【調査結果】『駐在妻の再就職アンケート』から見えた再就職の現状とキャリア形成に向けたヒント

この度駐在ファミリーカフェでは、「駐在妻の再就職」に関するアンケート調査を実施し、114名の方にご回答いただきました。心より御礼を申し上げます。以下の通り、調査結果の概要を報告させていただきます。
※本リリースの調査結果・グラフをご利用いただく際は、必ず【駐在ファミリーカフェ調べ】とご明記ください。
【調査概要】
- 調査名称:「駐在妻の再就職に関するアンケート」
- 調査時期:2021年3月15日~2021年4月4日
- 調査対象:再就職活動を経て本帰国後に再就職(業務委託など対企業フリーランス含む)した元駐在妻
- 調査方法:インターネット調査
- 回答数:114名
回答者の属性および再就職時の状況について
回答者の属性として、最終学歴は大学卒以上が83%、再就職時の年齢が30代後半〜40代前半と答えた方が約60%と過半数を占めました。また赴任同行に伴うブランクは、2~5年が48%、5年超が43%でした。
一般的に35歳以上はミッド・キャリア層と呼ばれ、豊富な職業経験、リーダーシップ経験が求められる年代に差し掛かります。
一方、アンケート回答者のこれまでの実務経験年数は10年未満が58.8%という結果でした。多くの駐在妻は、30代後半~40代前半というキャリア形成において重要な時期にブランクが生じることで、年齢に対して実務経験年数が短くなってしまうことが分かります。


再就職活動を始めた時期に子どもがいた方は全体の76%、その内最年少児の年齢が6歳児以下の未就学児であった方が62.5%と過半数でした。
一般的に、求職者は認可保育園への入園申請をする上でのポイント*が低くなるという実態があります。年齢やブランクといったハンディキャップに加えて、子どもの保育所の確保という大きなハードルに直面する背景が見て取れます。
*自治体にもよりますが、一般的に認可保育園に入るための選考は、現在の就労・家庭状況をポイント化した「点数」によって行われます。求職中は既に就労中の方に比べてポイントが低くなり、保育を必要としている家庭であっても認可保育園への入園が難しくなるという側面があります。

再就職活動について
本格的に再就職活動を始めた時期については、帰国から1年未満で再就職活動を始めた方が83%と大多数でした。また帰国前から活動を始めた方も16.7%いました。
新型コロナウィルスの影響でオンラインによる採用活動が拡大し、海外生活中に就職活動を進めることができるようです。本帰国後1年以内に就職活動を開始する方が大多数という結果に、駐在妻の就労意欲の高さが伺えます。
また再就職先を知った情報媒体については、知人の紹介や前職といった個人的な繋がりを挙げる方が34%と、比較的多い結果となりました。

応募した企業数については、1-5社と答えた方が82.5%と大多数でした。一般的な転職での応募社数平均は8.4社、かつ年齢が上がるほど増える傾向にあると言われています。駐在妻は比較的少ない選択肢の中から、就職先を決める方が多いのが実態のようです。

再就職活動をする上で感じた不安・不満・課題については、「ブランクの長さ」「育児との両立」「年齢」「保育所確保」と続いています。育児関連の声を上げる方が多く、「保育所の確保が再就職活動よりも大変だった」というコメントもありました。
また配偶者の人事異動がどうなるか分からないといった「今後の見通しが不透明」であることも、多くの方が課題として挙げています。
ブランク、育児関連、配偶者の人事異動など、自分ではコントロールできない要素が多いことが、就職活動をする上で大きな心理的ハードルになっているようです。

再就職先を決める上で重視する点については、「働き方の柔軟性」を挙げる声が最多となりました。
駐在妻は海外生活中に専業主婦となったことで家事負担が重くなっている傾向にあり、家事・育児との両立といった観点から、働き方の柔軟性を求めざるを得ない家庭状況が背景にあると考えられます。
また「やりがい」「社会への貢献」を重視する声も多くありました。待遇や仕事の安定性、福利厚生といった条件よりも、多様な視点で仕事を選ぶ方が多いことが分かります。
前職と再就職の比較
【職種の変化】
職種における比較的大きな変化として、「教育・保育」の比率が上がっています。教育・保育については、資格を取得したことが再就職に繋がったという声が複数ありました。
一方、「営業職」が14%から5.3%に減少しています。一般的に営業職はクライアント優先となるため時間の調整が難しく、「働き方の柔軟性」を重視する駐在妻にとっては選択しづらい側面があるのかもしれません。

