難しかった点、苦労した点はどんなところですか?
①スポーツを通じた現地交流
「自己主張」・「価値観の違い」です。
語学力がないために自分の主張ができずもどかしい思いもしました。ポンポンと議論がなされている間に割って入ることは勇気が必要でしたし、「あなたはどう思うの?」と振られたときに、的確な返事をできなかったことも苦労した点です。ただ、年齢関係なく自己主張できる雰囲気はいいところだと思っていましたので、単語や文法の間違いを気にせず、想いを伝えるよう努力しました。
生活習慣の違いや価値観の違いにも当初は驚かされました。試合時間に人数が集まらないことも多々ありました。
公式戦なのに、試合会場の草をヤギが食べていたり、試合中に犬が走り回ってボールを持っていってしまったり、ベンチにいる赤ちゃんが大泣きして試合を中断したり・・日本では考えられないこともたくさんありました。
その都度、対処方法を柔軟に考え、楽しい雰囲気の試合を作り上げていきました。
②マネー関連の資格取得
「モチベーションの維持」と「必ず合格!というプレッシャー」です。
駐在妻という立場上、先の計画が立てづらく、今の勉強が無駄になるのではないかと気持ちが沈むこともありました。また、一人で勉強をしており、周りに同じ環境の人がいなかったことも、モチベーションを維持することに苦労した点です。
そして、資格試験の度に日本に帰国するため、欧州からの渡航費を考えると「一回で必ず合格する」必要もありました。一時帰国しても友人にあまり会えず勉強ばかりしていました。気持ちが沈みそうになった時は、「勉強で得た知識は家計に役立つ」いう意識を強く持つようにしていました。私は、家のお金の管理を任せられていましたので、保険や税務、資産運用の知識など必ず役に立つと信じて勉強をしていました。
また、DVDで視聴した講義内容を夫に要約して話し、夫からの質問に答えられるようにしていました。自分自身の頭の整理にもつながりましたし、夫婦で勉強をしている感はありました。
昼間、家の近くにあるショッピングセンターのカフェで勉強をした点もよかったです。カフェで勉強やおしゃべりをしている学生も多く、その隣にいると学生時代に戻った気分で勉強ができました。ショッピングセンターでは、チェコで流行している音楽やファッションを感じることもできましたので、気分転換しながら勉強をしていました。たまにコーヒーにケーキをつけて自分へのご褒美としていましたよ。
実際に選択して、今の心境は?得たものはありますか?
実際、スポーツを通じて多くの友人ができました。日本人が少ない地域でしたので、チェコの友人は本当に心の支えになりました。私とは違う価値観や生活習慣を知ることができたのも、現地の人々と交流したからだと思います。帰国した今でも連絡を取り合う親友ができたことは本当に幸せです。
精神面では、確実にたくましくなりました!言いたいことを伝えられないもどかしさを経験し、辛い時期もありました。でも、優しく手を差しのべてくれる人たちに救われました。その経験があるからこそ、自分も日本で困っている人がいたら同じことをしてあげたいと思うようになりました。
資格の勉強を続けたことは、自分のキャリアを考える上でプラスになったと思います。実際のところは、帰国後すぐに出産し、子育てがスタートしました。そして転勤と第2子出産で今に至っています。帰国後すぐに働くというプランは書き換えることになったので、まだまだこれからですね。
帰国前にやっておいてよかったこと、やっておけばよかったこと
やっておいて良かったことは、現地の友人をつくってチェコでの生活を楽しんだことです。
日本人が少ない地域でしたし、当時は子どももいなかったため、内にこもりがちですが、一歩を踏み出してみたことで世界が広がりました。
やっておけば良かったことは、帰国後の仕事をもっと具体的にイメージして、相談できる相手を探しておけばよかったと思っています。帰国後は、新生活立ち上げなど目の前のことに追われ、ふと気づいたら何年も経ってしまいました。
もう一つやっておけば良かったことは、夫の家事能力を少し高めておけばよかったなと(笑)帰国してつくづく思うことです。夫は仕事が忙しいため、駐在中は家のことは私に任せて!と家事はほぼ100%こなしていました。新婚当初にこのスタイルを作ってしまったので、日本に戻っていざ私が動きたくても家事・育児は私の役目になっており、新たな課題がでています。
ワンポイントアドバイスがあれば、ぜひ!
駐在生活はいろいろと不安があるものです。そんな時は、誰でもよいので悩みを打ち明けるとよいと思います。
当時は駐在妻情報も少なく、現地での日本人も少ない。頼りにしている夫も仕事が忙しく、なかなか相談できずにいました。一人で悶々とする時間が積み重なり、気持ちが爆発してしまったこともありました。現地での生活、将来のこと、仕事の悩みなどは、誰かに相談してみる!言葉にするこで、自分の頭が整理されるかもしれないし、誰かがアドバイスをくれるかもしれません。
また、「人と比較をしない」こともオススメします。まわりの活躍が気になって焦ったり落ち込んだりもしましたが、自分は自分の人生。人の人生を参考にはするけれど、比較して辛くなるのではなく、自分もできるかもしれない!と前向きにとらえるとよいと思います。
「せっかく地球に生まれてきたのだから」を合言葉に4年半のチェコ生活を楽しみました。日本では経験できないことをトコトン楽しんでみてもよし!将来のことを考えてすごすのもよし!皆さんの駐在生活が生き生きとしたものになりますように。