シンガポールに滞在中、第2子を出産されたY・Iさんが便利な産後サービスについて教えてくれました。
自己紹介をお願いします
Y.Iです。2019年9月からシンガポールに住んでいます。4歳になる長男と2021年3月に生まれた次男がいます。
どのような産後サービスを使ったか教えてください
- 産褥ナニー(退院から4週間)
- マレー式産褥マッサージ
- おかずの作り置きサービス
産褥ナニー(産褥アマ)について教えてください
産褥ナニーとは、産後の母子をケアするヘルパーのことで、シンガポールではとても一般的な存在です。新生児のお世話全般と家事をすべて行ってくれます。産後に2週間から1カ月程度雇うことが多いです。コロナ禍で、自国の家族に手伝いを頼めない外国人が増えているため、以前より需要が高まっていると聞きます。通いか住み込みかを選択することができ、私は通いでのお手伝いをお願いをしました。
どのように産褥ナニーを探しましたか?
コロナ禍での妊娠だったので、里帰りはせず、現地で出産をすることにしました。母に手伝いに来てもらうことはできなかったので、産褥ナニーを雇おうと妊娠初期から検討していました。はじめは、ブログなどでナニーを雇った体験談を調べる程度でしたが、たまたま夫の知り合いで以前に産褥ナニーを利用した方がいることを知り、紹介をしてもらったエージェントに問い合わせをしました。シンガポールには、いくつかのナニー派遣会社があり、依頼者の希望を聞いた上で適したナニーを派遣し、トラブル発生時も仲介をしてくれます。
出産間近の時期では人を確保できないこともあると聞いていたので、出産予定日の5カ月程前からエージェントに連絡をして手続きを進めました。同時期に出産した友達は、エージェント経由ではなく、知人に勧められたナニーと直接契約したそうです。おそらく直接契約の方が費用を抑えられると思います。
事前にどのような準備をしましたか?
疑問点や不安なことがあれば、エージェントにすぐ質問のメールを送りました。契約前には夫に同席してもらった上で、ZOOMでのビデオミーティングを行い、上の子の世話や英語でのコミュニケーションが可能な方の派遣などの希望を伝えました。ナニーに対して自分たちのことや依頼内容を説明するための簡単なマニュアルを独自に作成し、入っていい部屋とダメな部屋の指示や長男についての注意事項、家族のタイムスケジュール、食の好き嫌いとアレルギー、普段の洗濯や掃除の仕方などをまとめておきました。
実際にナニーを雇ってみてどうでしたか?
我が家の担当となったナニーは50代くらいのマレーシア人でした。初日だけエージェント同席の上、雇用についての説明を受けたり、こちらからのリクエストを確認しました。その後、早速仕事に取り掛かってくれたのですが、経験が長いためかすぐにいろいろなことを把握して、積極的に家事に取り組んでくれました。「長男のために蒸し野菜を常備しておいて欲しい」「洗濯は3回に分けて欲しい」といった細かいリクエストにもきちんと応えてくれました。特に彼女は、スープを作るのが得意で、毎日いろいろなスープを作ってくれました。その中でも、母乳がよく出るようになるというパパイヤのスープは、体を温める効果があり、かつとても癖になる味だったので、作り方を聞いておけばよかったと今でも後悔しています。赤ちゃんのお世話もとても手馴れており、安心してお任せすることができました。彼女は、お母さんはなるべく休んでいなさいという考えだったので、私はほとんど横になって、授乳のときだけ呼ばれる生活でした。おかげでかなり体調を回復させることができました。
一方で、作ってくれる料理が完璧な和食とは少し違ったり、彼女の話す英語の癖が強くコミュニケーションが取りづらかったりといった点もありました。一番想定外だったのは、長男の世話をお願いしたかったのに、長男がナニーに懐かず、遊び相手になってもらえなかったことです。またナニーも長男の体力についていけず、一緒に外遊びなどができなかったため、長男が幼稚園から帰宅した後は、ナニーに次男を預けて、私が長男と遊んだり、軽く散歩したりするようにしました。
