退職手続きについて
退職の手続きについては、主に「退職日までの社内手続き」と「退職後の手続き」に分かれます。
ここではまず、手続きの目的を理解するために、退職することで起こる変化を整理し、それに伴う手続きを説明していきます。
※専門家によるアドバイスではないため、手続きの内容や詳細はご自身で確認してくださいね。
退職することで起こる変化と、それに伴う手続きとは?
退職することで起こる変化とは
「退職後、無就労で夫の海外赴任に同行する」という場合、以下のように、自身の社会的立場が変化し、その変化に対応するための手続きが必要となります。
- 会社の福利厚生(財形・保険・企業型確定拠出年金 など)で加入していたものの権利が消滅するため、解約もしくは移管が必要になる
- 会社が代理していた納税手続きを自身で行う必要がでてくる
- 配偶者の扶養に入る
- 失業保険受給資格を得る
手続き内容を確認してみよう
これらの変化に対する手続きを「退職日までの社内手続き」と「退職後の手続き」に分けて説明します。
1)退職時に会社と行う手続き
退職時に会社と行う手続きは大きく2つです。
- 非社員となることによる様々な失効の手続き
- 退職および失効したことの証明書を会社に発行してもらう
退職時の手続きに関しては、基本的には退職の意思を上司に伝え、退職願を提出すれば、人事部門より退職手続きに関する案内を受けると思いますので、その通りに進めれば問題はありません。
2)退職後に自身で行う手続き
退職後に必要な手続きは大きく2つです。
- 夫の扶養に入るために、夫の会社への申請手続き
- 納税/失業保険の手続き
「退職後、無就労で夫の海外赴任に同行する」場合、退職後の諸手続きは自身で行う必要があります。
会社が発行してくれる証明書を忘れずに受け取り、手続きを進めていきましょう。
《まとめ》起こる変化に対応するための手続き一覧
退職前に 会社と行う手続き | 退職後に 自身で行う手続き | |
---|---|---|
①福利厚生で利用していたものの解約・移管 | 解約手続き ・財形 ・生命保険 ・確定拠出年金 など | 見直し・移管手続き |
②会社が代理していた納税手続きを自身で行う | 会社から給与証明(源泉徴収票)の受取り | 納税 ・住民税 (前年の年収分について、翌年課税されるため、本年の年収に対しては、来年6月に新たに市区町村から請求されます) ・所得税 (会社から源泉徴収票を受け取っておき、翌年2月中旬〜3月中旬頃、自身で税務署に提出しなければならない) |
③配偶者の扶養に入る | 失効手続き、証明書発行 ・健康保険 ・年金 | 夫の会社との手続き ・健康保険加入(退職後14日以内) ・年金加入(退職後14日以内) →夫の会社から、扶養に入るための申請書類をもらい、手続きを進めましょう。 |
④失業保険受給資格を得る | 離職票の受取り(退職後に発行される) | 失業保険受給延長の申請(※1) |
(※1) 失業保険受給資格は、原則として就職する意思があることが求められます。しかし、求職活動ができない理由が海外勤務する配偶者の同行である場合、受給延長申請を行うことができます。
申請には、夫が海外赴任をする、またはしていることを証明する書類の提出を求められることがあります。(人事異動命令通知書など)
また、自身が出国した証明を求められる場合もあるため、その場合は、海外転居後に、代理人による申請手続きが必要になります。
詳しくは居住地のハローワークに問い合わせてください。
これらの具体的な手続き内容については、インターネットで調べるといろいろな情報をみつけることができるかもしれません。参考にしてみてはいかがでしょうか。
退職日・渡航日の設定で気をつけるポイントとは?
退職した後に海外転居になる駐在妻にとって、重要になってくるのは、「手続きにかかる時間」です。郵便物などの受け取りが困難になるため、可能な手続きは国内にいる間に済ませられるように渡航日を設定したほうがよいでしょう。
先輩駐在妻からさまざまな体験談が届いていますので、その体験談を含めて「渡航日の設定」や「退職日の設定」に役立ててくださいね。
退職日・渡航日の設定に影響する?手続きに時間を要する事例
離職票 | 会社から発行してもらうものです。 通常、退職後に会社から郵送で送られてきますが、会社によっては10日〜1ヶ月かかるケースもあります。 離職票は、失業保険受給延長申請に必要となります。 |
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失業保険受給延長申請 | 申請可能期間は、退職日の翌日から30日後の翌日からです。 代理人による申請も可能ですが、その際には委任状の準備をしておきましょう。 |
新しい健康保険証 | 夫の扶養に入ってようやく手に入れられる新しい健康保険証。この入手に時間がかかったとの体験談が多くありました。 渡航前に色々と病院を回りたいのに足止めされることもあるので、考慮しておきましょう (診察時に手元になくても、同月以内に病院に持参すれば保険適用をしてくれるという場合もあります) |
税金の支払いなど | 期間を開けて手続きが発生するものについては、その支払い方法を事前に確認しておきましょう。 |
退職日を決めるためには逆算が必要かも?先輩体験談
退職日を決めるにあたり、いろいろな観点から、月末ではなく20日を退職日にしたという先輩駐在妻にお話を聞きました。
その10日間の違いで何が変わったのか?ご自身の状況を整理するためのヒントになるかもしれませんよ。
また、当時は子どもを保育園に預けていたのですが、待機児童問題もあって基本的には退職月で保育終了と言われました。しかし相談の結果、渡航準備のために退職日から1カ月強は猶予をもらえることになったので、8月後半で退職をできることが望ましいと考えました。(※1)
最終的に退職日を20日にしたのはなぜですか?
その日程を確保しつつ、人事部門と相談した結果、最終的には給料の締め日である20日が退職日となりました。
最後に、プレ駐在妻の方に一言をいただけますか。
(※1)保育園の利用調整については市町村、保育園により判断が異なると思いますので、各自で相談してください
ここまで休職、退職の手続きについて紹介してきました。
しかし、もしまだ仕事を続けていきたいという気持ちがあるのであれば、「現地に自分自身の赴任は可能か」「リモートワーク等で遠隔地からでも働ける方法はないか」など、いろいろな可能性も相談してみてください。先輩駐在妻にもそのような道で仕事を継続していらっしゃる方もいます。
ぜひ、自分自身で道を狭めずに、上司や人事部門、また同じような境遇の方への相談も大切にしてみてくださいね。
◆その他の駐在妻のモヤモヤとそれをスッキリ解決するためのヒントも併せてご覧ください
→駐在妻のキャリア『モヤモヤ&スッキリ』一覧表
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詳しくは下記リンク先にてご確認ください。
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