海外駐在員のワーク&ライフ ~そのリアルな実態と駐在員家族に必要なサポートとは?~

帰任後の環境が不安という声も

帰任後を考えたときに、自身の「帰任後のポジション」や「自身のキャリア」について不安があるという切実な声も多く見られました。「帰任後のポジション」が41.2%、「子女の教育問題」が40.5%と4割を占め、次に「自身のキャリア」が38.2%、「配偶者のキャリア」が34.4%の順に多い結果に。また、「帰任時期が未定のため、今後のライフプランの見通しが立てにくい」という声も見られました。

子女教育については、語学スキルの維持や今後の進学先について不安があり、帯同家族の帰任後の日本での過ごし方にも影響が出ているようです。

Q12. 現在、海外駐在中の方にお聞きします。帰任後に不安に思っていることがあれば、該当するものをすべて選択してください。

グローバルな環境で、仕事面でも生活面でも視野が広がった!

回答者の5割以上が、赴任に伴う業務範囲・裁量範囲拡大、昇格・異動によって、視野が広がり、スキルアップに繋がっていると明らかになりました。また、現地スタッフや取引先とのコミュニケーションを通じて価値観や働き方の多様性を知り、日本人の働き方の良し悪しに気付いたという声も。「物怖じしなくなった、自信がついた」、「現地スタッフの成長を自分の目で見届けることができた」等、前向きなコメントが多く見られました。

日常生活では、「異文化に触れられたこと、それによって視野が広がり多様性を受け入れられるようになった」、「子ども・家族に貴重な経験をさせることができた」、「日本とは違って、子育てがしやすい」というコメントもあり、特に「子ども」に関する回答が目立ちました。また、「旅行に行くことができる(日本では行きにくい場所含める)」、「語学力が上がった」、「プライベートや家族と過ごす時間が増えた」という回答も。ときに苦悩や失意に苛まれることもある海外生活ですが、「海外赴任ができて良かった!」という声も目立ちました。

Q13. 海外駐在を経験して良かった点を、仕事面・生活面それぞれについて教えてください。(自由記述)

<仕事面>

※ワードクラウド分析:文章中に出現する単語の中から特徴的な単語を選び出し、図示しています。単語の大きさはどれだけ特徴的であるかを表しており、色は品詞を表しています。

<コメント紹介:仕事面>

  • 経営マネジメントにおいて、多様性を認める土壌が築けた。
  • 価値観の違う国や文化の人達との仕事を通じて自身の視野が広がった。
  • 日本の仕事への見方が変わった。
  • 良い意味で、常識を疑うことができるので、幅広い考え方ができるようになった。
  • 仕事の特性上、社内の不特定部門との交流が多いため、ネットワークが膨大に構築できたこと。また、海外にいることで客観的に自社が置かれている状況を把握できた。
  • 英語でのコミュニケーション能力向上。

 

<生活面>

※ワードクラウド分析:文章中に出現する単語の中から特徴的な単語を選び出し、図示しています。単語の大きさはどれだけ特徴的であるかを表しており、色は品詞を表しています。

<コメント紹介:生活面>

  • 真の意味で異文化や多様性を受け入れる精神的土壌ができた。
  • 子供に貴重な経験をさせることができた。
  • 日本の常識は海外で必ずしも常識でない事を実感できる。
  • 自分の力で生活基盤を築く難しさの反面で語学力の上達を感じ、異文化の中での順応性を感じられる。
  • 家族の結束が高まった(サバイバル力が身についた、環境適応力が高くなった)。
  • 多国籍の中で生活することで、相手への思いやりや尊敬の気持ちが醸成されやすい。
  • 海外で生活することで、日本の良いところ、悪いところを確認することができ、自分の価値観に大きな影響を与えている。

家族帯同の海外駐在員の多くが、配偶者に「ありがとう!」

家族帯同の場合、配偶者がキャリアを中断して帯同してくれたこと、慣れない土地で生活のサポートをしてくれていることへの感謝の声が多い結果に。自由記述回答者の6割が配偶者のキャリアに言及しており、「キャリアを中断させることになって申し訳ない」という気持ちが目立ちました。また、感謝と共に、配偶者が海外生活を楽しんでいること、赴任先に適応していることに安心したという声も見られました。