【就職先の変化】
就職先の変化を見ると、前職では50%の方が日系上場企業およびグループ会社に勤務していたのが、再就職では27%に低下しています。
一方、100名未満の比較的小規模の非上場企業の割合が約8%から24%と3倍に増えています。また公的機関やNPO・団体へ就職する方も増加しています。

【雇用形態の変化】
雇用形態の変化では、前職で78%の方が正社員として雇用されていたのに対し、再就職先では正社員比率が29%までに低下しています。
再就職先では70%の方が非正規雇用、中でもパート・アルバイトが31.9%で最多層という結果になりました。
また全体における比率は少ないものの、業務委託が約5%から10%まで増加しており、フリーランスとしての働き方を選ばれる方も増えてきていることが分かります。

【待遇の変化】
前職ではフルタイム正社員として安定した収入を得ていた方が過半数でしたが、再就職後は待遇が悪くなるケースがほとんどという結果でした。中でも特徴的なのは月収10万円未満が3.5%から約30%にまで増えている点です。
これはパート・アルバイトでの雇用が31.9%まで増加したという、雇用形態の変化が反映されていることが伺えます(一方、月収30万円以上の方の約90%は正社員雇用であり、中でも月収50万円超で再就職をした方の多くは外資系企業での正社員雇用という結果でした)。

評価された点は「過去の実務経験・キャリア実績」
採用にあたって評価されたと思われる点については、「過去の実務経験・キャリア実績」を挙げる方が圧倒的に多い結果となりました。
即戦力を求めている採用側にとって、実務経験を重視するのは当然であるものの、年齢相応の実務経験を積みにくい駐在妻にとっては不利な状況となります。
帰国後の再就職を見据えた場合、いかに実務に繋がる経験を積んでいくかが重要になると思われます。

再就職に向けたヒント-自由回答の声から-
再就職に向けたヒントを、自由回答の声からまとめました。以下、回答の一部抜粋になります。
【再就職にプラスの影響を与えた海外生活中の活動】
■ボランティア
- 国立施設のボランティアガイドの活動を通じて、幅広い知識や人的ネットワークが広がったことはとても有意義でした。
- ボランティア活動を頑張っていたことで、「帰ったらちゃんと稼ぎたい」というスイッチがより入ったように思う。
- 少しのボランティアやアルバイトでも、履歴書に書けるので、帯同中も遊んでいたわけではないと主張できる。
- 直接的に再就職につながったわけではありませんが、社会活動に慣れるという意味で、よかったと思います。
■語学学習
- TOEICや中国語などの語学試験は履歴書に表記できるレベルになったので、エージェントから国際業務などの紹介が多かった。
- 直接繋がったかは分かりませんが、資格取得中だったことや、TOEICのスコアを上げたりして勉強を続けている姿勢はアピールできたと思います。
- 英語が自分の強みと認識しているので、英語力のブラッシュアップは継続した。英検1級を取得した。
- 現地大学の外国人コースで中国語を上級まで学んだ。ボランティア活動など積極的に参加し、多言語を毎日使って向上に向け努力した。
■自己分析・情報収集
- 再就職の軸を早めに決め、それに沿って、海外生活中から3年近く就職活動をしていた。
- 自分のキャリアの棚卸、特に言語化したことがよかった。
- 本帰国が決まる前から、複数の転職サイトやエージェントに登録し、相談に乗ってもらったり、職務経歴書を見てもらったり、求人情報を紹介してもらったりした。そのため、本帰国が決まった後はすぐに転職活動を始めることができ、短期間で就職先が決まった。
- コーチング受講やストレングスファインダーを通しての自己分析。
【帰国後~再就職に向けてやっておいてよかったこと】
帰国後~再就職に向けてやっておいてよかったことについては、就職活動、そして学習関連の行動を挙げる方が多かったです。また人脈を通じた就職活動をされたという声もありました。
海外生活中に増した家事負担をどう適切化していくかも、再就職開始にあたって重要なポイントとなりそうです。

【再就職をする上で大変だったこと、後悔していること】
再就職をする上で大変だったこと、後悔していることについて、再就職活動に関し「ブランクが長かったので書類審査がなかなか通らず苦労した」「焦って準備不足だった」「急いで決めてしまったので、待遇面で不満が残っている」といった声がありました。
焦らずにじっくり探していくことが、納得のいく結果につながるのかもしれません。
また「求職中に保育所を確保することが大変だった」という声も多くありました。求職者が保育所を確保しにくい点は再就職にあたって非常に大きな課題であることが分かります。

