海外で出産しました【フィリピン・マニラ】

フィリピン・マニラに滞在中、第1子を出産されたHさんのインタビューです。
自己紹介をお願いします
Hです。2016年からフィリピン・マニラに住んでいます。
妊娠から出産まで、どのようなスケジュールでしたか?
2017年の初秋に妊娠がわかり、マニラ日本人会付属診療所(以下、日本人会クリニック)を受診しました。ここの産婦人科医は片言の日本語ができます。
妊娠11週頃に、NIPTといわれる出生前遺伝学的検査を受けました。母親の採血により検査が行われます。
その後も日本とほぼ同じスケジュールで妊婦健診を受け、2018年5月にMakati Medical Centerで出産しました。
妊婦健診について教えてください。日本と違いはありましたか?
妊娠がわかってから、クリニックで日本語の母子手帳(英語と2カ国語表記)をもらいました。健診では血圧と体重を測り、尿検査と超音波検査をします。
血液検査は、母子手帳にある項目はすべて検査してもらえました。
一時帰国の際に日本の妊婦健診を受けましたが、違いはほとんどなかったように思います。
日本のように自治体からの補助はありませんが、健診費用はそれほど高くない印象でした。出産費用は、無痛分娩でも日本より安いくらいだと思います。
海外での妊婦健診や出産、心配や不安なことはありましたか?
英語が通じるので、わからないことや気になることはどんどん質問しました。また、テキストメッセージやViber(LINEのようなチャットアプリ)でいつでも医師に連絡することができました。
同じ医師の下で出産した友人の話を聞いていたこともあり、不安や心配なことはありませんでした。
発熱や怪我など産婦人科以外の受診もこのクリニックで対応してもらえました。院内で医師たちが連携しています。
さらにマニラには、日本人による医療に関するボランティアグループがあります。日本で看護師、助産師、歯科医師などの経験がある方々がおられ、母親学級を開催してくれます。また、こちらから気軽に相談することもできます。
産後も母子で参加できるベビークラスやリフレッシュの会などがあり、安心できました。
出産までの流れを教えてください
日本人会クリニックは健診のみで出産はできないため、別の病院を選びます。
マニラには多くの外国人が利用する総合病院が2つあります。日本人会クリニックの担当医はどちらにも紹介が可能とのことで、臨月に入る前に紹介状を書いてもらい、夫と両病院を見学してMakati Medical Centerに決めました。
選んだポイントは、場所と評判です。マニラは交通渋滞がひどく、ラッシュに巻き込まれると長時間身動きが取れなくなることもあります。そのため自宅から近いことと、その病院で出産経験のある友人の話を聞いて最終的に決めました。
どちらの病院も予約不要で、計画していなくても無痛分娩ができ、事前にバースプランを相談して水中出産なども可能です。
37週頃に、担当医が総合病院宛に「アドミッションレター」を書いてくれるので、産気づいて病院に行った際にこれを提示します。
実際の出産はどのような感じでしたか?
予定日1週間前の健診で「出産はまだ先でしょう」と言われたのに、その日の夕方におしるしが!びっくりして担当医に連絡すると「陣痛が定期的になるまで自宅で待機を。もし破水したら病院へ行くように」と指示がありました。
陣痛なのか前駆陣痛なのか分からない状態で一晩を過ごし、念のため翌朝病院へ行ったところそのまま入院になりました。
担当医の部下にあたる医師が、担当医と連絡を取りつつ対応してくれました。
午後、子宮口が5センチ開いてから無痛分娩のための麻酔を開始。夕方になってようやく担当医が来て、その数時間後に出産となりました。
分娩の立会いは家族1人だけ可能で、出産の瞬間を夫と迎えられたことは本当によかったです。
なぜ、海外での出産を選ばれたのですか?
理由はいくつかあります。
- 夫が日本に帰国するのが難しかった
- 万が一、何かあった場合は夫の判断に委ねたいと思った
- 妊娠中期以降に日本の産婦人科へ転院するのは難しいと感じた
- 実家で長期間を過ごすのは困難と思われた
- マニラではヤヤに来てもらえる(ヤヤとは、ベビーシッターをするメイドのことです。依頼に応じて家事もしてくれます。)
などです。
海外で出産してよかったことや困ったことについて教えてください
クリニックや病院も自宅から徒歩圏内で、夫のオフィスからも近くて便利でした。また、想像していたよりも病院の設備がよく、スタッフもテキパキとしていました。普段のフィリピン生活で時折感じるイライラがまったくありませんでした。
また、夫が出産に立ち会えたことが何よりよかったです。自宅での生活にはヤヤがいてくれたことも本当に助かりました。
ただ、困ったのは出産直後でした。病室は個室なのに騒音がうるさくて休めなかったのです。分娩室から病室に移ったのは真夜中でしたが、隣の部屋の会話が騒々しく、また翌日にはパーティーまで行われ、ほとんど眠れませんでした。
さらに追い打ちをかけるように、夫の同僚がいきなりお見舞いに!フィリピンでは産後すぐにお祝いに来ると聞いていたので、友人には出産したことを一切伝えておらず、夫にも周りに伝えないようにお願いしていたのに、どうやって知ったのでしょうか。私はここでブチ切れ、部屋を変えてほしいと夫に泣いて訴えて交渉してもらい、やっと静かな部屋に移してもらえました。
また退院後に、産後の一週間健診に赤ちゃんを小児科医へ連れていかなければならず、ヤヤと実母の助けがあっても大変でした。
そこで黄疸の治療が必要と分かり、出産した総合病院へ再入院。すると、産後でも私は付添人という扱いで、ベッドが与えられませんでした。ベビーベッド横のカウチで休むしかなく、これでは身体がもたないと思い、交渉してやっとベッドを確保することができました。治療を嫌がる赤ちゃんの世話も大変でした。
産後の入院期間が3泊4日と短いフィリピンだからこその苦労かもしれません。
出産前後に、お手伝いはお願いされましたか?その場合、どのような点がよかったですか?
