住み慣れた日本に戻るだけなのに、モヤモヤするのはどうして?~元駐在妻へのアンケート調査『本帰国に関する悩み、モヤモヤについて話そう』から見えたものとは (前編)

駐在ファミリーカフェは世界中の駐在妻への情報提供・交流の場として活動を続け、3周年を迎えました。これまでにさまざまな場面で、「海外生活を人生のチャンスにしよう」と、充実した海外生活を送る皆さんの様子を見てきました。

その一方で、駐在妻に必ず訪れるのが「本帰国」。海外生活の充実度に関わらず、その前後に大きな不安や悩みを抱える方は少なくないことがわかりました。

そこで、駐在ファミリーカフェではそのような皆さんに対して何らかのサポートをしたいと考え、すでに本帰国された方々へのアンケートおよび、オンラインカフェ『本帰国に関する悩み、モヤモヤについて話そう』を実施し、皆さんのホンネを聞くことからはじめました。

本記事では、そのアンケート調査結果と、そこから見えてきた「本帰国前後の悩みやモヤモヤ」についてご紹介します。

※過去2回のオンラインカフェの開催レポートはこちら

【駐在ファミリーカフェによる調査概要】

調査目的:本帰国前後の悩み・解決法の把握
アンケート対象者:すでに本帰国された方
調査方法:WEBアンケート(飯沼ミチエのメルマガより配信)
調査期間:2020年7月~9月(2回実施)
有効回答数: 37人

調査項目(抜粋)
Q1:帰国当時、どのような悩みやモヤモヤがありましたか?(選択式・複数回答可)
Q2:その悩みやモヤモヤの内容を教えてください。
Q3:帰国当時の気持ちを教えてください(不安や悩みの度合いを数値で回答)
Q4:1年以上モヤモヤが続いた方はどのくらいまで続きましたか?
Q5:悩みやモヤモヤとした感情にどのように対処しましたか? 
Q6:モヤモヤが解消した「きっかけ」はありましたか?

※アンケート結果は、個人が特定されないよう配慮した上でオンラインカフェで活用させていただきました。また、本記事用に内容を一部編集して掲載しております。ご了承ください。

<回答属性> 

回答者の半数の方が帰国後1年未満ということから、新型コロナウイルス(以下コロナウイルス)の影響で想定外の本帰国になった方が含まれている可能性があり、より不安度が大きい結果になっているかもしれません。

1.帰国当時の3大モヤモヤ「日本での生活、子育て・自身の仕事について」

Q1で、帰国当時の悩みやモヤモヤについて複数回答でお聞きしました。

半数以上の方が、「子育て、仕事、日本での生活、将来について」と回答し、続いて「日本と滞在国との比較、家族、お金」と続きました。

注目したのは、回答者のコメントに「住み慣れていたはずの日本に、意外にも馴染めずに戸惑った」という声が多くあったことです。これは、『リバース(逆)カルチャーショック』『帰国うつ』と呼ばれるもので、海外生活を終えて自分の慣れ親しんだ環境(文化圏や国)に戻ってきた者が経験する、自分の文化や生活習慣への再適応に伴い感じてしまう驚きや戸惑いのことです。海外で新生活をはじめる際に起こりうるカルチャーショックはよく知られていますが、自国に戻る時にもこのようなショックが起こりうることは想定外だったようです。

また、予定外の急な本帰国になった方が多いことから、心の準備ができないまま生活環境が変わったことで、より強く不安を感じたのではないかと推測されました。

【コメント抜粋】
環境変化によるストレス
・住環境と子どもの教育環境が急変したことが強いストレスとなりました。

帰国への戸惑い、リバース(逆)カルチャーショック
・いわゆる逆カルチャーショックが大きかった。
・赴任前と同じ生活に戻るイメージで帰国したが、以前の自分と考え方などが変わったことに気付かないまま帰国したためか、(自分自身が)何をしたらハッピーでいられるのかがわからずつらかった。
・日本での生活や本帰国後に何をしようか想像すると、ただただ帰りたくないという思いが強かった。

子育てに関する悩み
・ベビーカーでの子どもの外出への周囲の視線が痛かった。
・滞在国に比べ一時保育やデイケア施設が少なく、日本では「子育ては100%母親の力でしなさい」と言われているようでつらかった。
・滞在国に比べると母親のリフレッシュをしづらく感じた。

キャリアの悩み
・私はまた働きたいのか??専業主婦になった自分とワーキングマザーである友人達をつい比べてしまう。

夫婦間の悩み
・手当てなどがなくなり世帯収入が減ったのに、夫の金銭感覚が変わらない。
・夫婦関係の変化 (帰国時や新生活を整える中での意見の食い違いなどが発生した)。

コロナウイルスに関連した悩み
・コロナウイルス流行により、夫のみ滞在国に残り家族は先に本帰国することに。その判断をすることも、帰国後のワンオペ育児もとにかく大変だった。

2.本帰国半年後までは悩みやモヤモヤを多く抱えるが、以降は少しずつ解消する傾向に。

Q3で、本帰国後の気持ちを思い出して、悩みやモヤモヤの度合いを数値化してもらいました。

上記グラフは、濃い青色が不安や悩みが高いことを示し、黄色がフラットな状態で、濃いオレンジに向かうにつれて、すっきり明るい気持ちになることを表しています。

この結果、帰国直前から帰国後6ヵ月頃までに感じ続けた悩みやモヤモヤが、半年ほど経過すると落ち着いたり、気持ちが明るくなっていった方が多いことがわかります。

一方で、1年経過してもすっきりしない方や、2年半かかったという方もいました。また、その感情は常につきまとうのではなく、ふとした時に負の感情となって現れるという方もいました。「モヤモヤはずっと続いており、完全に消えるとは思っていない」(Mさん)、「子どもの学校での様子を聞いて不安を感じたときや”何かきっかけになること”が起きたときに、ついネット検索したり、いろいろ考えて眠れなくなったりした。」(Yさん)というご意見もありました。

飯沼ミチエ
日本での生活が落ち着くにつれて別の悩みも出てくるので、モヤモヤが完全に消えることはないと思います。それでも、本帰国時に抱えた悩みやモヤモヤした感情が長期間続く場合は、その気持ちを見過ごさずに向き合ってみた方が方がいいかもしれません。そのような方は躊躇せずに気軽にご相談ください。

後編では、そのモヤモヤをどのように解消していったかについてお伝えします。

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