キャリアは自分の手でつかみに行く! イギリス駐在妻が現地フルタイム勤務に挑戦

渡航後、現地で仕事を始めた理由やきっかけを教えてください。

渡英を決めると、子どもたちの転校の準備、夫の送り出し、また引っ越し直前まで働きながらの荷造りなど、想像を絶する忙しさが待っていました。それらを乗り越え無事にロンドンへ着いた後は、大きなことを成し遂げた達成感と同時に、底知れぬ脱力感に見舞われました。

その後は、多くの駐在妻が抱える「私ってなんなんだろう…」という思いにとらわれました。しかし、苦労して再就職した仕事を辞めてきたこともあり、なんとか仕事を続けたい気持ちが強かったことから、ほどなく自らを奮い立たせ、自分の力を活かす道を探すことにしました。

今回の渡英では、息子たちをボーディングスクール(寄宿学校)へ編入させたため、普段は夫と2人の生活となり、時間にかなり余裕がありました。幸い、英国の帯同ビザは就職することが可能だったので、夫の勤務先にも確認した上で就職活動を開始しました。まずは、人材派遣会社への登録とともに、ボランティア等の仕事を探し始めました。

今思い出しても、動き出すまでの鬱々とした時間が、精神的にいちばん苦しかったと思います。

どのように、またどのような条件で仕事を探し、見つけましたか?

働きたい気持ちは強かったものの、英語も得意ではなく、また英語を使って仕事をした経験もなかったため、まずは日本人向けの日系人材派遣会社に登録をしました。自宅から通える勤務先であること、パートでもフルタイムでも構わない、という条件で登録したと思います。職種は特に指定しませんでした。ほどなく、日系大手商社の事務職を斡旋されましたが、自分がその仕事をしているイメージがどうしてもわかず、そのときは断念しました。

その後、日本人向けのコミュニティサイトで、現地留学エージェントのインターンシップ募集記事を見つけました。そこで、『無給インターンシップでもいいので、海外で働いてみたい』という気持ちで話を聞きに行ったところ、「留学カウンセラーの枠がちょうど空くので、やってみないか?」という提案をいただき、前職の留学関連の仕事についていた経験もあったので、挑戦することにしました。

もちろん、英語を使う業務やフルタイムで働くことへの不安もありましたが、「挑戦せずして成長なし」と肝に銘じ、お引き受けすることにしました。

緑に囲まれたボーディングスクール
緑に囲まれたボーディングスクール

お仕事内容や働く環境はどのようなものでしたか?

勤務先はセントラルロンドンにあり、世界中に展開している留学エージェント(本社は東京)の現地法人でした。留学カウンセラーとして、これから留学をされる方の学校選び、各種手配、渡英後のサポートなど、一貫した留学生のサポートが主な業務でした。それ以外には、会社のホームページの作成や各イベントの企画運営、また学校やホームステイ先の新規開拓など、多岐にわたる業務を経験できたことは、とてもよい経験になりました。

オフィスには、社員が私を含めて3~4名、インターンシップが2~3名という規模でしたが、留学生が訪れることも多く、常に活気のある職場でした。

勤務自体は、月~金の週5日11時から17時。仕事の後は、職場の仲間と食事やミュージカルを観に行くなど、充実した時間を過ごすことができました。

実際に取り組んでみての感想や今の心境は?

最初は、電話に出るだけでも手に汗を握る状態でした。今思い返しても、よくやったなと思います。

当初は英語でビジネスメールを書くことすらままならない状態でしたが、習うより慣れろで、数をこなすうちに少しずつ抵抗もなくなっていきました。夫とのLINEのやり取りを英語にするなど(笑)、自宅でもなるべく英語に触れる機会を増やしたこともよかったかもしれません。

また、実際にボーディングスクールへ息子たちを通わせていることもあり、同じような親御さんからのご相談に関しては、説得力を持って対応できたと思います。これまでの経験や今の経験を生かすことのできる仕事に巡り合えたことは、とてもラッキーでした。

現状の自分の能力でこなせる仕事をするより、少し無理をしても上を目指した方が人間は成長できると思います。少しずつ経験を重ねていくうちに、いつの間にか、出張やワークショップへの参加などもこなせるようになりました。

最終的に中高生留学の主担当となり、英国留学に関して、かなり知識がついたと感じています。前職の日本から留学生を送り出す仕事、そして現地で留学生を受け入れる業務を通して、留学というものの価値を改めて感じ、また実際に留学生が大きく成長する姿を目にすることができたのは、大変有意義な経験になりました。駐在妻の友人たちに、海外での教育についてアドバイスを求められることがあり、まだまだ知られていないことがたくさんあると気づきました。

今は長期で日本に一時帰国しなければならない予定があり一旦退職しましたが、今後はこの経験を踏まえ、どこにいても、また他の国に住むことになっても、そしていくつになっても自分らしく仕事ができるよう、私なりに日本人の留学促進に貢献していく道を、起業を含めて探していきたいと思っています。

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