【メンバー座談会】一時帰国中の体験入学を語ろう!<後編>

前編では体験入学に関する手続きや必要書類、そして実際に体験入学をした子どもたちの感想、先生方やクラスメイトからのサポートなどについて話しました。

後編では、滞在国と日本の学校の習慣や学び方に関して、保護者と子どもそれぞれの目線で驚いたことや気づいたことなどが話題にのぼりました。体験入学後の子どもたちの変化についても語られています。

滞在国の学校との違いや驚いたことは?

授業形式の違いについて

ゆうこ
日本の学校はきっちりしていると感じました。
うちの子の場合は、アメリカの学校の方が授業の進め方や教室の雰囲気が勉強しやすい環境だと言っています。1クラスの生徒数の違いがあるのかもしれません。

ミシェリ
確かに、日本の方が授業中に先生から細かく指示されるから自分の裁量が少ないと上の子は感じたようです。日本は「みんなと同じ内容を、時間かけて足並みをそろえてやっていきましょう」となる。一方アメリカだと「 自分がやりたい内容を、自分のペースでどんどん進めていこう」という感じで普段やっているようです。

学校や先生との連絡手段について

Yui
親として違いを感じたのは、プリントを毎日たくさん持って帰ってくることでした。
個人面談の出欠希望も「プリント下部に記入して切り取って提出する」とか。
アメリカの現地校では、メールやGoogleフォームなどを使うので、もっと手軽です。

ゆうこ
うちの学校の場合は、通常の先生とのやりとりは連絡帳でした。
もし欠席する場合は、集団登校時にクラスメイトに「出欠用紙」を渡しに行かなければならなくて、体験入学中は休まないでと願っていました。

ミシェリ
コロナ禍以降、出欠だけはやっと電話が許されるようになりました。
以前は朝、連絡帳を友だちの家まで持っていく必要があったので、周りに知り合いがいないととても大変でした。

Yui
うちはすべてメールでした。最初、校長先生にメールをしたらクラス担任の先生と繋いでくださって、その後はすべてメールでやり取りできたので、とてもスムーズでした。

通学方法について

Karin
滞在国によっては保護者の付き添いが義務付けられていたり、車移動だったりと、子どもが普段一人で歩く機会がないですよね?その辺りの不安はありませんでしたか?

ミシェリ
交通ルールを守れるかなぐらいの心配はありましたが、以前住んでいた地域だったのでそれほど心配はしていなかったです。アメリカだと車移動が多くて街中を歩くことがないので、子どもたちは歩いて学校に行くこと自体が新鮮だったみたい。

ゆうこ
日本は放課後に子どもだけで外で遊びますよね。自転車で2キロぐらいの範囲を行き来してるような状態だったので、ちゃんと信号のある場所を渡ってくれるだろうかと心配でした。
アメリカに来てから放課後もずっと親が付き添っているのが当たり前の環境になっていたので、「いろいろな面でちょっと過保護になりすぎていたかな」と感じました。

通園・通学の様子。ランドセル姿の男の子とリュックサックを背負った小さな男の子

滞在国で日本人学校に通っている場合

Karin
現地で日本人学校に通っていても、やはり日本の小学校とは違うものですか?

chiharu
日本人学校も全員が前を向いて授業を受けるスタイルは変わりませんが、長女にとっては子どもだけでの登下校、給食、掃除当番、上履きの履き替えなど、新鮮だったみたいです。
タイ在住年数が長いと、「やっぱり一度は体験入学をさせておこう」と考えるご家庭は多かったですね。

体験入学が子どもたちにどのような影響を与えたか

Karin
日本の授業にはついていけましたか?日本の学校で授業を受けて、お子さんに変化はありましたか?

