ドイツ・フランクフルトで インターナショナルスクール(以下、インター)の幼児クラスにお子さんを通わせている、Aさんへのインタビューです。学校の選び方、過ごし方、ドイツ・フランクフルトならではの事情などお聞きしました。
自己紹介をお願いします
Aです。2018年10月からドイツ・フランクフルトに住んでいます。3歳の息子と0歳の娘がいます。
お子さまはどのような幼稚園・学校に通っていますか?
息子は2019年6月にインターの3歳未満クラスに入園し、現在は3歳以上クラスに通っています。0歳の娘は現地園に申し込み中です。
ドイツでは、小学校に入るまでの保育施設を総称してKindetagasstätte(以下、園)といいます。3歳未満の施設をKita、3歳以上の施設をKindergartenと呼ぶことが多いです。ただし、日本の保育園・幼稚園のように明確に分けられているわけではなく、息子の通うインターのように1つの園の中でクラス分けされていることも多いです。
その選択をされた理由をお聞かせください。また、いつ頃から考え始めましたか?
- 今後また駐在になる可能性や息子の将来を考えると、英語を身につけさせておいた方が本人のためになると思ったこと(日本人学校はなくても、インターはあるという駐在先が多いので)
- 私も夫もドイツ語をあまり話せないため、現地園に入れた場合、何かあったときの対応が不安だったこと
- ドイツ語をせっかく覚えたとしても、帰国後に維持するのが困難なのに対し、英語は英会話教室などで維持しやすいこと
といったことから、インター、もしくは英語とドイツ語のバイリンガル教育を行っている現地園を中心に探しました。
息子はもともと日本で保育園に楽しく通っていました。渡独後も通いたいかと聞くと、「行きたい!」と言うので、渡独して4カ月ほど経ち、2歳になったタイミングで探し始めました。
ドイツでは共働きかどうかは入園基準にならないため、どの園にも申し込みできました。
どんな情報を参考にされましたか?実際に見学する機会はありましたか?
現地園は全てKindernetで検索・申込できます。インターはネットで調べたり、知り合いに教えてもらったりしました。
複数の園に問合せしましたが、残念ながら、当地ではそもそも返事をもらえないことも多く、インター2園と現地園1園を見学させてもらいました。
ズバリ、何が決め手となって、その幼稚園・学校を選びましたか?
ズバリ、ロケーションです。他のインターは郊外にあるところが多いのですが、息子が通うインターは町の中心地にあり、夫の通勤途中でもありました。
また、ドイツの主要都市では日本と同じような待機児童問題を抱えており、フランクフルトでも現地園の入園はかなり難しい状況で、複数の園に申込みをしている中で、単純に今の園が一番最初に空きがでたからというのもあります。
実際に通わせてみて、よかったことは何ですか?
いろんな国籍、文化のバックグラウンドを持つ子どもたちの中で、のびのび楽しく過ごしてくれているのが一番うれしいです。
この1年で英語もかなり上達し、ご近所さんや公園で遊ぶ友だちに、自分から英語で話しかけに行ったりするようになりました。ただ、残念ながら英語が通じる相手ではないことも多いですが……(笑)
期待や予想と違っていたことはありましたか?
インターに通う子は私たちのような駐在員の子どもが多く、また、インターは現地園と比べるとかなり高額なので、現地園に空きが出れば転園していく子どももたくさんいて、せっかく仲よくなった友だちが次々といなくなってしまうことが少しかわいそうでした。また、入園した頃は先生の入れ替わりが激しかったので、その点も気になりました。
日本との違いで戸惑ったことがあれば、教えてください。
ドイツの園に子どもを預ける方々が一番戸惑うのは、慣らし保育ではないでしょうか。日本だと、子どもがどれだけ泣き叫ぼうが、初日から子どもだけを預けると思うのですが、ドイツの場合、最初は親も一緒に教室で過ごします。それで慣れてきたら少しずつ親と離れる時間を作り、その時間を延ばしていきます。園や子どもによっては、慣らし保育に1カ月かかったという話もよく聞きます。
また、息子の通うインターに限らず、物の紛失が多いです。先生に訊いても、探しておくと言ったきりだったり、「ごめん、分からない」で終わってしまうことも多いです。
あとは、日本の保育園や幼稚園と違って、検温や連絡帳がありません。たいていどこも朝のスナックタイムがあり、そこでサンドイッチや果物を食べるので、毎朝着替えさえすれば園に行けるのはとても楽です。一方で、「園から帰ってきてみたら熱があった」ということがあったり、こちらから積極的に先生に聞かなければ、その日の園での様子などを知ることができないのは少し残念でもあります。
幼稚園選びについて、お子さまとはどような相談をされましたか?また、通われたお子さまの感想はいかがですか?
入園時はまだ2歳だったので、日本で保育園に通っていた息子に対して「また通いたい?行こうね」と話していた程度です。
日本で慣れていたおかげか、慣らし保育は一度も泣くこともなく最短で終わったのですが、数週間してから、毎朝教室の前で私にしがみついて泣くようになりました。おそらく最初は新しい友だち、新しいおもちゃにワクワクしていたのが、少し慣れてきて言葉が通じない環境に気づいたのだと思います。それからは、家でも少し英語を混ぜて話したり、英語のテレビ番組を見たりしているうちに、2週間ほどでまた喜んで通うようになりました。
今では、他の子がママやパパと熱烈なハグでしばしのお別れを惜しんでいる中でこちらを振りかえりもせずに教室に駆け込んで行くので、逆に私が寂しいです(笑)。
入園・入学・転入前に、お子さまは必要となる言語の学習はされましたか
特にしていません。もともと好きだった「おさるのジョージ」などの英語版を時々Youtubeで見せていた程度です。
入園・入学・転入前に、語学学習以外でやっておいてよかったこと、やっておけばよかったことがあれば、教えてください。
インターに入ると日中は英語漬けの生活なので、事前に同じ年代の日本人の友だちを作っておいたことが、日本語の発達の面においてよかったと思います。
その一方で、日本人と遊ぶだけでなく、もっと積極的に、現地の子たちの集まるプレイグループや遊び場で、言葉の通じない子たちと遊ぶことに慣れさせておけば、入園時にもう少しスムーズに言葉の通じない環境に慣れることができたのかなとも思います。
お子さまの今後の学校、教育について、どのようにお考えですか?
息子は英語を話せるようになってきたので、基本的に今のままインターに通わせるつもりです。
下の娘に関しては、まだ0歳で、恐らく英語を習得できるほど駐在期間が残っていないので、「現地園に入れてもいいかな」と複数の現地園に申込みをしていますが、今のところ音沙汰はありません。1歳を過ぎても現地園に入園できなければ、息子と同じインターに通わせようと思っています。
これから海外で幼稚園・学校選びをされる方へメッセージをお願いします。
先ほども少し触れましたが、当地での園探しは待機児童問題+言葉の壁があるため、かなり大変です。ドイツの園では、常に満員の状況なので、欠員があれば随時、入園希望者のウエイティングリストから補充されていくシステムを取っている園が多いです。 日系の園では、基本的に随時ではなく年度ごとの申し込みですが、ここ最近は定員オーバーで入園できない年もあります。インターも園によっては、かなり長いウエイティングリストがあるため、なるべく早く申し込む必要があります。
特に小さいお子さまがいらっしゃる場合は、とにかく早めに動かれることをおすすめします!