ファーストステップが全てではない!先輩方の事例
帰国後に複数の仕事に就かれた方には、二つ目以降の仕事の概要についても伺いました。最初の再就職から徐々にステップアップされた方々が多く、ファーストステップが全てではないという点について認識しておくことが重要でしょう。
以下、回答事例をいくつかご紹介します。
- 1度目の渡米は30代で、その時はキャリアチェンジせず、本帰国後は技術系総合職として大手企業に再就職しました。2度目の渡米は30代後半から40代で、離職期間も長くなったのでキャリアチェンジを考え、技術系から人系(キャリアコンサルタント)に転身しました。
- パートを8種類くらいして、本帰国後8年目に正社員になりました。
- 派遣会社→キャリアコンサルタントの資格を取得し、現在はフリーランス
- 派遣社員→現在は外資系企業で正社員として働いています。
94%は再度の海外赴任同行に否定的ではない
これまで見てきた通り、さまざまな苦難を乗り越えて再就職をされた先輩たちですが、「再度、配偶者が海外赴任することになったら同行しますか?」という質問に対して、94%が「はい」もしくは「わからない」という回答でした。
また「わからない」と答えた方の多くは「子どもの教育」を理由に挙げており、自分自身は前向きであると答えた方もいらっしゃいました。
駐在同行に伴いさまざまな課題に直面することになっても、それを上回るほどの経験を海外で積むことができたという声がたくさんありました。
キャリアに不安を抱えている駐在妻にとっては、とても励みになるメッセージではないでしょうか。