Yui
息子の日本語学習については、日本語学校で算数・国語を、現地の日系の塾で算数と社会を継続してきました。アメリカの現地校では習わない日本の社会科(日本の歴史や地理)の内容を、体験入学時の授業を通じて理解を深めることができたようです。理科の授業内容はアメリカのものと変わらないものの、日本語と英語の用語の違いがあり、そこに苦戦した様子でした。
また息子にとっては、自分の日本語が想像以上に拙くなっていることを実感するいい機会になったようです。黒板を見ながらノートを取ることに関しても、これまでいくら私が声掛けしても響いていないようでしたが、今回の体験入学でその意味を理解できたようです。

ゆうこ
うちもそれはすごく感じました。私たちは半年間しか日本から離れていないタイミングでの体験入学だったので、「家で勉強しているから大丈夫だろう」と思っていたんです。「日本の勉強もちゃんとやって、加えて英語ができるようになったらいいよね」という認識だったのに、たった半年で日本の勉強がとても遅れていることに気付いてしまって。ちょうど期末試験の時期で点数として結果を目にしたので、すごくショックを受けていました。
こちらに帰ってきてからは息子自ら勉強を頑張るようになりました。

Karin
体験入学の経験は本帰国後の学校生活にどのように役立ちましたか?

chiharu
長女は小学校で2回体験入学をして、本帰国したのは中学2年生のときでした。体験入学中に、給食やみんなで登校することを経験していたのでよかったと本人は言っています。
一方、長男はバンコク生まれで日本人学校に通っていましたが、体験入学を一度もしたことがないまま本帰国しました。最初の1年間はもう本当に大変で。通学も不安でついていったり、持ちものもいろいろと知らないものがあったり。だから、タイミングを見て体験入学をさせておけばよかったと今は思っています。

かずりん
年に1回でそれも短期間ですが、馴染みのある学校なので、不安にならずに子どもを送り出せます。親としても、ママ友と会って学校情報や最近の地域情報のキャッチアップができて、本帰国後に浦島太郎状態にならなくて済んだと感じました。

体験入学後の交流

Yui
実は体験入学後も担任の先生とメールで連絡を取り合っていて、息子のアメリカの友だちと日本の学校とをZoomで繋いで交流する企画を立てました。何回かシリーズで開催することを計画しています。

Karin
すごく素敵な企画ですね。そういったことは体験入学でよくあることなのでしょうか?

Yui
子どもには海外在住者だからこそできる、日本と世界を繋ぐ役割を担ってほしいと考えており、個人面談のときに先生と企画を練りました。先生は青年海外協力隊で仕事をされていたご経験があって、それがご自分の強みだと思ってらっしゃるからこそ、できたことだと思います。
息子がその企画への参加を依頼したのは、滞在国にいるロシアとブラジル出身のお友だち。「日本から見るとあまり馴染みがない国だけれど、僕にとって最高の友達がいるんだよって伝えたい」と話しています。

体験入学中に通ったサッカークラブ

最後に 体験入学を通して学んだ親としての気づき

体験入学のベストなタイミングは?

Hana
海外と日本の学校を比較して、「こっちの学校に行きたくない」、「あっちの学校に行きたい」とかありませんでしたか?

ゆっこ
イギリスに戻ってもう2カ月弱経つのに、まだ2人とも「日本がいい!」と言っています。こちらはよかれと思って体験入学をアレンジしたんですけれど、今となってはどうだったのかと思います。イギリスに来て1年間はまったく「日本に帰りたい」とは言わなかったのに。

chiharu
タイミングは大事ですよね。

くるみ
うちは一度、ドイツでの生活が始まってから3カ月後に体験入学を検討しましたが、結局やめました。滞在期間の問題もありましたが、当時子どもが学校に馴染んでいなくて、今日本に帰ったらもうドイツに戻れないかもしれないと思ったんです。でも知り合いから「新しい環境で緊張しすぎているから、一度日本に帰ってリラックスさせてあげたら?」とも言われて。まだ現地に馴染んでいないタイミングでどうすべきかは難しいですね。

Hana
うちの場合はやっとここでの生活に慣れて、ご褒美で一時帰国というタイミングでした。
こちらに戻ってきてからも「日本がいい」とはずっと言っていますが、「じゃあ日本に帰る?」と冗談まじりに聞くと、「なんでそんな勝手なことを言うの?私にはこっちにも友だちがいるのに」と長女が怒っちゃって。「マダガスカルと日本、どちらにも私の生活圏がある」ということを理解している時期だったみたい。

chiharu
海外に行ってすぐに体験入学をするのか、少し現地で頑張って慣れてから体験入学するのかで子どもの感じ方が違ってくるのかなと思います。

まとめ

Hana
今までいろいろと話してきましたが「結局のところ、体験入学はおすすめですか?」と聞かれたらみなさんどうですか?

