キャリアビジョンを持って駐在妻に。再就職を見据えた海外大学での中国語学習

海外生活中(キャリア体験談)

渡航前から、本帰国後のキャリアビジョンを見据えて現地での生活を戦略的に描いていたというひとみさん。今回はそのひとつである滞在国の大学での中国語習得についてお伺いしました。

自己紹介をお願いします

2019年4月から、夫の海外駐在に同行し、中国の長沙に住んでいるひとみです。渡航時、娘は2歳半でした。新型コロナウイルスの影響で日本へ一時帰国していましたが、再び中国での生活に戻ったところです。

渡航前は、企業アナリストとして、銀行や運用会社、格付機関にて仕事を楽しんでいました。商社マンと結婚した時から、子どもができたら夫の海外赴任には同行すると決めていました。そのために、数年のブランクがあっても帰国後に再就職できるだけのキャリアを築いておくことを意識して、戦略的に転職もしてきました。そのため、夫の辞令が出た時は、一切の迷いなく「ここで家族を優先しても帰国後に再就職ができるはず。そのための努力を中国で継続してチャンスに変えよう」と同行することを決めました。そして、英語が通じない地方都市で、大学の留学生向けの中国語コースを受講しました。

どうして大学の語学コースに通うことにしたのですか

前職の経験から、資産運用の世界では、日本の機関投資家の間でも日増しに中国投資への存在感が増しており、「中国語と中国経済を理解できることは大きな強みになる」と感じていました。そのため、渡航前からまずは独学で中国語の基礎習得に励み、現地の大学の語学コースでさらに1年ほど学び、その後は現地の大学院に進学しようと決め、ネットで下調べも済ませていました。調べるうちに「留学生にとって、大学院への進学は意外とハードルが低そうだな」と勝機を感じ、渡航準備とあわせて入学申請に必要な書類もそろえて渡航しました。

特に頑張ったことや難しかったことはなんですか?

大学への入学自体は比較的簡単でした。それは、中国では広く外国人に中国語学習の門戸を開いている大学が多かったためです。中でも、語学コースは実質的に学費さえ払えば外国人なら誰でも入れるような状況でしたし、更に、語学コースの受講生は、大学院への入学試験なしでほぼそのまま入学できるような雰囲気もありました。これは田舎の農業大学だったからかもしれませんが、私にとっては有難い状況でした。

大学の語学コースに入学した後は、学業と育児の両立に最も苦労しました。当時子どもが3歳だったのでまずはベビーシッターを探しましたが、特に中国の田舎では日本人の子どもを預かってくれる人を見つけることができませんでした。
長沙市で唯一のインターナショナルスクールのナーサリー(最年少クラス)では、8月入園時点で満3歳の児童しか受け付けておらず、9月生まれの娘は1カ月足りませんでした。しかし、学校へ直接交渉してなんとか1学年飛び級で通えることになり、娘のナーサリーと自宅の間にある中から自宅に最も近い大学を選びました。

通常の授業はなんとか通えるようになりましたが、ナーサリーでは中国の休暇に加えて諸外国の文化に合わせた休暇もあり、とにかく休みが長いことで試験前から試験期間に娘の預け先がなくなってしまうこともありました。しかし、語学コースの先生が3人とも子育て中の女性だったこともあり、授業に娘を同伴することを許してもらったり、日本人の奥様に順番に預かってもらったり、中国語の家庭教師の先生に3時間だけシッターをお願いしたり、最終手段として夫に有給を使ってもらったりと、あの手この手で乗り切りました。

大学に通われていかがでしたか?どのようなものが得られましたか?

現地の大学の中国語コースでは、中国の文化や習慣を中心に学習していくため、現地の良さに気づく機会が多く用意されています。また、自分の国について中国語で説明することを頻繁に求められるので、自分の考えが深まります。そして、クラスメイトにアプリの使い方やおすすめ映画、学内の美味しい売店を教えてもらうなど、現地の生活や言語に慣れる機会も多くありました。現代の海外赴任における生活は、インターネットとスマホの普及で、どんな国でもある程度は一人で生活ができるため、よほど積極的に心がけていないと現地の人たちとのコミュニケーションが希薄になり、いろんな機会が減っているのではないかと思います。大学生活では、それを埋めてくれる楽しさを実感しました。

ご家族の反応はいかがでしたか?協力をお願いするようなことはありましたか?

夫はリカレント教育(生涯学習)への意識が高く、私の帰国後のキャリア再開のために今何をすべきかをいつも一緒に考えてくれます。とはいえ、海外勤務で忙しく、仕事も大変な環境なので、私から積極的に自分の置かれている状況と希望を伝えることで、様々な協力を得ています。具体的には、家庭でもいつでもすぐに「ほう・れん・そう!(報告・連絡・相談)」も実践しています。海外赴任中は困ることがたくさんあり、お互いに慣れない環境にふさぎ込んでしまうこともあるので、日本にいたとき以上に夫婦間のコミュニケーションが大事だと思っています。学費の負担はもちろん、通学に必要な車の手配、試験期間の有給取得、テスト前の子どもの面倒、家事のためのお手伝いさんの手配など、とにかく現地でもっとも手に入らない“時間”を作るために、人脈を駆使してサービスを探してきたり、お金も自分の時間も割いてくれました。
また、同じく夫の赴任に同行してベトナムにいる妹に子連れで来てもらい、2週間、娘の面倒を見てもらったこともあります。元気な家族には世界中から協力してもらいました。

日本への帰国前にやりたいことはありますか?

滞在期間たった9カ月(そのうち語学コースへは4カ月通学)で新型コロナウイルスの影響により日本へ強制一時帰国となりました。それから11カ月を経て、やっと再渡航できました。今は気持ちを切り替えて、再渡航後にさらに6カ月語学コースに通い、2021年の秋から大学院に進学することを目指しています。想定外の一時帰国により出遅れた1年は取り戻せませんが、最終目標は当初掲げた「中国語と中国経済を理解すること」から変えていません。日本への一時帰国中に、やはり語学学習には「見る、聞く、話す、書く」という環境が効率がよいと感じたので、再渡航後の学習で確実に習得したいです。

駐在妻の仲間たちへのアドバイスがあればお願いします

中国内陸の片田舎でも、できることがあります。上海や広州、深圳などの沿岸部であればもっと多様な選択肢にあふれています。どのような国のどのような都市でも、楽しむ方法はありますし、そこでの経験は必ず財産になります。もし今、現地でどこか閉塞感を感じている駐在妻の方がいるならば、気軽な気持ちで大学の語学コースへ通うことをおすすめします!「中国語も英語もできない」を言い訳にしてしまうと、刺激の少ない辛いだけの日々で毎日があっという間に過ぎてしまいます。せっかくの海外生活ですので、ぜひ前向きに楽しんでください!

運営メンバーA
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