駐在家族のモヤモヤ解決ポイント⑦まずは会社の人事部門に確認しよう

このシリーズでは、駐在家族のキャリアに関する「モヤモヤ」を解決するヒントをお届けしています。
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今回は、
- 休職の手続きはどうすればいい?退職の手続きはどうすればいい?
というお悩みに対する解決ポイントを紹介します。
運営メンバー、台湾在住のいせやんです。
夫の海外転勤への同行に伴い自身の会社を休職または退職すると決めた場合、どのような手続きが必要になるのでしょうか。
手続きに関する細かな内容や方法は、会社や居住地の役所によっても異なると思います。ここでは、休職・退職の一般的な手続きの進め方と、確認しておいた方がよいポイントを中心にお伝えします。
休職手続きについて
休職の場合、会社独自の制度となるため、情報収集も社内コミュニケーションが必要になってきます。
休職手続きの大きな流れは、
休職制度についての下調べ → 上司への相談 → 人事部門との手続き
と進めていくことになるでしょう。順番に確認ポイントをお伝えしていきます。
手続き開始前の下調べと事前相談のポイント
Point1 情報収集の窓口は?
人事部門に相談・確認する前に情報収集したい場合、上司や休職制度を利用したことのある同僚に相談するほか、キャリアサポート部門などがあれば、そちらで相談してみるのもよいでしょう。
早い段階で上司に相談するメリットとしては、休職制度の利用を検討する前に、「働き続けるために配置転換(転勤や出向)する」ことも検討できることです。
情報収集は、一部の情報で決めつけないで、いろんな方の助言を受けることが大切です。
また、社外の情報に目を向けることも忘れないでおきましょう。人事制度もどんどん変化しています。他社の先行事例から情報収集することで、自社の前例にとらわれずに今のあなたに合った制度の利用を検討できるかもしれません。
たとえば、先輩駐在妻のこんな体験談があります。

私の友人の会社では、休職中に現地での就労やリモートワークなどの副業を許可しているそうです。
※滞在国の法律に反しないことが前提です。また、国によっては取得するビザの種類も変わります。
※育児休業中は不可だそうです。



