駐在ファミリーカフェ 出産育児チームメンバー座談会『コロナ禍での育児を語ろう!』後編

ただでさえ海外での子育てにはたくさんの悩みがつきものなのに、さらに「コロナ」がその悩みを助長したと感じているママさんやパパさんも多いのではないでしょうか。

そんな「コロナ禍での育児」について、駐在ファミリーカフェ 出産育児チームのメンバーがこの期間を振り返りながらざっくばらんにおしゃべりした座談会の後編です。後編ではコロナ禍での出産についても語っています。ぜひご覧ください!

前編はこちら

※2021年11月時の情報です。現在、新型コロナウイルスの影響で状況が変わっている場合があります。

コロナ禍の子どもたち

さゆみ 子どもたちにはコロナについてどんな話をしましたか?

どいこ うちの子は当時2歳後半だったので、お外には今バイキンがいっぱいいるんだよ、保育園がお休みになるのもバイキンがいるからだよと伝えたら「ふーん」とすんなり受け入れていました。

ななぽん 私は、コロナという感染症があって治す薬がまだないから、かかると死んでしまう人もいるし、入院しないといけなくなってしまうかもしれない。だから今はお家にいないといけないんだよと伝えました。

ぬのこ 幼稚園ではお友だちと手を繋ぐことも注意されてしまうので、そういうウイルスがあって今は他の人と距離を取らなければならないんだよという話をしました。2歳の子でもソーシャルディスタンスという言葉を使っていたので、切ないなと思いながらも必要なことは伝えなければと思っていました。

さゆみ うちの幼稚園では、コロナウイルスのことが一通りわかる絵本が配られたり、コロナウイルスについて学ぶレッスンがあったりしたので、家ではその補足をしていた感じです。手洗いの歌を覚えてきたので、家でも一緒に歌いながら実践していました。

ななぽん ヨーロッパはもともと手洗いの文化があまりなかったのですが、学校で手洗いの習慣が徹底され、登校直後、食事前は必ずするようになりましたね。

ぬのこ たしかに手洗いやうがいの習慣は徹底的につけさせましたね。2歳の子に今まで使ったことのなかった消毒液を使わせることや、マスクをつけさせるのは大変でした。今は2歳だとマスク着用は義務ではないのですが、やはり推奨はされています。

さゆみ 私も最初はこんな小さい子にマスクをさせるというのが忍びなかったです。

ぬのこ 一度幼稚園の給食を食べている様子をzoomで見る機会があったのですが、友だち同士でしゃべってはいけないと言われていて、2、3歳の子たちが黙ってもくもくと食べているのを見て切なくなってしまいました。

どいこ ドイツは6歳以下はマスクをつけなくていいのですが、週に2回、登園前に家で幼稚園から支給された簡易検査キットで抗原検査をして、その結果を持っていかないといけないので、そこは厳しく徹底されていますね。

コロナ禍だったからこそよかったこと

さゆみ コロナだったから逆に楽しめたことはありますか?

ぬのこ ちょっと料理にハマりしました。普段はやらないようなピザを焼いてみたり、ケーキを作ってみたり。一時期スーパーから小麦粉・強力粉がなくなりましたもんね。

ななぽん そうそうパンを作ってみたりとか!

どいこ 私もクッキー作りを急にやり始めました。今はやってないですが(笑)。

ぬのこ 私も今は全然してないですが、あれはあれで楽しかったなと思います。子どもが一緒に楽しめるし、最後は食べられるし!

クッキー作り
おうちでピザ作り

ななぽん コロナでよかったこととしては、家族の時間が増えたことかなと。コロナ前は夫が出張でほぼ家にいなくて、平日に家族で一緒に夜ご飯を食べたことが1回もなかったんです。でもリモートワークになり初めて、昼も夜も家族4人で一緒に食べるという生活になって、今までずっとワンオペだったのが一変しました。平日におしゃべりしながら家族でご飯を食べられるというのが私にとってはとても大きかったです。

さゆみ たしかに。夫がリモートワークで家にいると、ふとした時にちょっと子どもの相手をしてくれたり、私が子どもにキーっとなっているときには間に割って入ってくれたりします。

ななぽん 今はコロナ前の働き方に戻ってしまって平日はほぼ家にいないのですが、それでも夫が育児の大変さをわかってくれるきっかけとなりました。

ぬのこ 私は次男を産んだ時にずっと夫が在宅だったので、とても助かりました。夫も長男の時よりも次男のことをたくさん抱っこしていると言っています。家にずっといるから昼休みにご飯を食べながら抱っこできてすごくいいって。長男と過ごす時間も増えましたし!

どいこ うちも夫が家にいる時間が長くなって家族で過ごす時間が増えました。出産の際も、夫は1カ月間在宅勤務をさせてもらいました。コロナ禍だったからこそ、リモートワークの体制が整っていたし、会社の理解も得やすかったです。夫は元々家事全般ができる人なので、産後の1カ月は全ての家事をお願いして、その分私は育児の方に専念することができました。

コロナ禍の出産

さゆみ どいこさんとぬのこさんはコロナ禍で第二子をご出産されていますが、お一人目のときと違いはありましたか?

どいこ 日本でも同じだとは思いますが、夫に妊婦健診に付き添ってもらうことができませんでした。立ち会い出産はできました。

ぬのこ 私も同じです。立ち会い出産について、夫は可能だけれど、上の子どもは断られました。入院中の面会も上の子はできなかったので、テレビ電話で話すだけでした。

さゆみ ベルギーは今、どういう状況ですか?