【「再度同行したい」理由】
- 「学齢期の子どものことを考えると迷いはありますが、おそらく同行すると思います。均質ではない仲間と共に成長していくことは、子どもの一生の財産になるという確信を前回の帯同で持てたから。
また、私自身も多様な価値観の中に身を置くことで、豊かな人間性を身につけ、それをどんな形であれ社会へ還元していくことは可能だと思う。」 - 「リモートワーク可能で海外でも働けるので。子どもも小さいので、家族は一緒に暮らしたいです。」
- 「海外に住み、そこで経験することは、日本で働いていては得られない経験ができ、視野も広がり、得るものも多いと実感した。次回も必ず同行したいと思う。」
- 「苦しいこともありましたが、海外生活で得られた経験は私の人生を変えたいい経験でした。また赴任の機会があれば同行し、現地の大学で学ぶなどの経験もしてみたいです。」
再就職に不安を抱えた駐在妻へ、先輩方からのメッセージ
駐在妻が再就職するにあたりさまざまな課題に直面することが、アンケート結果から明らかになりました。しかし課題を認識することで、対応策を講じることができるでしょう。
最後に、再就職に不安を抱えた駐在妻に向けて、先輩方からたくさんの心温まるメッセージをいただきました。以下、抜粋してご紹介します。
このアンケート結果が、みなさん一人ひとりが自分らしくキャリアを構築していくためのヒントになれば幸いです。
- 自分自身が楽になったのが、活動中に、一度目の再就職で完璧を目指さなくて良いという言葉をかけてもらったことです。
久しぶりの就活ですごく力が入っていたけど、再就職もタイミングだし、1回目で全ての理想が手に入るわけではないことを再認識できました。 - 再就職したいと考えている駐妻(夫)には、同行によってキャリアを一時的にストップさせたからこそ、「働くことの尊さ」を知っていて「働きたい!」という強い想いを持っているという強みがあると思います。
- 焦らず無理のない就職先を選んで欲しいと思います。海外から戻ると、自分の価値観も行く前と随分変わっていますし、今まで重視していた基準も変化している可能性があります。
周りからの意見も大事ですが、自分が海外で培った経験・視点を信じて、生き生きと働ける自分らしい職場を選ばれることをおすすめします。 - 日本企業の駐在は本人の意志と関わらず突然決まり行き先や期間も未定なことが多いと思います。私たちが苦しまないためにできることは、家族一人ひとりのライフプラン、キャリアプランを柔軟に捉えることだと思っています。
夫婦どちらがその時仕事のアクセルを全開にするのか、その時大事にしたいことはなにか…考えが変化するのは当然なので、その時に個人、家族で決めた選択を受け入れる。そしてせっかくの機会を自分なりに活かす!利用する!そんな気持ちで生きていられたらと思っています。 - 年齢やブランクなど枠組みにとらわれず、やってきたこと、できることなどこれまで積み上げたことを掘り下げ、やりたいことと掛け合わせることで可能性が広がると思います。
- お若い方へ: 今までのキャリアより、帰国後の新しい仕事でのキャリアの方が長くなる時が遅かれ早かれ来るので、過去の自分に囚われず、海外生活を色々な意味で楽しみ、自分の可能性を広げる経験をされては、と思います。
既に10年以上、前職でキャリアを積んでいる方へ: 前職と同じ分野に戻るつもりであれば、駐在同行による退職はネガティヴな理由とはみなされず、且つ前職でのキャリアが重要視され多少のブランクは大して問題にならないので、海外生活中は色々な意味で楽しまれては、と思います。
逆に完全にキャリアシフトしたいのであれば、それにつながる活動をなさっては、と思います。(どうしても前職のキャリアばかりハイライトされるので)
道は必ず開けます!!
駐在妻の再就職アンケート結果を踏まえた提言
「駐在妻の再就職アンケート」プロジェクトリーダー
田中 里枝
駐在妻が再就職にあたって直面する構造的課題
今回のアンケートが示すデータは、自分自身や周りの駐在妻の方々の実体験を通じて感じていたものとほぼ同じ結果となりました。
女性の社会進出に伴い、駐在同行前までフルタイム正社員として安定した雇用形態でキャリアを積み、本帰国後の就労意欲も高い駐在妻が増えています。
しかし駐在同行によりキャリア形成において重要な時期にブランクが生じることで、年齢に対し経験値が低いとみなされ、帰国後の再就職市場では大きなハンデを負うことになります。
また帰国時に乳幼児を抱えている場合、一般的に求職者が託児所を確保することは非常に難しく、就労意欲があっても、就職活動を始めることすら困難な状況におかれます。
海外生活中に専業主婦となったことから家事負担が重くなっている傾向にあり、育児・家庭との両立といった観点から「働き方の柔軟性」を重視した仕事探しとならざるを得ません。
配偶者の人事異動が不透明なため今後の見通しが立てづらく、長期的な仕事へのコミットメントがしにくいという心理的なハードルもあります。
結果として、パート・アルバイトといった非正規雇用で小さな一歩を踏み出す方がとても多いのです。
もちろん仕事に対する価値観はひとそれぞれであり、フルタイム正社員として雇用されることが全てのゴールではありません。
ただし帰国後の元駐在妻が、構造的に社会復帰が難しい状況に置かれ、その後に望んだキャリアを形成しにくくなることは、多くの場合は事実でしょう。
経験値も就労意欲も高い元駐在妻が、駐在同行に伴い強制的にブランクが発生することで、労働市場から正当に評価されなくなってしまうのは、本人にとっても、社会にとっても損失があまりに大きい気がしてなりません。
駐在妻への提言:中長期的なキャリアビジョンと戦略を
駐在妻が自分の望むキャリアを形成していくためには、駐在妻側が心掛けていくべき部分と、企業側が変わっていくべき部分があると感じます。
駐在妻側は、一般的な再就職市場ではハンデを負ってしまうという現状を認識した上で、ブランクを抱えながらも評価される人材となるために何をしていくべきか、戦略的に考え、自ら行動を起こしていくことが求められるでしょう。
