子どもの学校の長期休みに合わせて、滞在国から日本へ一時帰国をされる方が多いのではないでしょうか。実は一時帰国中に、子どもたちが日本の学校に体験入学できることを知っていますか?
体験入学の解説やその準備については「【準備リスト付】一時帰国中の体験入学とは?手続きから注意点まで一挙解説!」で紹介しています。
今回は体験入学の目的、どのような経験をしたか、子どもの感想などについて駐在ファミリーカフェ運営メンバーへのアンケート調査結果を報告します。
アンケートの目的、調査方法
アンケートの目的 | 一時帰国時の体験入学の実態と、子どもたちが体験入学でどのような経験をするのかを知る |
調査対象 | 駐在同行中で子どもがいる、または過去に子どもを連れての駐在同行経験がある駐在ファミリーカフェ運営メンバー |
調査方法 | Google フォーム |
調査期間 | 2022年6月9日~6月17日 |
有効回答数 | 25 (同一家庭の兄弟姉妹を含む) |
回答者の滞在国と子どもの通う学校、学年
今回のアンケート調査では、アメリカ、中国、シンガポール、ドイツなど合計14カ国に滞在する(または過去に滞在したことがある)駐在ファミリーカフェ運営メンバーから回答を得ました。

回答者の子どもが通う学校(本帰国後の場合は、過去に通っていた学校)の割合は、現地校が42.9%と最も多く、インターナショナルスクールの23.8%が続きました。現地校、インターナショナルスクールに通う子どもの1/4が、日本語補習校にも通っていました。
アンケート調査時の子どもの日本での学年は、小1〜3が38.2%、小4〜6が23.5%の順に多く、小学生が過半数を占めました。

子どもの体験入学の経験の有無
回答者の53.6%が、「体験入学をしたことがある」または「体験入学を予定している」と回答しました。
小学生以上の子どもの約6割が「体験入学をしたことがある」または「体験入学を予定している」と回答し、「体験入学をしたことがない、予定もない」と回答した方の子どもの年齢は、約4割が未就学児でした。

体験入学をしたことがある、または予定している方への質問
体験入学の期間は、「3週間以上」が最も多い結果に。これは、体験入学をする学校の自治体や教育委員会によって、一定期間以上通うことを条件としている場合があるためだと想定されます。一方で、「1週間未満」の短期間と回答した方もいました。また体験入学先は、小学校の場合はすべて公立校でした。幼稚園の場合は、私立、公立どちらの回答もありました。

体験入学先の学校として、「以前に通っていた学校」または「両親どちらかの実家の近く」を選んだ方が大半でした。「その他」としては「本帰国後に通う予定の学校」、「両親どちらかの住んでいる家の近く」という回答で、以前から知っている学校、もしくは今後通う予定の学校を選んでいることが分かりました。
体験入学先の教育委員会や学校への連絡は、体験入学の「2カ月前」から始めた方が最も多かったです。6月ごろから夏休みに入る国が多いため、日本の学校で新年度が始まった4月ごろから連絡をとりはじめる人が多いのではないでしょうか。その他の回答でも、日本の学校の年度初めの4月から連絡を開始したという回答がありました。

体験入学先の学校への手続きや連絡プロセスは、「大変ではなかった」と回答した方が過半数を占めました。
「その他」の内訳として、「メールでの連絡ができず連絡手段が電話だけだったため、不便、面倒に感じた」という回答がありました。
電話連絡の場合、滞在国と日本との時差を考慮する必要があり、大変だと感じた方が多かったようです。

体験入学の目的は、「日本の学校を知るため」、「本帰国後の学校生活の準備のため」と回答した方が54.9%と、本帰国後を見据えたケースが過半数を占めました。
また「日本で友だちを作るため」と回答した方が2割近くいたことや、「その他」として「(元々通っていた学校にいる)日本の友だちとの関係を深めたい」、「日本の友だちとの思い出作りのため」と答えた方がいました。
これらの回答から、子どもの友だちとの関係を意識している方が多くいることもわかりました。

実際に体験した子どもの感想は「楽しかった」、「給食がおいしかった」といったポジティブな感想が68.8%と一番多く、「友だちと交流できた」、「給食の配膳係を経験できた」など、日本の学校ならではの経験が挙げられていました。この結果から、多くの子どもにとって体験入学は楽しく、かつ滞在国ではできない貴重な経験が得られることが分かりました。
一方で、「緊張した」、「知らない学校に体験入学をしたため不登校になった」という回答もありました。

体験入学の満足度は、回答者全員が8~10(満点10)を選びました。「体験入学で期待していた経験が得られたか」という質問に対しては、「友だちと通学したり、給食当番をしたりと、日本の学校を知ることができた」という回答がありました。体験入学の目的として挙げられていた「日本の学校を知る」、「本帰国後の学校生活の準備」という目的を果たせたと言えるのではないでしょうか。また友だちに関する記述も多く見られ、日本の友だちを大切にしたいという目的とも一致した回答が得られました。
「新しい環境に飛び込む経験ができた」、「成長を感じられた」という回答もあり、体験入学の目的として挙げられたもの以外にも、子どもにとってよい経験が得られることが分かります。

また体験入学中に困ったことがあったかという質問に対し、60.0%の方が「なかった」と回答しました。それに対し、「困ったことがあった」と回答した方が20.0%、「その他」と回答した方も20.0%いました。「その他」の内訳は、「登校班に入れず送迎が必要だった」、「弁当持参の日があった」というものでした。普段とは違う環境で学校生活を送るため、予期していなかった問題が発生する場合もあるようです。
体験入学をしたことがない方への質問
体験入学をしたことがない、または予定もない方のうち、61.5%の方が「体験入学に興味がある」と回答しました。
これまで体験入学をしていない理由として、「子どもがまだ未就学児であること」が最も多かったです。
「その他」の内訳は、「コロナ禍で機会がなかった」、「一時帰国をしたことがない」、「子どもが以前通っていた小学校を希望しているが、滞在する家がないため」でした。

まとめ
今回のアンケート回答者は多様な国に滞在していて、滞在年数、滞在歴、お子さんの年齢も様々でした。
体験入学先の自治体によってルールが違うため確認が必要ですが、1週間未満の短期間でも体験入学を受け入れてもらえたケースもありました。
国際電話での問い合せや手続き、学用品の準備などの労力は必要になりますが、体験入学の経験はお子さんにとって楽しく貴重なものとなることがわかりました。親である私たちにとっても、普段とは違う環境でいろいろな経験をしたお子さんの成長やたくましさを感じられるよい機会になるのではないでしょうか?

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