帰国子女枠で中学入学試験を受けました【中国/台湾 日本人学校→日本 私立中学校】

台湾から本帰国し、お子さんが帰国子女中学受験をしたアークさんのインタビューです。学校の選び方、入学までの流れ、試験対策などについてお聞きしました。
自己紹介をお願いします。
家族は夫と子ども2人(中2、小3。2025年現在)の4人家族です。中国と台湾に合計10年ほど滞在し、2024年3月に本帰国しました。
帰国時のお子さんの年齢を教えてください。
長男が小6、次男は小1の時です。
お子さんは海外でどのような学校に通いましたか?また帰国後は帰国子女受験をされて、どのような学校に通いましたか?
長男は2歳半の時に渡航して、中国で日系幼稚園、台湾で日本人学校に通いました。帰国子女受験を経て、東京にある私立の中高一貫校に進学しました。
その選択をされた理由をお聞かせください。
もともと中学受験は考えていませんでした。夫婦ともに公立出身で、私の弟妹が私立に通っていたこともあり、公立と私立の違いもなんとなくわかっていました。また夫が転勤族なのでこの先どうなるか読みにくかったからです。
でも長男が小2の終わり頃に新型コロナウイルスが蔓延し、コロナ禍の学校教育をニュースで見るうちに、少しずつ考え方が変わりました。あの混乱期での私立の対応は早く柔軟に見えたので、やはり独自に判断して動ける私立はよいと思いました。
また、長男は周りの環境に左右されやすいタイプなので、成長するにつれ学校選びは重要だと感じるようになりました。当時楽しく過ごしていた台北日本人学校は、校舎が改装され熱心な先生方と充実した学習環境も整っていたので、帰国しても比較的似たような環境がよいと思いました。公立だと学校選びも居住地次第になってしまうので、できれば子どもに合う学校を選びたい、高校受験もなく6年間同じメンバーと過ごせる中高一貫校がよいと思い中学受験を決めました。
帰国子女受験で入学・編入した学校に実際に通わせてみて、よかったことは何ですか?また、実際に通われたお子さんはどんな様子でしたか?
長男は、当初の希望とは異なる学校に進学しましたが、校風も学習スタイルも友だちの雰囲気もとても合っているようで、部活にも熱中して学校生活を本当に楽しんでいます。
学校選びでは「のびのび過ごせて面倒見のよい学校」を意識しました。中学受験を決めてから、どのような環境なら元気に楽しく過ごせるか、勉強にも前向きに取り組めるかを自然と考えるようになっていたので、どういう学校が合うかという解像度は高かったと思います。
例えばー
- 長男は文化系で気の合う友だちと少人数でワイワイするのが好きなので男子校がよさそう
- 学習面では、成績が上位のときや得意科目ではやる気を出すものの、苦手科目などわからないものはすぐに諦めてしまうタイプだったので、背伸びし過ぎない学力適正校がよさそう
- 好奇心や知識欲があまりなく、先生や周囲の刺激で成長する傾向があったので、情報や活動の機会を積極的に与えてくれる学校がよさそう
- 日本人学校では小中一貫校のような環境で、中学生と関わる機会がよい刺激になっていたので、中高生の距離が近い中高一貫校がよさそう
とはいえ、帰国子女受験だと選択肢は多くないので、学校に求める要素に優先順位をつけて、長男に合いそうな学校を選んだという感じです。
結果的に進学した学校がこれらの希望にすべて合致していたので、いま親子ともども満足できているのだと思います。
滞在先では受験のための準備はしていましたか?
低学年のうちは通信学習教材での家庭学習くらいでした。小4から台湾にある日系塾に通わせるつもりでしたが、体験授業の段階で「勉強が多すぎて無理!」と全力で拒否され断念(苦笑)。でも受験の選択肢は残しておきたかったので、途中入塾も想定して別の通信学習教材(中学受験コース)の国語と算数だけを受講していました。その後、小5に上がる前(小4の2月)に、再度受験を決めて塾に通い始めました。ただ、ここでも「宿題が多すぎて無理!」となり、国語と算数の2科目に絞ることに決めました。それでも当初は算数の受講だけに絞り、週末などに行われる確認テストは小5の秋から、国語は小6から受講しました。受験対策はかなり遅い方だったと思います。
また受験科目にある面接や作文に関しては、通っていた塾で指導をしてもらいました。日本と海外の違いについて聞かれることが多いようで、受験直前は親子でもそのような会話を意識的にするようにしました。長男は2歳半から海外で生活していたこともあり、「海外生活で気付いたこと、学んだこと」のような日本と海外を比較するテーマは難しかったようです。
学校の情報はどのように得ましたか?
本帰国後は私の地元である神奈川県に戻る予定にしていたので、土地勘もあり、受験校探しはある程度見通しが立てやすかったです。ただ「中高一貫校」「通学1時間以内」「国語と算数の2科目で受験できる学校」で絞ると数校に限られてしまったため、塾の先生に相談して東京都内の候補も教えていただきました。
海外滞在中で学校主催の説明会には一度も参加できなかったので、一時帰国のタイミングで個別に見学を申し込みました。小5の夏、小6の春・夏の3回で計8校を見学しました。その時点で長男はまだ受験に本腰が入っておらず、あまりピンと来ていなかったようです(文化祭のようなイベントを見学できたら反応が違ったかもしれません)。でも、実際に受験校を決める小6の秋には、見学した学校を思い出しながら優先順位をつけていたので、見学はしておいてよかったです。
受験勉強で大変だったことは何ですか?
