本帰国後の再就職を前にして、”キャリア迷子”になった私が見つけた踏み出し方とは <中編>

チリ

<中編>

中編では、正社員になったあとの苦労話と、ご主人の2度目の海外赴任で再び退職することになった時のキャリアに対する想いをお聞きしました。

正社員として入社後の苦労 ~勉強とプレッシャーに立ち向かう日々~

―正社員として働きはじめて、どうでしたか?

もう、想定以上に大変で、疲労困憊でした(涙)。

入社までは「はたして仕事に就けるのか」が気がかりでしたが、実は、その後の方が大変でした。平日は業務に必死、夜間や週末は資格や英語の勉強に必死という感じで、本当に毎日忙しかったです。

金融機関では、業務のために取得しなければいけない資格が多くあります。中途入社の私にとって、それは想定以上に多く、なおかつ短期間で取る必要がありました。10種類以上の資格を1~2年以内に目途をつけるよういわれたので、試験が終わったと思ったらまた次の試験という感じで、しばらくは勉強ばかりしていた記憶があります。

それと、英語。このときこそ「語学をやるなら、なにはともあれ英語だ」と痛感しました(涙)。

私の業務の相手は主に日本のクライアントでしたが、外国の銀行や税務代理人とのコンタクト、また海外出張もあり、英語を使う機会がわりと多かったのです。語学は苦手でしたし、非英語圏に住んでいたので、それまで英語の勉強をほとんどしませんでした。「英語がちゃんとできたら、もっと仕事の質があがるのに」と何度思ったことか……。やはりどの国に住んでも、英語は少しずつでも勉強しておくべきだと反省しました。

―やはり未経験職種だと、より多くの努力も必要になりますよね。その反面、中途入社の持ち味が活かせる部分もあったのでは?

それはあると思います。ただ、私は入社後わりとすぐに役職をつけてもらったことがプレッシャーになって、はじめのうちはとても辛かったです。

採用段階から希望するポジションの話をしていたので、自分の望みどおりではありました。

でも、入社したばかりなのに、まわりの多くの社員よりも立場や給料が上だったので、「業務経験や知識が不十分な自分が、より経験値の高い人たちの上に立つ」ということに想像以上のプレッシャーを感じていました。

―どのように対処したのですか?

私は、30代の転職では、たとえその業務を知らなくても、その状態でマネジメントをして、成果を出せるかどうかが大切なポイントだと考えていました。なので、とにかく早く仕事を覚えて、できることを増やそうとがむしゃらだったと思います。

どうするのが正解だったかは分かりません。でも、いま思うと、「とにかく頑張って、自分に自信をつけていく」のが、未経験分野に飛び込んだ私なりのプレッシャーの乗り越え方だったように思います。

―忙殺されるような日々になり、駐在妻時代の「仕事に追われない気楽な生活」を思い出すことはありませんでしたか?

ありましたよ!1ミリも動けないほど疲れたときなんか、駐在妻仲間のSNSを見ては「時間が有り余っているなんて、よいなあ!!!」と思ってました(涙)。

でも、自分が駐在妻のときは「バリバリと仕事をするのは、やっぱり格好よいな」と思っていたので、いま自分にない状態がちょっと羨ましく見えるだけと思うようにしていました。


私は、駐在妻の生活と日本で働く生活を両方経験して、自分の価値観や生活の優先度がガラッと変わることを実感しました。どちらにも、よいこと、大変なことがあるのがわかっているので、以前の生活を思い出して、懐かしむことはあっても「それはそれ」と割り切って過ごせています。

アルジェリア海の様子

ふたたびの駐在話と退職 ~「自分のキャリアが継続できない問題」にどう向き合うか~

―3年後、ご主人の海外赴任でまた退職することに。「ここまで頑張ったのに、辞めるなんてもったいない」とは思いませんでしたか?

たしかに、少し残念でした。でも、次の海外赴任にも同行すると決めていたので、抵抗感や後悔はありません。

「遠くない将来、また辞めることになるし、そのタイミングは自分で決められない。」

そんなふうに「期限がある」ことをいつも意識していたからこそ、早く多くの成果をあげることにこだわりましたし、自分の成長だけでなく、組織に何が残せるかということを常に考えながら取り組みました。20代の頃と比べて、はるかに真剣に仕事に向き合うことができ、純粋に楽しかったです。

そして、再就職を通して「立ち止まる期間があっても、またスタートできる」ことを実感できたのも、自信になりました。

―キャリア迷子からの再スタート、ご自身のキャリアへの向き合い方も変わったようですね。

振り返ると、最も大変だったのは、やはり「自分がどうしたいか」がずっと見えなかったことです。それは働きだしてからも続きましたから。

「自分の軸を持つことが大事」と、よくいわれていることはわかっています。 でも、どれだけ人に相談してもわからなかったので、そんな自分軸探しはいったん止めて、「とりあえず決める。決めたら超真剣にやる」ということを繰り返すようにしていました

私の場合、その決め方は「直感的に”よい”と感じるもの」を選ぶこと。悩んだ時は「究極、どっちでもよい」と考え、「機会としてレアな方」や「(軌道修正するのに)難易度が高い方」という基準で選ぶ。そうするうちに、徐々に自分にとって「よい」「いまいち」のフィルターができるので、とりあえず「自分の軸」を仮置きし、あとはがむしゃらに頑張る。これが、私の踏み出し方なんだと。

そして、同じように気付いたのが「今までやってきたことは、全て繋がっている」ということ。働くなかで、業種も職種もまったく異なる道に進んだようにみえても、今までの経験が活かせていると感じることが何度もありました。

次の本帰国の後のことを考えると、いまだにやりたいことも特になく、どんな仕事をするかわかりません。でも、きっと「よいと感じたもの」を選ぶだろうし、それがまた違う分野のものだとしても「それまでの経験を活かしながら、がむしゃらに頑張れるんじゃないか」と思っています。

―仕事の探し方もその後の働き方も「人それぞれでよい」と思える話ですね。定職に就きづらい転勤族の妻や、年齢が気になるミドル世代は勇気づけられます。

確かに、ミドル世代の再就職はかんたんではないと思います。 海外に限らず国内含め、配偶者の転勤によって自分のキャリアが継続できない、見通しが立てられないと悩む女性は多いでしょう。

でも、意外になんとかなります!「できるできないじゃなくて、やる!」

きれいに階段を昇っていくことだけがキャリアではないし、今までの経験も必ずどこかで繋がっている。そして、努力してきたことは、必ず自分に返ってくる。

私は、「経験があるから」とか「できそうだから」という観点で、次のステップを選ばなくてよかったと思っています。新しい仕事で新しい出会いがあったり、今まで知らなかった分野を学んだりしたことが、自分の経験値をあげることに繋がりましたから。

―「意外になんとかなる」そのとおりかもしれませんね。最後に2度の駐在妻生活をとおして美和子さんが感じた生き方・働き方への変化について聞かせてください。

<中編終わり>

前編後編はこちら

アーク

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メーカーで法人営業に従事した後、夫の海外駐在を機にキャリアチェンジしようと考え退職。海外生活中にキャリアコンサルタントの資格を取得し、転勤族妻でも充実したラ...

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