そのためにはまず、自分がこの先の人生をどう歩んでいきたいのか、どういったキャリアパスを望むのか、じっくりと自己理解を深めて、中長期的なキャリアビジョンを持つことが大事なステップになると思います。
目指す方向性が明確になったら、そこに繋がる経験やスキルを、どんな形であれ積んでいくことが重要です(有償・無償問わず)。
ポジションに関連する経験は再就職において重視され、評価に繋がります。今はインターネットを通じて海外にいてもできることはたくさんあるので、ぜひアンテナを高く張って、何事にもチャレンジしてみてください。
また再就職活動をするにあたっては、これまでの待遇や働き方にこだわらない姿勢も求められてくるでしょう。
雇用形態や企業規模にとらわれず、自分のキャリアビジョンに向かってまずはファーストステップを踏むことが重要です。
新型コロナウイルスの影響で働き方はかなり変化してきており、柔軟な働き方を求める駐在妻にとってはチャンスが広がっています。最近は業務委託など、新しい形の働き方も増えてきています。
最初から理想のゴールを目指す必要はありません。少しずつ経験を積みながら、ステップアップしていくことも十分可能です。焦らずにその時の自分に合った働き方を選んでください。
社会・企業への提言:多様な採用基準と勤務形態の整備を
企業側には、ライフイベントの変化でキャリアの中断を受け入れざるを得なかった女性に対して、「年齢=キャリア年数」といった一律的な評価軸ではなく、より柔軟な採用基準で評価することを期待します。
再就職後、多少のブランクを跳ね返し活躍する女性をたくさん見てきました。もともとのスキルや経験値が高く、チャンスを手に入れさえすれば、即戦力に近い働き方ができる駐在妻はたくさんいます。
必ずしも年齢に即したポジションでなくとも、それまでのキャリア、スキル、そして熱意やポテンシャルといったさまざまな面を踏まえて、ぜひ幅広くチャンスを与えていただきたいです。
今回のアンケートで、好待遇で再就職された方の就職先の多くは外資系企業だったことが分かりました。
ブランクや年齢といったバイアスで判断せず、個人の経験とポテンシャルで判断し、正当な待遇で受け入れる土壌は日系企業より外資系企業の方があることは間違いないでしょう。
画一的な基準で採用を続ける企業と、多様な人材を柔軟に受け入れる企業とでは、組織の活力・成長力に大きな違いが出てくる気がしてなりません。
企業の中長期的な経営戦略の一つとして、ブランクはあってもポテンシャルの高い人材を柔軟に受け入れる体制作りを推進していただきたいです。
働き方の柔軟性を充分に高めることも重要です。家事・育児の負担が依然として重くのしかかる女性にとって、毎日固定された時間にオフィス出勤することが難しい場面は多々生じます。ただし働けない訳ではなく、勤務する場所や時間を柔軟に選ぶ(決める)ことができれば仕事をすることは十分に可能です。
在宅ワークやフレックスタイム制など、柔軟な勤務形態の維持・拡大を進めていくことが求められます。結果的に、それが企業にとって生産性向上や優秀な人材確保に繋がることでしょう。
また駐在員を派遣する側の企業に対しては、海外駐在員をよりジョブ型に近い形で派遣することを求めます。
具体的には、勤務地、駐在期間、職務内容といったジョブディスクリプション(職務記述書)を予め明確に提示し、双方が同意の上で派遣する形です。
国を跨いでいつどこで生活することになるか分からない状態が続くのは、駐在員はもちろん、同行する家族にとっても大きな負担となります。
勤務地や駐在期間といった勤務条件が予め明確に分かっているのであれば、同行する家族側も生活の見通しが立てやすく、現地での過ごし方や帰国後のキャリアに向けた動きも変わってくるはずです。
企業にとっては難しい側面もあると思いますが、海外赴任が駐在員およびその家族の人生に及ぼす影響の大きさを鑑みても、ジョブ型海外赴任の導入を進めていくことが重要ではないでしょうか。
全ての人にとって開かれた労働市場の形成に向けて
「駐在妻の再就職と、専業主婦の再就職とどう違うのか?」といった問いを何度か投げかけられたことがあります。
確かに再就職する上での難しさは両者において共通点が多く、また企業側の見方もほとんど変わらないといった実態はあるでしょう。
ただし大きな違いの一つは、多くの駐在妻は配偶者の人事異動という自分では全くコントロールできない要因によってキャリアが中断され、海外でビザや税金といった観点から「働くことが許されない」状況に置かれてしまうという点です。
女性の中でも、より働く権利に対して弱い立場に置かれているのが駐在妻と言えるでしょう。
だからこそ、駐在妻がブランクを経ても、自分らしくキャリアを再構築していけるようになれば、その他さまざまな理由でキャリアの中断を余儀なくされた方々にとっても、広く開かれた労働市場の形成に繋がっていくのではないでしょうか。
このアンケート結果が、駐在妻を含め、ライフイベントの変化でキャリアの中断を余儀なくされた全ての方にとってキャリア再構築に向けたヒントとなること、そして企業・社会側の意識の変化に繋がるきっかけとなることを願っています。
本アンケート実施にあたり、ご協力いただいた皆さまに厚く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
【寄稿者プロフィール】
駐在ファミリーカフェ運営メンバー。新卒で銀行に入社し法人アドバイザリー業務等に従事した後、夫の海外赴任に伴い退職。2度の駐在帯同および再就職を経て、現在はシンクタンクに勤務。自身の体験から駐在妻が直面するキャリア課題に疑問を持ち、今回のアンケート企画・運営の指揮を執った。
※本稿に記載の見解は執筆担当者の個人的見解であり、駐在ファミリーカフェの見解ではありません。本アンケート企画に関する一般的なお問合せは、下記までご連絡ください。
アンケート全回答データは、以下のリンクよりダウンロードできます。駐在妻の先輩の皆さんからの熱いメッセージを多数いただいています。ぜひご覧ください。
※本リリースの調査結果・グラフをご利用いただく際は、必ず【駐在ファミリーカフェ調べ】とご明記ください。
▼過去のアンケート調査結果もぜひご覧ください。


