【元駐在家族30名に聞く】本帰国する小・中学生が直面する課題とリアルな声

海外からの本帰国。期待も大きいけれど、「子どもの学校はどうしよう?」「日本の生活にちゃんと馴染めるだろうか?」そんな不安を感じていませんか?
「本帰国前後の悩み、モヤモヤ」に関するアンケート結果(2021年実施)によると、本帰国当時のモヤモヤの大きな要因として「日本での生活、子育て」が挙げられています。また、「本帰国が決まって日本に帰るまでにやったこと・思ったこと」アンケート結果(2024年実施)では、「早く知りたかったこと、実際に早めにやっておいてよかったこと」として、子どもの学校選びや本帰国後の子どものケアについての声がありました。
そこで、この記事では、小学生以上のお子さんとともに本帰国を経験した駐在家族のアンケートから見えてきた「リアルな声」をお届けします。ぜひ参考にしてください!

調査概要

調査期間

2024年12月23日~2025年4月2日

調査対象

本帰国済、かつ本帰国時に子どもが日本の小学1年生に入学する学齢に達していた駐在ファミリーカフェメンバー、元メンバー、SUNNY PARKメンバー
※回答時点の子どもの年齢は問わない

回答数

31(本帰国当時の子どもの年代、小学生:22、中学生:9)

調査目的

駐在ファミリーカフェ、SUNNY PARKメンバーの経験を集計し共有することで、本帰国を控えた駐在家族や帰国子女の不安や困りごとを解消する助けとなること

回答者の属性

滞在国

アジア64.5%、北米29.0%、欧州6.5%

滞在年数

1年以上2年未満~5年以上

海外滞在中に子どもが通っていた学校

日本人学校41.9%、現地校38.7%、インターナショナルスクール19.4%

調査結果報告

子どもの困りごとと、そのサポートについて

本帰国後の子どもに関して「困ったことはなかった」の回答数は6(19.4%)で、約81%の子どもたちに何らかの困りごとがあったことがわかりました。
帰国後の困りごととして、一番多く挙げられた回答は「学校生活」についてであり、これは小学生と中学生のいずれにおいても最多の回答でした。ついで、小学生に関しては「日常生活」についての困りごとが多く、中学生に関しては「日本の学校での勉強」が多く上げられました。

本帰国後の子どものことで困ったことは?

グラフ「本帰国後のお子さんについて、困ったことはありましたか?」の回答(複数回答可)「学校生活」小学生:11、中学生:7、「日常生活」小学生:8、中学生:2、「日本での学校の勉強」小学生:6、中学生:4、「友人関係」小学生:6、中学生:3、「困ったことはなかった」小学生:5、中学生:1、「その他」小学生:2、中学生:1

小学生

学校生活
  1. 具体的にどのようなことに困りましたか?
    • 漢字がわからない
    • 学校で使う言葉がわからない(ぞうきん、学級委員長など)
    • タイトなスケジュール
    • 宿題、など
  2. お子さんが困った時にどのようなサポートをしましたか?
    • とにかく最初の半年は学校行事には絶対に参加し、先生方とコミュニケーションをとるようにした。
    • 宿題は毎日サポートする
    • できるだけいろいろな体験ができるよう地域のイベントにたくさん参加する、など
日常生活
  1. 具体的にどのようなことに困りましたか?
    • 子ども一人での外出、例えば公園に遊びに行く、習いごとの教室に行くなど、一人で行きたがらないので、親が一緒に付き添う必要がある
  2. お子さんが困った時にどのようなサポートをしましたか?
    • 登校や外出については、子ども自身が一人で大丈夫と思うまで付き添うことにしている
その他
  1. 具体的にどのようなことに困りましたか?
    • 中学受験の転塾の塾探しが大変だった、大きく困ったことは学校でもなかったが環境の変化全てがいろいろ大変だった
  2. お子さんが困った時にどのようなサポートをしましたか?
    • 塾の送迎なども全て付き添い、親子でたくさん話をするようにしていた

