今の居場所と将来の居場所を探して。チェコで現地交流と資格取得に挑んだ4年半

自分の居場所づくりのために「スポーツを通じた現地交流」と「興味のある分野の勉強」に精を出したKさんへのインタビューです。

自己紹介をお願いします

Kです。チェコの田舎町に約4年半滞在しており、数年前に帰国しました。

帯同前はメーカー勤務をしていましたが、夫の海外転勤をきっかけに、結婚・退職・帯同を決めました。仕事が楽しい中での退職は正直寂しい思いもありました。
ただ、先に渡航していた夫が一時帰国した際、激務で痩せてしまった姿を目にし、「一番大事な人は誰か?」「2人で新生活を頑張ろう!」と帯同を決めました。

チェコでは、趣味の旅行に加え、主に2つの活動に精を出しました。

①スポーツを通じた現地交流

中学生から社会人までが在籍する地元のスポーツチームに所属し、練習や試合を通じて現地の人々との絆を深めました。週2日~3日の練習に加え、週末には試合にも参加。学生のような生活をしていました。
審判員としての活動も行っているうちに、チェコ国外でも試合を吹く機会に恵まれました。イギリス・オランダ・ドイツ・イタリアにも審判をするために遠征。欧州各国の審判員との交流も深めることができました。

②ファイナンシャルプランナーなど、マネー関連の資格取得

当時は子どもがおらず、また、夫の帰宅は毎日深夜でしたので、有り余った時間は自らの将来のために使うことにしました。自分の家計の整理や、帰国後のキャリア形成にも役立つかとファイナンシャルプランナーなどのマネー関連の資格を毎年取得していました。

どうしてその選択をしたいと思ったのですか?

一言で言うと、「自分の居場所」を探していたからです。

駐在当初は、「孤独」で「不安」でたまりませんでした。帯同後は、「夫婦」として夫との絆は格段に深まったものの、何をするにも夫や会社の手助けが必要になってきました。仕事をすることもできず、当時は相談できる相手もほとんどいませんでした。

「私は何のためにチェコにいるのだろう?私にできることはないのだろうか?」ともどかしい気持ちが溢れてきました。「自分の居場所を外に作り、何かできることを探そう!」その思いは強くなっていきました。

実現するためにどんな努力・取り組みをされましたか?

①スポーツを通じた現地交流

自分から積極的にアピールする大切さ

地元のチームへ参加するには、ホームページで情報収集をしながら人の縁を頼りにチームを探しました。まずはインターネットで情報収集をしました。翻訳機能を使うと、チェコ語のホームページも(不完全ですが)日本語に変換されますので、色々と検索をしました。

また、チェコでもスポーツを続けたいという想いを口にしていたところ、学生時代の先輩が、知り合いのチェコ人を紹介してくれました。その人の助けもあり、試合会場に足を運ぶことができました。試合会場で出会った人から地元チームの代表者を紹介してもらい、チームに参加することができました。

地元のチームに所属すること、審判員として活動すること、海外遠征をして試合を吹くことは、どれもチャレンジしたいという気持ちがあったから叶ったことだと思います。正直、一歩を踏み出すには勇気が必要でした。チーム最年長でしたので、きっとチームメイトも最初は戸惑ったと思います。一緒にやりたいことをアピールし、ニコニコ笑顔と楽しい雰囲気づくりを心がけました。声をかけられればどこへでも審判をするために飛んでいきましたし、チームに貢献するために普段から練習メニューを考えるなど、精力的に活動したと思います。

語学

チェコ語を勉強し、ちょっとした会話はできるように努力しました。チームのコーチがチェコ語で指導をするので、チェコ語は必要に迫られて・・・ですね。拙いチェコ語でしたが、一生懸命話しかけたことをチームのメンバーは好意的に思ってくれたようです。やはり郷に入れば郷に従えですね。

英語の勉強もしました。語学は得意ではないのですが、欧州で審判をするためには英語のルールを頭に入れ、英語でのwebテストを受ける必要もありました。海外遠征をする時は、海外の審判員と何日も同じ部屋で過ごし、英語で様々な議論を交わします。試合以外の時間の方が大変でしたが、精神的に鍛えられましたし、欧州内に多くの審判員仲間をつくることができました。

②マネー関連の資格取得

自分のライフプランを考えてみる

資格は、将来のキャリアを考える上で取得しようと考えていましたが、その前に、なりたい自分を強く意識し、そのために何をすべきかを書きだすことにしました。まずは自分のワクワクすること、なりたい自分を思い描き、10年プランを書いていきました。1年後はこのようになっていたい、2年後はこのようになっていたい・・と10年間書いていきます。すると、今はこの勉強をして・・と目標を定めることができました。

資格自体は年に1度受験することに決め、DVDを視聴しながら取り組みました。毎日コツコツと勉強し、ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得。eラーニングでマネー関連の講座を受講するなど、将来のキャリア形成を考えて過ごしていました。

家族へどんな協力を、どのように求めましたか?

家族は、私が頑張っていることを心から応援してくれました。ただ、家族での時間を最優先に考えていましたので、基本的には夫が仕事の時に勉強やトレーニングは済ませるようにしました。
家へお願いした協力は、審判をするために国外へ渡航する時や、資格試験の為に日本へ一時帰国する時の時間面・金銭面での理解です。その間、不便をかけることは事前に了承を得ました。

難しかった点、苦労した点はどんなところですか?