家事や育児のやり方については、人それぞれこだわりがあると思いますが、臆せずにそれをきちんと伝えることがナニーと上手に付き合うコツです。私も最初は言葉の問題や遠慮もあり、些細な希望を伝えることができませんでした。しかし、こちらが「こうして欲しい」と伝えると、ナニーはきちんとその通りにしてくれました。対応が難しいこともあるかもしれませんが、まずはちゃんとコミュニケーションをとることが必要です。
マレー式マッサージについて教えてください
こちらもシンガポールでは一般的なもので、出産で開いた骨盤を締めることを目的としています。骨盤が開くと体型が崩れるのはもちろんですが、肩こり・腰痛や姿勢の悪さにもつながります。産後すぐに骨盤を締めることで、妊娠前の体に戻りやすくなるそうです。私は、友人に紹介してもらった日本人のセラピストにお願いをしました。人気のある人だったので、5カ月前に予約を取りました。退院の翌日から5日間、毎日家に来てもらい、90分のマッサージを受けました。なんとマッサージ用の折りたたみベッドも持参してきてくれました。マッサージは、まったく痛みはなく心地がよい強さで、産後の疲れもあってか、私は毎回開始早々に熟睡してしまいました。マッサージ後は、特殊な泥パックをお腹周りに塗った上にサラシを巻いてくれます。とてもきつく巻くので、たった数日間でかなり骨盤を締めることができます。実際、マッサージ後は体がスッキリし、あっという間に妊娠前の体重に戻りました。また、びっくりする程、悪露が出てきて、体がデトックスされているのを感じることができました。さらに、おっぱいの状態もみてくれます。産後ガチガチになり、痛みや熱があったおっぱいをマッサージで柔らかな状態にしてくれました。併せて、授乳時の姿勢やトラブル時の対処法などもアドバイスしてもらったので、母乳育児をスムーズに軌道に乗せられました。
産後のご褒美として、とても贅沢でゆったりとした時間を過ごすことができ、とても満足でした。
作り置きサービスについて教えてください
出産後すぐに長男の幼稚園が休みに入りました。その間にナニーの雇用が終了したため、「子どもたちを見つつ、料理までするのは不可能」と判断し、作り置きサービス(Spoonful 2023年10月現在、作り置きサービスは現在休止中です。)を依頼しました。こちらの作り置きサービスは、日本人スタッフが自宅まで来てくれて、7〜10品程度のおかずを作り置きしてくれます。およそ60あるメニューの中から事前に好きなものを7品選び、それに加えて、余った食材や冷蔵庫に元々入っていたものなどを使ってプラス数品のおかずを作ってくれます。オプションにはなりますが、買い物代行もお願いできます。メニューのラインナップは、ハンバーグや回鍋肉、豚肉のみぞれ煮など、日本の食卓に並ぶ一般的な家庭料理です。私がお願いした際は、スタッフが朝10時頃に必要な食材を持って我が家に来て、およそ2時間半で9品も作ってくれました。
それまで、不味くはないものの和食とは少し異なるナニーの料理を食べていたので、こちらの「おふくろの味」といった雰囲気のおかずは、とても美味しく感じました。ほとんどのものは冷凍や冷蔵でしばらく保存が可能だったので、1週間かけて美味しく堪能しました。
こちらのサービスがとてもよかったので、長男の夏休み中も再び利用しました。頻繁にお願いするとコストがかかってしまいますが、自分の余裕がなくなりそうな時にお願いができるこういったサービスは本当にありがたいと思います。
産後サービスをいろいろと使ってみていかがでしたか?
海外での出産に加えコロナ禍ということもあり、不安なこともたくさんありましたが、様々なサービスを使うことで、母子ともに健康な状態で産褥期を乗り切ることができました。お金はかかりましたが、産後は心身ともに正常な状態ではないので、穏やかに過ごすために必要な経費だったかなと思います。お金を出してくれた夫にも感謝しています。
これから海外で出産される方にアドバイスしたいことは、妊娠中の体調がよい時期にいろいろ下調べをしておくことです。今回紹介したサービスも早めに予約をしないと、希望日が埋まってしまうことが多いように感じました。このサービスを使ってみたい!と思ったら、すぐに問い合わせをしたり、口コミを集めたりして、アクションを起こした方がいいと思います。
まだまだ不安定な世の中ですが、妊娠・出産は家族にとって、とても幸せな体験です。これから海外で出産されるすべての方が、その時間を大切に、気持ちに余裕を持って過ごすことができるよう祈っています。