前例者の話から帯同休職中の兼業は諦めかけていましたが、人事部門への働きかけによって許可をもらいました。
社会の環境変化に応じた規則の変更、配偶者(駐在員本人)の状況、駐在妻自身の希望と動きによって人事部門の判断は一律ではないはずです。
前例に囚われるだけでなく「最新の情報」を確認し、働きかけてみると、様々な可能性が広がるかもしれません。
Point2 どのような制度を利用できそうか?
休職制度を利用している先輩駐在妻に話を聞くと、さまざまな制度を活用しているようです。名称は会社ごとに異なると思いますが、主には下記の3種類が活用されている実態があります。
- 配偶者同行休職制度
- 育児休業制度
- スキルアップ休職制度
「配偶者同行休職制度なんて私の会社にはない」と諦める前に、他に利用できる制度がないかという視点で調べてみるとよいでしょう。
人事部門との手続きで確認しておくべきポイント
休職手続きの最大の特徴は、「個人により状況が異なるため、各自の状況に合わせて手続きを進めていく」ということではないでしょうか。
いざ手続き開始!となったときに、どのように進めていくのがよいのか、また、人事部門に確認しておくとよいポイントはなにか、先輩駐在妻へのヒアリング結果も含めてお伝えしていきます。
Point1 自分の状況と希望を明確にしてから手続きを進めよう
休職制度は、利用する人によって状況がまちまちのため、人事部門担当者も過去の事例を把握しきれていないこと、その場で判断できないことがあるかもしれません。
そこで、まずは自分自身の状況や希望を明確にしたうえで、手続きを進めていく必要があります。
例えば
- 制度の期限内で帰国ができる見込みがあるのか?帰国ができない場合、一人で帰国する意思があるのか?もしくは、期間延長について交渉を求めるのか?
- 休職中も発生する、社会保険料などに対する支払い能力、意思はあるのか?
- 休職中に別の収入源(副業)を得たいなどのキャリアプランを持っているのか?
Point2 忘れがちだけど確認しておきたいポイント
休職期間に入る前にどのような点を確認しておいた方がよいのか、先輩駐在妻に聞いてみました。
例えば
- 休職中に発生する金銭(社会保険料等)の負担方法および支払い方法
- 郵便物の受取り先住所、会社貸与品(パソコンなど)の扱い
- 職場を通じて手続きしていたもの(年末調整等)の手続き方法
- 休職中は、配偶者の扶養に入ることができるのか(自身の会社、配偶者の会社、両方へ確認してみてください)
Point3 決まった内容とやりとりは必ず記録に残しておこう
このように、休職に向けての手続きは複雑なため、一つひとつ丁寧に進めていく必要があります。
休職中に上司や人事担当者が変更することは十分に考えられます。そのときに情報が滞ったり、コミュニケーションが取りづらくなったりすることがないように、手続きの内容についてのメモやメールのやり取りを残しておきましょう。
また、事前に休職中の連絡方法や窓口を明確にしておくとよいでしょう。
例えば
- 社内制度や社内手続きに変更があった場合の連絡窓口
- 自身の状況についての定期報告先
休職手続きのキーワードは、「十分な確認と密な連絡」です。少しでも分からないことや不安が出てきたら、細かい点でも確認し、記録をとっておきましょう。
また、休職中も国や会社の制度・規定に基づいた「最新の情報」を押さえておくことも大切です。それらと「自分の状況」を常に掴んでおくことで、休職中でも必要に応じて様々な対応が可能になるかもしれません。
退職手続きについて
退職の手続きについては、主に「退職日までの社内手続き」と「退職後の手続き」に分かれます。
ここではまず、手続きの目的を理解するために、退職することで起こる変化を整理し、それに伴う手続きを説明していきます。
※専門家によるアドバイスではないため、手続きの内容や詳細はご自身で確認してくださいね。
退職で起こる変化と必要な手続き
退職することで起こる変化とは
「退職後、無就労で夫の海外赴任に同行する」という場合、以下のように、自身の社会的立場が変化し、その変化に対応するための手続きが必要となります。
- 会社の福利厚生(財形・保険・企業型確定拠出年金 など)で加入していたものの権利が消滅するため、解約もしくは移管が必要になる
- 会社が代理していた納税手続きを自身で行う必要がでてくる
- 配偶者の扶養に入る
- 失業保険受給資格を得る
手続き内容を確認してみよう
これらの変化に対する手続きを「退職日までの社内手続き」と「退職後の手続き」に分けて説明します。
1)退職時に会社と行う手続き
退職時に会社と行う手続きは大きく2つです。
- 非社員となることによる様々な失効の手続き
- 退職および失効したことの証明書を会社に発行してもらう
退職時の手続きに関しては、基本的には退職の意思を上司に伝え、退職願を提出すれば、人事部門より退職手続きに関する案内を受けると思いますので、その通りに進めれば問題はありません。
2)退職後に自身で行う手続き
退職後に必要な手続きは大きく2つです。
- 夫の扶養に入るために、夫の会社への申請手続き
- 納税/失業保険の手続き
「退職後、無就労で夫の海外赴任に同行する」場合、退職後の諸手続きは自身で行う必要があります。
会社が発行してくれる証明書を忘れずに受け取り、手続きを進めていきましょう。
《まとめ》起こる変化に対応するための手続き一覧
| 退職前に 会社と行う手続き | 退職後に 自身で行う手続き | |
|---|---|---|
| ①福利厚生で利用していたものの解約・移管 | 解約手続き ・財形 ・生命保険 ・確定拠出年金 など | 見直し・移管手続き |
| ②会社が代理していた納税手続きを自身で行う | 会社から給与証明(源泉徴収票)の受取り | 納税 ・住民税 (前年の年収分について、翌年課税されるため、本年の年収に対しては、来年6月に新たに市区町村から請求されます) ・所得税 (会社から源泉徴収票を受け取っておき、翌年2月中旬〜3月中旬頃、自身で税務署に提出しなければならない) |
| ③配偶者の扶養に入る | 失効手続き、証明書発行 ・健康保険 ・年金 | 夫の会社との手続き ・健康保険加入(退職後14日以内) ・年金加入(退職後14日以内) →夫の会社から、扶養に入るための申請書類をもらい、手続きを進めましょう。 |
| ④失業保険受給資格を得る | 離職票の受取り(退職後に発行される) | 失業保険受給延長の申請(※1) |
(※1) 失業保険受給資格は、原則として就職する意思があることが求められます。しかし、求職活動ができない理由が海外勤務する配偶者の同行である場合、受給延長申請を行うことができます。
申請には、夫が海外赴任をする、またはしていることを証明する書類の提出を求められることがあります。(人事異動命令通知書など)
また、自身が出国した証明を求められる場合もあるため、その場合は、海外転居後に、代理人による申請手続きが必要になります。
詳しくは居住地のハローワークに問い合わせてください。
これらの具体的な手続き内容については、インターネットで調べるといろいろな情報をみつけることができるかもしれません。参考にしてみてはいかがでしょうか。
退職日・渡航日の設定で気をつけること
退職した後に海外転居になる駐在妻にとって、重要になってくるのは、「手続きにかかる時間」です。郵便物などの受け取りが困難になるため、可能な手続きは国内にいる間に済ませられるように渡航日を設定したほうがよいでしょう。
先輩駐在妻からさまざまな体験談が届いていますので、その体験談を含めて「渡航日の設定」や「退職日の設定」に役立ててくださいね。
手続きに時間がかかる事例
| 離職票 | 会社から発行してもらうものです。 通常、退職後に会社から郵送で送られてきますが、会社によっては10日〜1ヶ月かかるケースもあります。 離職票は、失業保険受給延長申請に必要となります。 |
|---|---|
| 失業保険受給延長申請 | 申請可能期間は、退職日の翌日から30日後の翌日からです。 代理人による申請も可能ですが、その際には委任状の準備をしておきましょう。 |
| 新しい健康保険証 | 夫の扶養に入ってようやく手に入れられる新しい健康保険証。この入手に時間がかかったとの体験談が多くありました。 渡航前に色々と病院を回りたいのに足止めされることもあるので、考慮しておきましょう (診察時に手元になくても、同月以内に病院に持参すれば保険適用をしてくれるという場合もあります) |
| 税金の支払いなど | 期間を開けて手続きが発生するものについては、その支払い方法を事前に確認しておきましょう。 |
退職日は逆算で決める:先輩体験談
退職日を決めるにあたり、いろいろな観点から、月末ではなく20日を退職日にしたという先輩駐在妻にお話を聞きました。
その10日間の違いで何が変わったのか?ご自身の状況を整理するためのヒントになるかもしれませんよ。