Yui
5年前アメリカに来て「新しい環境でチャレンジして成長した」と思っていたのですが、3年ぐらい経った頃から、吸収のスピードや成長を感じる機会が少なくなっていました。でも今回の一時帰国で、また違った環境でチャレンジしたことは、息子にとってよかったと思います。

ゆうこ
うちはアメリカに来てまだ日が浅いので、心の拠り所を増やしてあげたいと思っていました。「居場所はアメリカだけじゃないし、日本に帰るという選択肢もある。自分には他の友だちもいる」ということに気づいてほしかったんです。
日本でのクラスに溶け込めるか少し心配でしたが、子どもは「言葉が通じるし大丈夫」と言っていました。アメリカで言葉が通じない中で頑張った経験があるからこその発言で、「強くなったな」と成長を感じました。
アメリカと日本の違いを感じてもらえたこともよかったです。

ミシェリ
うちもアメリカと日本の生活のいいところと悪いところを、子どもたちが自分で体感できたことがよかったです。日頃感じていた日米間での差異を、日本に帰って確認したという感じだったようです。

Hana
我が家の場合は、3カ国目で10年以上にわたり海外生活を送っているので、「小学生のうちに子どもに日本の学校を体験させておきたい」と考えています。本帰国するとき、それまで日本の学校をまったく体験していないと、ギャップが大きくて日本での学校生活に馴染めないんじゃないかと思うので。

くるみ
長男は日本の小学校に通ったことがあり、今回も体験入学をしているので、本帰国後の心配はあまりしていません。
でも次男は生後10カ月でドイツに来たので、これから日本語補習校に通わせたり、一時帰国中の体験入学を何度かさせてあげたりしようと思っています。教室での座り方、授業中の態度、行事、いろいろなルールなど、あらゆるものが日本と海外では違うので、本帰国に備えて経験させておきたいです。やはり少しでも日本の学校生活を経験してるかどうかが、本帰国後の生活にとても大きな違いを生むのかなと感じています。

chiharu
長女は体験入学をした経験があったので、本帰国時に学校生活にすぐ馴染めたように思います。一方、長男は日本の学校をまったく知らない状態で本帰国したので、体験入学させておけばよかったと後悔しました。でも手続きが大変なので、もうちょっと日本の学校の受け入れ体制が整ってくれたらいいなとは思いますね。

ゆっこ
駐在前に通っていた慣れた環境での体験入学だったので、1週間だけだと楽しい思い出だけが残って日本への思いが強くなりました。今後は1カ月など長期間体験入学できるのであれば、またさせたいと考えています。
日本の小学校に通ったことがないお子さんでしたら、本帰国後のことを考慮して一度は経験させてもよいと思います。

かずりん
体験入学は、「今後日本に帰国予定があってもなくても、一度はやってみたら?」とおすすめしたいです。給食や掃除の時間はとても貴重で楽しい体験になると思うから。

あとがき

座談会を通して「一時帰国中の体験入学は、将来的に本帰国の可能性がある駐在ファミリーにとって、一度は体験してみてもよいのではないか」と感じました。
滞在国の学校生活との違いを体験することで、お子さんにとっても保護者にとっても、気づきや得られるものがあると思います。
また今回の座談会に参加したメンバーから「こうして体験入学を振り返る機会があったことで、子どもの成長や頑張りに気づくことができた」「子どもにも感想を聞いてみたことで、いい機会になったと思います」という感想がありました。
本記事が海外生活を送る駐在ファミリーにとって、体験入学を考えるきっかけとなればうれしいです。

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