①スポーツを通じた現地交流

「自己主張」・「価値観の違い」です。

語学力がないために自分の主張ができずもどかしい思いもしました。ポンポンと議論がなされている間に割って入ることは勇気が必要でしたし、「あなたはどう思うの?」と振られたときに、的確な返事をできなかったことも苦労した点です。ただ、年齢関係なく自己主張できる雰囲気はいいところだと思っていましたので、単語や文法の間違いを気にせず、想いを伝えるよう努力しました。

生活習慣の違いや価値観の違いにも当初は驚かされました。試合時間に人数が集まらないことも多々ありました。
公式戦なのに、試合会場の草をヤギが食べていたり、試合中に犬が走り回ってボールを持っていってしまったり、ベンチにいる赤ちゃんが大泣きして試合を中断したり・・日本では考えられないこともたくさんありました。
その都度、対処方法を柔軟に考え、楽しい雰囲気の試合を作り上げていきました。

②マネー関連の資格取得

「モチベーションの維持」と「必ず合格!というプレッシャー」です。

駐在妻という立場上、先の計画が立てづらく、今の勉強が無駄になるのではないかと気持ちが沈むこともありました。また、一人で勉強をしており、周りに同じ環境の人がいなかったことも、モチベーションを維持することに苦労した点です。

そして、資格試験の度に日本に帰国するため、欧州からの渡航費を考えると「一回で必ず合格する」必要もありました。一時帰国しても友人にあまり会えず勉強ばかりしていました。気持ちが沈みそうになった時は、「勉強で得た知識は家計に役立つ」いう意識を強く持つようにしていました。私は、家のお金の管理を任せられていましたので、保険や税務、資産運用の知識など必ず役に立つと信じて勉強をしていました。

また、DVDで視聴した講義内容を夫に要約して話し、夫からの質問に答えられるようにしていました。自分自身の頭の整理にもつながりましたし、夫婦で勉強をしている感はありました。

昼間、家の近くにあるショッピングセンターのカフェで勉強をした点もよかったです。カフェで勉強やおしゃべりをしている学生も多く、その隣にいると学生時代に戻った気分で勉強ができました。ショッピングセンターでは、チェコで流行している音楽やファッションを感じることもできましたので、気分転換しながら勉強をしていました。たまにコーヒーにケーキをつけて自分へのご褒美としていましたよ。

実際に選択して、今の心境は?得たものはありますか?

実際、スポーツを通じて多くの友人ができました。日本人が少ない地域でしたので、チェコの友人は本当に心の支えになりました。私とは違う価値観や生活習慣を知ることができたのも、現地の人々と交流したからだと思います。帰国した今でも連絡を取り合う親友ができたことは本当に幸せです。

精神面では、確実にたくましくなりました!言いたいことを伝えられないもどかしさを経験し、辛い時期もありました。でも、優しく手を差しのべてくれる人たちに救われました。その経験があるからこそ、自分も日本で困っている人がいたら同じことをしてあげたいと思うようになりました。

資格の勉強を続けたことは、自分のキャリアを考える上でプラスになったと思います。実際のところは、帰国後すぐに出産し、子育てがスタートしました。そして転勤と第2子出産で今に至っています。帰国後すぐに働くというプランは書き換えることになったので、まだまだこれからですね。

帰国前にやっておいてよかったこと、やっておけばよかったこと

やっておいて良かったことは、現地の友人をつくってチェコでの生活を楽しんだことです。
日本人が少ない地域でしたし、当時は子どももいなかったため、内にこもりがちですが、一歩を踏み出してみたことで世界が広がりました。

やっておけば良かったことは、帰国後の仕事をもっと具体的にイメージして、相談できる相手を探しておけばよかったと思っています。帰国後は、新生活立ち上げなど目の前のことに追われ、ふと気づいたら何年も経ってしまいました。

もう一つやっておけば良かったことは、夫の家事能力を少し高めておけばよかったなと(笑)帰国してつくづく思うことです。夫は仕事が忙しいため、駐在中は家のことは私に任せて!と家事はほぼ100%こなしていました。新婚当初にこのスタイルを作ってしまったので、日本に戻っていざ私が動きたくても家事・育児は私の役目になっており、新たな課題がでています。

ワンポイントアドバイスがあれば、ぜひ!

駐在生活はいろいろと不安があるものです。そんな時は、誰でもよいので悩みを打ち明けるとよいと思います。
当時は駐在妻情報も少なく、現地での日本人も少ない。頼りにしている夫も仕事が忙しく、なかなか相談できずにいました。一人で悶々とする時間が積み重なり、気持ちが爆発してしまったこともありました。現地での生活、将来のこと、仕事の悩みなどは、誰かに相談してみる!言葉にするこで、自分の頭が整理されるかもしれないし、誰かがアドバイスをくれるかもしれません。

また、「人と比較をしない」こともオススメします。まわりの活躍が気になって焦ったり落ち込んだりもしましたが、自分は自分の人生。人の人生を参考にはするけれど、比較して辛くなるのではなく、自分もできるかもしれない!と前向きにとらえるとよいと思います。

「せっかく地球に生まれてきたのだから」を合言葉に4年半のチェコ生活を楽しみました。日本では経験できないことをトコトン楽しんでみてもよし!将来のことを考えてすごすのもよし!皆さんの駐在生活が生き生きとしたものになりますように。