「キャリアの中断」に悩む女性が増えていますが、駐在員本人にとっても悩みの一つであることが明らかになりました。

Q14.配偶者のいらっしゃる方にお聞きします。 配偶者(妻または夫)には直接言えないけど、思っていることや伝えたいことがあればぜひ教えてください。 (自由記述)

※ワードクラウド分析:文章中に出現する単語の中から特徴的な単語を選び出し、図示しています。単語の大きさはどれだけ特徴的であるかを表しており、色は品詞を表しています。

<コメント紹介>

  • 慣れない土地での苦労を掛けて申し訳ないと思っているが、頑張って適応し、楽しんでくれているので非常に感謝している。
  • 自ら希望した海外赴任に同意してくれて、かつ妻自身は日本で仕事を続けるという選択を良しとしてくれて感謝している。むしろ夫婦の絆は強くなっているように思う。
  • 出産や子供の世話等、お互いの両親がまわりにいない環境でベストを尽くしてくれて感謝している。
  • 赴任前は配偶者のキャリアを中断させてしまうことを深く考えていなかったが、自分が思っていたよりも本人にとっては深刻だったことに赴任中に気づかされて申し訳ない気持ちになった。
  • 自分のためにキャリアの中断を決意し、家庭のために精一杯尽くしてくれて感謝してもしきれない。
  • 妻のお陰で、私自身の交際範囲も広がり、感謝している。

渡航前の情報収集と赴任中・帰任後に向けた外部とのネットワークを充実させ、駐在生活を有意義なものに!

冒頭の概要にも記載した通り、本調査より、海外駐在員は赴任前から赴任中、そして帰任後の各ステージにおいて、さまざまな不安やストレスを感じていることが明らかになりました。また、所属企業や団体から十分にサポートを受けられていない/満足できていないという声も聞かれました。駐在員のパフォーマンスを上げ、家族にとっても有意義な海外生活となるよう、ニーズに合ったサポート、および社会の変化に即した帯同家族ケアが求められているといえるでしょう。

しかし、所属企業や団体のサポートが充実するまで待っていては、時間がかかりすぎてしまうかもしれません。

わたしたち駐妻カフェのように、駐在員および帯同家族向けサポートを展開している企業や団体は近年増えつつあります。皆さんには、ぜひこれらの情報を積極的に活用して、現地での生活を快適に過ごしていただきたいと思います。

 

駐妻カフェでは、メンタルケアに関して「こころの相談先」ページでご紹介していますので、ぜひご活用ください。

 

なお、駐妻カフェでは、特に、「赴任前」の不安を早期に解消することは、とても重要なことだと考えています。

駐妻カフェの運営母体であるグローバルライフデザインでは『渡航前オリエンテーション』を実施しています。駐在家族を支えるキーパーソンである”駐在妻”として赴任される方に向けて、赴任前の不安の解消から、赴任中に悩みを分かち合える仲間を作ること、そして帰任後のキャリアイメージを充実させることを目的として、2018年からスタートしました。法人企業からの参加も含めて、今まで20か国約70人のプレ駐在妻の方にご参加いただいています。オリエンテーションが終わって現地に帯同してからも、参加者同士での交流が盛んに行われているいう声も届いています。これこそ、駐妻カフェが目指している「海外で孤独な駐在妻を作らない」を体現した取り組みです。

 

また、帯同中・帰任後の方にも、さまざまな情報やオンラインでの交流の場(オンラインカフェ)を提供しています。

 

社会の変化とともに、海外駐在に帯同する配偶者のキャリアは、夫婦にとって大きなテーマとなってきています。

駐妻カフェサイトでも、「駐在妻とキャリア」というテーマで、オンラインカフェやさまざまな情報提供をしています。

 

駐在員および配偶者の皆さんが悩んだり不安な気持ちになったとき、1人で頑張らずに、周りに頼ることも大事だと私たちは考えます。このようなサービスを活用することも選択肢の一つにしてみてください。

今回の調査結果を元に、駐在員・帯同家族の皆さんが必要としているサポートが所属企業・団体から十分提供されるよう、支援の必要性を引き続き社会に訴えていきます。

海外生活および帰任後の明るい未来のために、一緒に頑張りましょう!

 

▼前回のアンケート調査結果「海外での乳幼児の子育てについて」もぜひご覧ください。

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