出産予定日の1カ月前に、それまで来てくれていたパートタイムのメイドからフルタイムのメイド(ヤヤ)に切り替えました。私が仕事に復帰する目処がついていたためでもあります。ヤヤには赤ちゃんのお世話のほか、掃除、洗濯、買い物をやってもらいました。
また、3週間ほど日本から実母が来てくれました。
この2人のおかげで、授乳と夜間のお世話以外は身体をゆっくり休めることができ、本当に助かりました。
ただ心配は、母がヤヤに気を遣いすぎてうまく意思疎通できるのかということでした。しかし、片言の英語で一緒に買い物に行くなど仲良くやってくれました。
その時の準備などについて、教えてください
自分の希望に合ったヤヤを見つけるのが難しいと聞いていたので、早くから探し始めました。長年フィリピンに住む日本人や、駐在妻コミュニティ、フィリピン人の友人にヤヤを探していることを伝え、日本人会の掲示板の求職情報にも目を光らせました。最終的にはFacebookの外国人ママコミュニティに「今雇っているヤヤの次の職場を探している」という投稿を見つけ、面接をした上で決めました。
また、出産した5月はフィリピンで最も暑い時期。母がばてないように、出かける時間や生活リズムなどに気を付けました。
もしまた出産するとしたら、マニラでの出産を選びますか?
はい。出産の予約も不要で、医療のレベルに不安はなく、上の子の世話や産後の手伝いもヤヤにお願いできます。
赤ちゃんや子どもにフレンドリーな文化でもあり、また出産するとしたらマニラを選択したいです。
妊娠、出産、産後を通じて、必要なものはどのように揃えましたか?日本で調達した方がいいものはありましたか?
早い時期から必要なものをリスト化し、マニラで調達するものと、日本から調達するものを決めました。
新生児用の肌着や沐浴巾、ベビー布団一式、円座などは日本のものをインターネットで購入し、実家からまとめてフィリピンに送ってもらいました。バリックバヤンボックスという安価な船便があり、届くまで4週間くらいかかる上に遅延することもありますが、これを利用しました。
授乳ブラと授乳服も日本で購入しました。
値段は高いですが、ピジョンやコンビの製品はマニラでも手に入ります。また、ヌークなど海外の製品は日本より安いくらいでした。どこで何が手に入るかについては、ヤヤが詳しく知っていて助かりました。
日本製の粉ミルクはマニラでは倍額するので、日本から調達している人が多いです。おむつは、日本製のパンパースが日本より安く手に入ります。
この他、日本人の友人から、お役立ちグッズのお下がりも色々といただきました。
住んでいる国ならではの習慣や困った経験はありますか?どのように対処されましたか?
黄疸対策の日光浴です。フィリピンでは退院直後から赤ちゃんを日光に当てるようですが、日本では今はあまり聞かないこともあり私はさせていませんでした。
しかし黄疸の治療の後は自宅で日光浴をするように言われました。マニラの日差しは強烈なので早朝にしかできないのですが、毎朝ヤヤが手伝ってくれました。
相談できる場所もなく困った件などはありましたか?もしあった場合、どのように解決または対処されましたか?
黄疸による再入院で、寝不足と疲労と不安でパニックになりかけたり、母乳の飲み方が気になることもありました。
そんな時は、前述のボランティアグループの日本人助産師さんにテキストメッセージで質問することができました。彼女のアドバイスが本当に心強かったです。
また偶然にも同じマンションにグループ代表の方が住んでいて、声をかけてくれたり相談に乗ってくれたのもありがたかったです。
これから妊婦健診~出産を迎える方にメッセージをお願いします
妊娠中は体調が安定していたこともあり、振り返ると妊婦ハイ、出産ハイになっていたような気がします。またフィリピンだからと気負うこともなく、出産直前までやりたいことをやっていたような感じでした。
体調が良ければ、海外であろうと日本であろうと無理のない範囲で楽しく、自分らしく妊娠生活を送ってくださればと思います。
運営メンバーSHさんは、この帯同生活中に大学院に通いMBAを取得されています。そちらの記事もどうぞご覧ください。また、マニラ・マカティ市の生活情報も掲載しています。