これらの回答から、子どもが学校生活に馴染めるように学校関係の活動に積極的に参加するなど、子どもに寄り添い親子でいろいろなことを解決していく必要があることが分かります。

中学生

学校生活
  1. 具体的にどのようなことに困りましたか?
    • 部活の先生の指導に慣れず、行きたいのに行けない状況になった
  2. お子さんが困った時にどのようなサポートをしましたか?
    • 学校の先生と話し合いの場を持った
日本の学校の勉強
  1. 具体的にどのようなことに困りましたか?
    • 英語以外の科目でテストの点数が取れない
  2. お子さんが困った時にどのようなサポートをしましたか?
    • 個別指導の塾に通っている
    • 子ども自身に日本の学校の仕組み(内申など)を理解してもらった

学校での問題の解決を図る、子どもの学習状況に合う環境を探すという具体的な行動だけでなく、子どもと一緒に必要な知識を得て、子ども自身の理解や自覚を促すためのサポートも時には必要であることが分かります。

本帰国前後に、子どもに関して欲しかった情報は?

グラフ「本帰国前後に、お子さんに関するどのような情報が欲しかったですか?」の回答(複数回答可)「公立校に関する情報」小学生:10、中学生:4、「私立校に関する情報」小学生:6、中学生:4、「学習塾に関する情報」小学生:5、中学生:3、「学童やアフタースクールに関する情報」小学生:9、中学生:1、「習いごとに関する情報」小学生:14、中学生:2、「コミュニティの紹介」小学生:5、中学生:1、「特になし」小学生:3、中学生:3、「その他」小学生:2、中学生:1

小学生は「習いごとに関する情報」も欲しい

小学生の欲しかった情報として、「学校に関する情報」に続き「習いごとに関する情報」が多く、挙げられました。
駐在家庭は、子どもの習いごとをどうしてる?(海外在住者アンケートより)からも、海外での習いごとを通じてよかったこととして、「子どもの成長を感じられる」、「友だちが増える」、「現地の人とのコミュニケーション」などの回答が寄せられていました。海外滞在中に学校以外のコミュニティとの繋がりの重要性を体感しているからこそ、本帰国後も同様に習いごとが子どもの生活を充実させるために重要なものとして位置づけられていることがかります。

その他には、小学生では「外国語維持の工夫」、中学生に関しては「医療機関、特に児童精神科(および心療内科)の情報(移動や環境の変化への対応などで実は子どももストレス膨大だと痛感したからです。)」がありました。

全く土地勘のない地域に本帰国する場合もある

また、今回のアンケートでは帰国後に土地勘のある地域に住んだと回答した人は64.5%(「駐在前と同じ地域で土地勘のある」場所に住んだ人は48.4%、「駐在前と違う地域だが、土地勘はある」場所に住んだ人は16.1%)でした。それ以外の「まったく土地勘のない地域」に住んだ人は35.5%でした。その場合は、居住地域の情報収集や子どもの学校探しを一から始める必要があり、海外に引っ越した際の学校探しの経験が活かされる場面ではあるものの、知らない土地の学区や習いごとの情報は分からないことが多いと想像されます。
辞令が出る前から余裕を持ってリサーチを始め、子どもと話し合い、家族全員で心の準備ができることが理想ではあります。しかし、本帰国のタイミングや居住先は家族で決めることが難しいというのが現実であり、課題となっています。

英語や現地語の維持のためにしていることは?

海外滞在中にしていた言語の学習を継続するためにしていることとして、小学生、中学生ともに、「英語または外国語の習いごと」をしているという回答が一番多く、「塾の利用」がそれに続きます。アフタースクールや学童の利用は本調査の回答ではほとんどありませんでした。また、子どもの外国語の維持への関心は見られましたが、「特にしていない」との回答もあり、あくまで子どもの学年や生活、学校への順応具合、子ども本人の希望に応じて無理なく進めていくことを大切にしていると考えられました。

別の「海外滞在中にしていた勉強は、本帰国後の学校での勉強にどの程度役立ちましたか?その理由を教えてください。」への自由記述欄では、中学生については海外滞在中の英語学習が帰国後の日本の学校での英語学習や受験、資格試験取得に有利に働いたという回答も複数ありました。

海外での生活が子どもに良い影響を与えていると思うか?