ななぽん 今は夫と一緒に妊婦健診に行けます。エコー検診の時に何回か一緒に来てもらいました。子どもは立ち会えませんが、夫には出産の際にも立ち会ってもらう予定です。

コロナ禍で病室に入れなかった長男が初めて次男に対面したとき
コロナ禍で病室に入れなかった長男が初めて次男に対面したとき

さゆみ コロナ禍の妊娠・出産で大変だったことは何ですか?

どいこ 上の子の面倒を誰にみてもらうかが一番の問題でした。両親はドイツに来られなかったので、お友だち数人に娘の面倒をみてもらえないか事前にお願いしました。そのため出産当日は、一番頼りになりそうなインド人のお友だちのお家に預けました。突然の連絡でしたが、快く引き受けてくれました。5日間入院していたのですが、夫が面会に来る際には、日替わりで娘の預け先を調整しました。

さゆみ そういった交友関係を事前に作っていたのがすごいですね!

どいこ 毎日同じご家庭にお願いするのは迷惑になってしまうかなと思ったので。ベビーシッターを調べたりもしたのですが、条件が合わず断念しました。持つべきものは友だちだと思います。娘も一人でお友だちのお家に行くことが初めての経験だったので、不安だったとは思いますが、何事もなく楽しんで過ごせたようです。

入院中、娘を預けた友人から送ってもらった写真
入院中、娘を預けた友人から送ってもらった写真

ぬのこ 私も親に来てもらえなかったことが大変でした。本来であれば、産後の世話や育児を親にお願いしたと思います。結局我が家は、ナニーさん(産褥期専門のお手伝いさん)を雇ったり、おかずを作り置きしてくれるサービスを利用したりして乗り切りました。

ななぽん 私はコロナ禍で出産した友人の上の子を預かりました。私自身、以前駐在していたタイで次女を妊娠中、安静を余儀なくされた時に、上の子をママ友に預かってもらい大変助かりました。駐在生活中は、近くにすぐ頼れる親がいないので、友だち同士の助け合いが本当に支えになると思います。

さゆみ コロナ禍の海外で、現在妊娠中の方へのアドバイスはありますか?

ぬのこ 色々なサービスを事前に調べておくことが大事かなと思います。私は出産後にナニーさんを雇って正解でした。妊娠中の落ち着いた時期にいろいろ調べておいてよかったです。

どいこ 頼れる人には遠慮なく頼った方がいいと思います。私も今回、いろんな人に頼りました。周りの人は皆さん理解があり、「いつでも連絡してね」と言ってくれたので気が楽になりました。夫の会社も1カ月在宅勤務に切り替えてくれました。日本人は遠慮しがちですが、「少し図々しいかな」くらいでちょうどいいのでは。思っている以上に周りの人は優しいよと伝えたいです。

ぬのこ 私もどいこさんも、今回は二人目の出産だったのである程度産後の生活の予想がつきましたが、初産の方はもっと大変だろうなと思います。

どいこ 私が今回上の子のお世話をお願いしたのも、子どもの繋がりで仲よくなったママ友でした。コロナの前は、妊婦さんの集まる会や両親学級があり、妊婦さん同士が知り合う機会があったようですが、今回はすべてオンラインだったので妊婦友だちは一人もできませんでした。

さゆみ そういう場合はどうしたらいいのでしょうね。状況は改善されているのでしょうか?

どいこ 今はマタニティヨガや親子ヨガ、プレイルームが再開しています。私も産後の体操教室やベビー教室に参加して、他のママと話す機会ができました。

ドイツの産後ベビー教室
ドイツの産後ベビー教室

ぬのこ 私は第二子のつながりで知り合った人はまだ一人もいません。コロナ以前は、日本人会で主催されたイベントなどもあったようですが、参加する機会はありませんでした。だからこそ、初産の方は頼れる人を作るのが難しいだろうなと思います。

さゆみ 妊婦さんだけに限らず、児童館などが閉鎖され、乳幼児を持つママにとっては行き場がなくなり、辛い時期がありましたよね。

ぬのこ どいこさんは、里帰り出産は考えなかったのですか?

どいこ 考えなかったです。上の子が幼稚園に行っていたからというのが一番の理由です。また、里帰りしてしまうとドイツに戻るまでに4~5カ月は経ってしまうので、ドイツにいられる時間が限られている中、もったいないなと感じました。ドイツは医療体制がしっかりしているからか、里帰り出産をする人は周りでほとんど聞いたことがありません。シンガポールはどうですか?

ぬのこ 里帰り出産をする人もいるし、現地で産む人もいます。シンガポールも医療体制はしっかりしています。私も里帰り出産を検討しましたが、帰国している間に規制が変更になって、再入国できなくなることが怖かったのでやめました。一方で、医療体制が整っていない国にいて、里帰り出産を選択せざるを得なかったものの、未だ再入国ができていない人もいるんだろうなと思います。

さゆみ コロナ禍になってもう2年近く経ちますが、感染者数が増えたり減ったりしているので、まだまだ道半ばな感じがしてしまいますね。

どいこ うまく共存できる世の中になってほしいですよね!

あとがき

「コロナ禍での育児はこんなに大変だったんだ」と思い返せるような記録として駐在ファミリーカフェのサイトに残しておきたいというメンバーの気持ちからこの座談会は生まれました。

まだまだ刻一刻と変化している不安定な情勢の中、他の国の駐妻がどのようにこの状況を乗り切ってきたのかを読んで、励みにしてもらえたらうれしいなと思います。

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