キャリアは自分の手でつかみに行く! イギリス駐在妻が現地フルタイム勤務に挑戦

この経験から得られたものがあれば教えてください。

まずは、『海外で働く』という目標を達成できたことに、大きな喜びを感じました。「駐在妻だからキャリアはあきらめるしかない…」と思っていた時もありましたが、一歩動きだしたおかげで、やりたい仕事に巡り合えたことから、やはり動いてみることが大切だと感じました。

あとはあきらめない精神力、そして困難をも楽しむポジティブさでしょうか。自分でどうにもならない部分(=駐在自体)を嘆いても仕方ないので、その中で、いかに自分を成長させることができるかを常に意識することで、限られた時間を有効に使うことができます。せっかく海外で生活しているのですから、「その時にしかできないことをやってみる!」という心がけひとつで、充実度が変わってくると思います。

また仕事を通じて、英語力や海外の人との折衝力、もともと得意ではあったコミュニケーション力は、さらにアップしたと思います。

この取組みに対して家族の反応はどうでしたか? 何か協力を求めるようなことはされましたか?

子どもはある程度大きくなると、いくら口で言っても、うるさがられるようにしかなりません。そんなときは、やはり親自身が頑張る姿を見せることが一番だと思っています。うまくいっているところだけでなく、もがいて苦しみながらもあきらめない姿勢を見せることこそが大切だとも。

今回の渡英では、息子たちにも大変苦しい思いをさせたこともあり、私自身があきらめるわけにはいきませんでした。息子たちは、中学3年と高校2年という時期にいきなり全寮制のボーディングスクールへ編入させられ、語学や生活はもちろん、勉強面でも大変な苦労を強いられたことでしょう。特に最初の半年間ほどは、慣れない食事(けっして美味しくない…)や寮での規則正しい生活に苦労したようです。

しかし、寮には世界各国からの留学生もいて、1日24時間を共に過ごす中で、語学力の向上とともに、様々な価値観を肌で知り、心身ともにたくましく成長してくれました。長い休みで自宅に戻っているときは、食事の準備をしてくれたことがありました。また、あっという間に私より英語が上達した息子たちに、英訳をお願いしたこともありました。直接、言葉で私をねぎらってくれるようなことはありませんが、応援してくれていることは十分に伝わってきました。

夫は最初から働くことを応援してくれ、いつも一番の理解者であり、ときには厳しい意見を言ってくれる同士でもあります。当初は、どうして私ばかりが仕事を辞めなければならないの?と思っていました。しかし今となっては、こんな貴重な経験をさせてもらっていることに感謝の気持ちが大きいです。何より、今は家族の中で一番、英国好きになっています(笑)。

旅行先のコッツウォルズにて
旅行先のコッツウォルズにて

ぜひ、駐在妻の皆さんに向けたアドバイスを!

以前に、学び直しをした大学の恩師から『キャリアは自分の手でつかみにいく。前例がないことを切り開いてこそ価値がある。』という言葉をもらったことがあり、今も私を支える大切な言葉となっています。

100人いれば100通りの駐在妻生活があります。「前例がないから無理、能力がないから仕方ない」なんて言っていたら、あっという間に駐在生活は終わってしまいます。思うように進まず凹むことも多いですが、とことん落ち込んだら、まずは一歩前に進んでみることをおすすめします。そうすると、助けてくれる人や励ましてくれる仲間に出会い、思わぬ道が拓けることがありますよ。

海外で生活をするだけでも、十分大変なことです。そこに、何かひとつ自分らしいことに挑戦できたら、これからの人生においても大きな自信になることと思います。一緒にがんばりましょう!


<インタビュー後記>

退職、出産、転勤同行、専業主婦への転身など、さまざまなライフイベントを経験してこられたNaomiさん。学び直しを経て、ようやく手にした再就職さえも手放すことになりましたが、決してあきらめることなく現地での就労を手にされました。次々とやってくる転機に決断をせまられる中でも、「その状況の中で自分にできることを探し、信じて、行動すること」が大切なのだと思わされました。Naomiさん、貴重な体験談をどうもありがとうございました!

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