まずは状況を教えてください



勤続10年を目の前にして夫の海外赴任が決まり、同行することを決意しました。そして、先に赴任した夫を追いかける形で9月末に渡航することを決めました。次に決めるのは退職日だったのですが、思いのほかいろいろな要素が絡んできて…。



退職後にやらなければいけない手続きなどもありますよね。最初はどのような点を重視されたのですか?



まず最初に、年金や失業保険の都合上、勤続10年を超えてから退職したかったので、退職は8月以降にしようと思いました。なので、自然と8月末に退職することになるかなと思っていたのですが…



8月末だと都合が悪いことがあったのですか?



退職後に、失業保険受給延長の申請をしてから渡航したかったのです。すると、8月末の退職では間に合わないことがわかりました。
また、当時は子どもを保育園に預けていたのですが、待機児童問題もあって基本的には退職月で保育終了と言われました。しかし相談の結果、渡航準備のために退職日から1カ月強は猶予をもらえることになったので、8月後半で退職をできることが望ましいと考えました。(※1)



渡航準備は出かけることも多いので、保育園を継続してもらえるのはとてもありがたいですよね。
最終的に退職日を20日にしたのはなぜですか?



私名義で会社から住宅補助をもらっていたので、退職日までに海外への荷出しと賃貸マンションからの退去(実家への移動)をしなければなりませんでした。
その日程を確保しつつ、人事部門と相談した結果、最終的には給料の締め日である20日が退職日となりました。



さまざまな考慮が必要になったのですね。無事に渡航ができてよかったです。
最後に、プレ駐在妻の方に一言をいただけますか。



私のように退職から渡航までの期間が短くなりそうな場合は、退職日の設定が重要になってくると思います。人事部門とも相談して進めてみてくださいね。
(※1)保育園の利用調整については市町村、保育園により判断が異なると思いますので、各自で相談してください
ここまで休職、退職の手続きについて紹介してきました。
しかし、もしまだ仕事を続けていきたいという気持ちがあるのであれば、「現地に自分自身の赴任は可能か」「リモートワーク等で遠隔地からでも働ける方法はないか」など、いろいろな可能性も相談してみてください。先輩駐在妻にもそのような道で仕事を継続していらっしゃる方もいます。
ぜひ、自分自身で道を狭めずに、上司や人事部門、また同じような境遇の方への相談も大切にしてみてくださいね。
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