グラフ「海外での生活がお子さんに良い影響を与えていると思いますか?」の回答、「そう思う」83.9%、「ややそう思う」12.9%、「どちらともいえない」3.2%

80%以上の回答者が、「海外での生活が子どもにとって良い影響を与えている」と回答しました。

海外生活が、子どもにどのような良い影響を与えていると思うか?

グラフ「海外生活が、お子さんにどのような良い影響を与えていると思うか教えてください。」の回答(自由記述欄より集計)小学生:「多様性の理解・尊重」8、「視野の広さ」7、「日本を客観的に捉える」2、「海外を身近なものと捉える」2、「自己肯定感」4、「コミュニケーション能力」2、「精神的な強さ」1、「チャレンジ精神」1、「家族関係」1、「将来性」1、「英語力」2、「その他」2、中学生:「多様性の理解・尊重」4、「視野の広さ」3、「日本を客観的に捉える」2、「海外を身近なものと捉える」0、「自己肯定感」2、「コミュニケーション能力」1、「精神的な強さ」2、「チャレンジ精神」0、「家族関係」0、「将来性」0、「英語力」0、「その他」0

自由記述欄では、「多様性の理解・尊重」、「視野の広さ」、「自己肯定感」が養われたという回答が多くあがりました。

小学生

  • 異文化を体感していて、人と人は違って当たり前というマインドを持っている
  • 海外で多言語、多民族の環境で育ったことで、日本に帰国し、主に日本人のみの環境であったとしても、物事を多角的に見て考えていると感じる事があるため
  • 自分を大切にできていると思う。相手のことも尊重するが、自分が不快に思ったなら、理解してもらえるように努力できる。みんなと違う経験(滞在国での不安や、悔しい気持ち、大事にされる喜びなど)をしたことが影響していると思う

中学生

  • 英語の習得、そして、多様性を身につけたこと、さまざまな欧州の国へ旅行したことで、世界の情勢に興味を持てるようになった
  • 日本のいいところ、よくないところを体感して視野が広がったのではと思います
  • 当時は勉強の面でとても大変だったが、その時の頑張りがあとからいい方向につながったことを本人が自覚し、息子なりのモチベーションを維持していたから

帰国子女というと、英語などの外国語が堪能であるという印象を抱きやすいですが、「英語の習得」を良い影響とした回答が小学生において少数あったものの、いずれも「英語力と多様性を身につけることができた」、「英語の環境で頑張ったことで自信がついた」など、他の要素とあわせて良い影響として評価されていました。特に渡航前は語学力を心配されることもあるかもしれませんが、言語はあくまでもツールであるということを心の片隅に置いておくと少し気持ちが楽になるかもしれませんね。

まとめ

海外で生活を始める時と同様に、帰国後に慣れない環境で家族が健康と幸せを維持していくことは、決して簡単なことではありません。また、本帰国後に直面する課題は、子どもの学校など子育てに関することだけではなく、駐在員の配偶者のメンタルケアやキャリアなど多岐に渡るため、それらに対して家族全員で向き合っていくことが重要になります。
この調査結果が、本帰国後の元駐在家族や帰国子女の不安や困りごとを解消する助けになれば幸いです。
「駐在ファミリーカフェ」は、駐在員とその家族全員が充実した海外⽣活を送り、帰国後もその経験を活かしていけることを目指して活動を続けています。

  • 本調査結果は「駐在ファミリーカフェ調べ」と表記の上、ご利用ください。
  • 全ての調査結果の提供も可能です。本リリース問い合わせ先(czcafestaff@gmail.com)までご連絡をお願いします。