とにかく大変だったのは、長男のモチベーション管理です。彼は、「勉強は苦手ではないけど、やらされてやるのは嫌い」というタイプ。なかなか机に向かってくれないし、本当に最低限の宿題くらいしかやりません。テストで悪い点数をとっても悔しくないようですし、何でもやりっぱなし。親としては「もっとちゃんとやれば伸びるのに」という思いが捨てきれず、しょっちゅうぶつかっていました(苦笑)。
学習面以外では、毎日のお弁当づくり(日本人学校での昼食と塾での夕食の2回分)や送迎も大変でした。それに加えて、小6の9月以降は、受験校の決定や願書の準備、飛行機やホテルの手配など、親がやるべき細かい手続きが増えたのもなかなかハードでした。
何校受験されましたか? また受験校の科目について教えてください。
実際に受験したのは4校です。小6の春に候補を決め、帰国時のフライトやホテル予約も考慮した上で10月初旬にスケジュールを確定させました。帰国子女受験では駐在員の勤務先で在留証明書などの書類を用意する必要があったので、合否の結果や状況に応じて受験する可能性のある学校も含めて最大8校分の準備はしていました。
試験科目は基本的に国語と算数の2科目でした。1校は面接と調査書、もう1校は作文の提出が必要でした。学校ごとに出願方法や必要書類も違っていたので、スケジュールとタスク管理が重要でした。
受験時はまだ海外在住だった方は、受験のための帰国はどのようなスケジュールを組まれましたか?大変だったことはありますか?
11月にオンライン入試で1校、12月に帰国して1校、冬休みの間に2校を受験しました。合格をもらった学校が長男に合っていると親子ともに納得できたため、1月初旬には受験終了、2月の一般入試のシーズンは見送りました。
受験シーズンはスケジュール管理と健康管理がとにかく大変でした。特に、我が家は小6秋に夫の帰任が決まってしまい、卒業まで母子残留を決めたのです。そのため、入試シーズンは海外ワンオペで受験準備をすることになり、日々の生活に加えて、出願準備やフライト・滞在先の手配などをすべて一人でおこなったのが本当に大変でしたね。あまりに忙しすぎて記憶がふっとんでいるくらいです(苦笑)。
また、帰国子女受験は受験できるチャンスが多いというメリットがある反面、長期戦になりがちです。長男の場合は11月から入試が始まり、緊張状態が数ヶ月間続いていたのでメンタル面でのケアも必要でした。早く台湾に戻って日本人学校での最後の学校生活を楽しみたいという長男の気持ちも大切にしたかったので、親子でよく話し合った上で冬休みの終わりとともに受験を終えました。
帰国子女受験・編入試験について、お子さんとどのような相談をされましたか?
中学受験の話は親から持ちかけたので、子どもへの動機付けは特に気を付けました。「なぜ受験するのか」「そのために何が必要か」「どのくらい大変なことか」「なぜ他の友だちがやらないことを自分はやろうとしているのか」など、できるだけ丁寧に話をするように心がけました。長男は特に精神年齢が幼い方だったので、愛読していた漫画なども引用しながら「私立と公立の違い」を彼がイメージできるように話しました(スラムダンクやハイキューなどの学園ものはわかりやすかったです)。そして、最終的には彼の意志を尊重することも忘れずにいました。
もちろん、実際には親がうまく誘導していた面もあったと思います(笑)。でも最終的に長男が「自分で決めた」と思えるようにすることを大切にしました。振り返ると、幾度となく親子ゲンカが勃発しても一度も「やめたい」とは言われなかったので、彼なりに自分事として捉えて頑張っていたのかなと思います。
お子さんの今後の進路について、どのようにお考えですか?
私たちが中高一貫校を選んだのは、成長著しい思春期に、勉強だけにとらわれず、失敗も含めてさまざまな経験をしてほしい、そして、大学受験の前に自分の進路を自分で考えられる人になってほしいと思ったからです。今は情報も選択肢も多様化しているので、「自分で探して、自分で決める」ことが、より一層重要になってくると考えています。
幸い、今通っている学校は、生徒たちにさまざまな挑戦の機会を与えてくれる場所のようです。この日々を楽しみながら、「自分は何が好きか、将来何をしたいか」を子ども自身が考えるようになってくれたらうれしいです。
これから帰国子女受験・編入試験を経験される方へメッセージをお願いします。
帰国子女受験は、本当に千差万別だと思います。受験対策はもちろん、学校選びもさまざまです。実際に経験してみて、勉強や語学などの学習面だけでなく子どもがどんな性格でどんな環境が合うかといった視点での学校選びが、入学後の満足度に繋がることを実感しています。
選択肢や情報が多い今は、受験においても、自分たちの軸をしっかり持っておかないと、ただ情報に振り回されて疲弊してしまいます。海外で生活しながらの受験は本当に大変ですが、その分合否に関係なく得られるものもたくさんあります。それぞれのご家庭で無理なく頑張れるバランスを見つけて、協力して乗り越えていただければと思います。皆さんの受験がよいものになりますように、心から応援しています。
運営メンバーHARU帰国子女受験を通して、お子さんの人生についてじっくりと向き合いながら乗り越えてこられたことがしみじみと伝わってきました。詳しくお聞かせいただき、ありがとうございます!






