本帰国エピソード vol.1 ~シンガポールから帰国して~

シンガポールに3年滞在し、本帰国したYさんの体験談です。本帰国が決まってから行ったこと、本帰国後に感じた逆カルチャーショック、3年間の滞在生活で感じたことなどをお聞きしました。

自己紹介をお願いします。

Yです。2016年から2019年の3年間、シンガポールに滞在していました。

本帰国が決まって感じたことや、行ったことを教えてください。

3年間の滞在中、前半は激しいアイデンティティロスに陥りました。後半になるとヨガや現地ならではの習いごと、ボランティア活動に参加したりと、試行錯誤の末に少しずつ生活を楽しめるようになっていました。本帰国の2カ月前に内示が出たときは、「まだ帰国したくない」という気持ちでいっぱいでした。

ちょっと落ち込みはしたものの、気持ちを切り替え、残り少ない滞在生活でやっておきたいこと、行きたいところ、食べたいものリストを作成し、それを消化することに専念しました!

リスト項目を消化することによって、帰国時にはある程度の達成感を持つことができました。できなかったことではなく、できたことに目を向けられたことがよかったのではないかと思います。

シンガポール国立博物館。ここでボランティアガイド活動をしていました。

逆カルチャーショックはありましたか。

本帰国直後から、どっぷりと逆カルチャーショックに陥りました。細かいところでは、日本のゴミ出しルールです。シンガポールでは分別はほぼなく、いつゴミを出しても問題はありませんでした。

私の住んでいたコンドミニアムでは、部屋の柱についているダストシュートから気軽にゴミを捨てられ、粗大ゴミもいつでも出すことができました。帰国後、日本の細かい分別ルールや粗大ゴミの申請などを目の当たりにし、しばらく憂鬱に。

服装などで周囲の目を気にしてしまうところにも、しばらく慣れることができませんでした。

現地の生活でよかったと感じたところは、みんなが周りを気にせず、おおらかなところです。例えば、デパートで店員同士がペラペラしゃべったり、小さな店ではレジでお昼ご飯を食べながら店番していたりというのが日常茶飯事。もちろんお客さんがいるときにです。

日本では、ほんの少しの店員の私語でもクレームになってしまうので、「ちょっと息苦しいな……」と感じることがあります。

海外生活を通じて身につけられたのは、トラブルやハプニングが起きても「何とかなるさー」と思えるようになったこと。

同様に何か起きても「最悪」、「〜しなければよかった」というネガティブ思考から、「〜ならなくてよかった」というポジティブ思考に変わりました。

本帰国後の逆カルチャーショックは、裏を返せばそれだけ滞在国に馴染んでいたということだと思うので、あまりマイナスに捉えなくてもよいのではないでしょうか。

これから本帰国される方へのメッセージをお願いします。

渡航直後の自分に言いたいのは、「しんどい時はすぐに人に頼れ!」です。暗黒期、アイデンティティロスを脱するまで多くの時間を要してしまったのは、今思えばもったいなかったです。ミチエさん(当サイトの運営責任者・飯沼ミチエ)も常々話していますが、自分が辛いときはなるべく早く専門家や知り合い、家族に助けを求める方がよいと思います。

海外生活は、自分の価値観を大きく変えられる期間だと思います。

シンガポールで暮らした3年間は、それまでずっと同じ会社で働き、仕事以外の世界を知らなかった私に、これまでの生活では知りえなかった新しい世界を見せ、新しい人たちとのたくさんの出会いを与えてくれました。

アイデンティティロスなど、困難はあるかもしれませんが、それらの困難を乗り越えた先には、きっと新たな価値観で見る新しい世界が広がっていると思います。

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