注文していたのは、梅干し、ゼリー飲料、お粥など、体調が悪くても口にしやすいものでした。また、なぜかポテトだけは食べられたのでよくポテトを食べていました(笑)。
吐きづわりで思うように食事が取れない時には、担当医に勧めてもらった、妊婦向けの栄養シェイクをよく飲んでいました。このシェイクは、現地のドラッグストアやベビー用品店で購入でき、妊娠中に必要なビタミンやミネラル、栄養素がバランスよく含まれているため、「これだけでも飲めていれば大丈夫」と思える精神的な支えにもなっていました。他にもジンジャーティーを勧められ飲んでいました。食事が十分に取れない時期でも、無理せず、頼れるものに頼ることが大切だと実感しました。
これから妊婦健診〜出産を迎える方にメッセージをお願いします
妊娠・出産は、ただでさえ不安や戸惑いが多いものです。それが慣れない海外生活中となると、言葉の壁や医療制度の違い、頼れる人の少なさなどが重なり、想像以上にストレスを感じる場面も多いと思います。それでも、海外で妊娠、里帰り出産を経験できたことは、振り返ると本当に貴重な体験でした。
大変なことが多かった分、夫婦で支え合う時間が増え、絆が深まり、これから家族として歩んでいく土台を作れたように感じています。
不安な時は一人で抱え込まず、周りに頼ってください。そして何より、頑張りすぎず、自分と赤ちゃんを大切にしてほしいと思います。
運営メンバーKANA妊娠健診・里帰り出産について詳細に教えていただきました。
当事者の方にはとても参考となる情報ではないでしょうか?






