海外で日本人学校から現地校へ転入しました【イギリス ・ロンドン】(前編)

イギリス・ロンドンで、日本人学校から現地校への転入を選んだT.Oさんのインタビューです。
イギリスの現地校での驚きの体験や、母親としての心の葛藤、現地で小学生から中学生になったお子さんとの向き合い方についてお話いただきました。
前編、後編の2回に分けてお送りします。
自己紹介をお願いします
T.Oです。
イギリス・ロンドンに2018年9月から2020年4月まで滞在していました。
我が家は駐在ではなく、夫が会社を休職してロンドンの大学院へ私費留学しており、家族で同行していました。
※留学期間は当初2年間の予定でしたが、新型コロナウイルスの影響により2020年4月に日本へ帰国となりました。
お子さまはどのような幼稚園・学校に通っていましたか?
長男:
・2018年9月に日本人学校(小学部)に入学(5年生)
・2019年4月に現地校(小学部)へ転入(Year6)
・2019年9月から2020年3月まで現地校(中学部)に在籍(Year7)
次男:
・2018年9月に日本人学校(小学部)に入学(2年生)
・2019年5月に現地校(小学部)へ転入し、2020年3月まで在籍(Year4)
その選択をされた理由をお聞かせください。また、いつ頃から考え始めましたか?
我が家の場合は、私費で在英していることもあって「イギリスでしかできない経験をして帰国しよう!」というのが、渡英に際しての目標でした。
しかし、はじめから現地校へ入ろうとすると、英語が話せない子どもたちの負担が大きいこと、また現地校は空きがないと入れないなどといったデメリットがありました。さらにイギリスでは国内の住所がないと、現地校の申請手続きを行うことができません。渡英時に住所が決まっていなかった我が家は、まずはすぐに入学できる日本人学校に通うことにしました。
日本人学校に3カ月ほど通い、生活が落ち着いてきたところで、イギリスでしか経験できないこと、すなわち「現地校への転入にチャレンジしよう!」と夫婦で結論を出しました。
心配だったことは、長男のことでした。イギリスでは、翌年度から中学生になる年齢だったからです。中学校では授業内容も難しくなり、時間割に合わせて自分で教室を移動し、バス通学をする必要もありました。不安も多くありましたが「学校が辛ければ、私と子どもは帰国して日本の学校に通えばいい」と割り切って、現地校への転入手続きを進めました。
どんな情報を参考にされましたか?実際に見学する機会はありましたか?
イギリスに長く住む日本人の方から情報をもらったり、兄弟が現地校に通っている人に学校の様子を聞いたりしました。
現地校(小学部)は近所にあったため、生徒を見かける機会が多く、日本人のお子さんが多く通っていることはわかっていましたが、どれくらいの期間、イギリスで暮らしている方たちなのか(英語がどれくらい話せるのか)はわかりませんでした。
現地校(小学部)を見学する機会は、特にありませんでした。学校イベントの際に訪れたり、ホームページで学校方針などは確認できたものの、入学前までに十分な情報は持ち得ていませんでした。
一番不安だった現地校(中学部)については、現地にある日本の学習塾の進路・学習相談(有料)に申し込みました。そこで地域の中学校の情報や、実際に中学生から現地校に通うのはどんな感じなのかといった情報を教えてもらいました。夫婦で見学にも行きました。
どちらにしても、我が家は在英期間が2年間と終わりがはっきりしていたので、学校に多少の不満があっても、短期間のことと割り切ることにしていました。
インターネット掲示板などの情報はネガティブなものも多く、読むと不安が大きくなるので、ポジティブな意見だけを参考にするよう心掛けました。
ズバリ、何が決め手となって、その学校を選びましたか?
現地校(小学部)
自宅から近いこと、日本人が多く在籍していたことです。
現地校(中学部)
自治体からの指定で、選択肢はありませんでした。しかし現地校(小学部)からの同級生が多く通っており、結果的にはとてもよかったです。
実際に通わせてみて、よかったことは何ですか?
ひとつは、イギリスならではの多文化を経験できたことです。
現地校にはムスリムの生徒が多く、ラマダン期間中は昼食を取らない生徒がいたり、学校に礼拝の部屋(pray room)があったりと、イスラムの生活に触れることもできました。
もうひとつは、国によって学校のルールや先生と生徒の振る舞いが異なることです。日本での「普通」が世界の「普通」ではない、ということが経験できたことでしょうか。
実際に、先生やクラスメートのカジュアルな言動は、子どもたちにとって衝撃的だったようです。
例えば、授業中に先生がリンゴを食べたり、サッカーボールをリフティングし始めたりしたことには、子どもたちも驚いていた様子でした。
長男の現地校(小学部)での卒業式は、保護者も先生もみんな平服で出席していました。会場には風船が飾られ、和気あいあいとした雰囲気でとてもいい卒業式でした。
併せて、日本の学校の秩序立った点などを彼らなりに誇らしく感じていたようです。
英語に関しては、最初は拒否反応があり、自分の中に取り込む気も起きないようでした。しかし、現地校に通い出して半年を過ぎたころから、少しずつ英語を受け入れる気持ちが出てきたように思います。
英語の習得に関しては、正直あまり期待していませんでした。それよりも、日本と異なる文化での生活を少しでも印象に残してほしいという気持ちでした。
期待や予想と違っていたことはありましたか?
現地校(小学部)は日本人のお子さんが多く、思った以上に日本語で学校生活を送っていたことです(笑)。転入した日に「日本の子たちとドッジボールした」という長男の言葉を聞いて、拍子抜けすると同時に安堵したことを覚えています。
日本人のクラスメイトは、在英期間の短い生徒が多く、英語ができない我が家の子どもたちも疎外感なく学校生活になじめました(最初は、日本人の生徒たちが英語が達者で、仲間に入れないのではないかと心配していました)。
日本人だけで固まってしまうのはいいことではないかもしれませんが、実際に学校に通う子どもたちにとっては、ストレスが軽減されたと感謝しています。
また担任の先生が、クラスにいる日本人の生徒を世話係につけてくださって、いろいろと助けてもらえたことも、とてもありがたかったです。日本人同士で助け合って学校生活を送っていることが、かけがえのない経験になったのではないかと感じています。
日本人学校から現地校への転入。日本人学校との違いに直面する中で、お子さんたちとどのように向き合われたのでしょうか。▶︎後編へ続きます




