3年半という短い期間で、コミュニティカレッジへの進学、英語・日本語講座やNPOでのボランティア活動をされてきたシカゴ在住さん。
今回は、未経験の分野であっても興味を持ったことに積極的に取り組むシカゴ在住さんの挑戦を前編・後編に分けてお伝えします。
後編では、コミュニティカレッジで学んだ内容を活かして取り組まれている2つのボランティア活動などを通じて学んだことについてお話いただきました。
▶用語集
駐在ファミリーカフェでよく使う言葉を分かりやすくまとめています。
日本語meetup(※1)のボランティア
―日本語meetupのボランティアを始めたきっかけは何ですか?
TESOL(※2)資格取得後、英語を教える経験を積みたいと思い、英語を教えるボランティアを開始しました。このボランティア団体は、アメリカでの生活に馴染むために英語やアメリカ文化を学ぶ必要がある人達に向けて、無料で学びと交流の場を提供しています。それに加えて、英語以外のマイナーな言語や文化も普及させたいという団体の方針から、英語以外の言語での交流の場をmeetupで開催しています。私は英語を教えるボランティアと並行して日本語meetupの企画・運営・ファシリテーターも行いました。
―レッスン内容はどのように考えましたか?
日本語教師の資格があるわけではなく不安でしたが、自分なりに調べたり日本語教師をしている友人にいろいろ話を聞いたりしてレッスン内容を企画しました。
最初はとても緊張しましたし、参加者が2人と少なかった時があったり、参加者が定着しなかったり、半年くらいは大変でした。そのため、毎回レッスン後に反省点を洗い出し、次はより良いものになるよう、参加者の反応をみて内容を改善していきました。参加者が求めている内容を提供できるように、資料作りにも時間を使いました。
―現在は、どういった方が参加していますか?
今ではリピーターの方がほとんどで、安定して20名弱の方に毎週登録・参加いただいています。日本語初心者の方も参加してくださり、その方には英語を交えながら説明を行うなど、臨機応変に対応しています。
(※1)日本語meetup :インターネット上で日本語に興味のある人向けに告知を行い、参加者が集まる交流会や講義の場。
(※2)TESOL:英語教授法。英語を母語としない人に英語を教えるために必要な知識・技術を具体的に学ぶことができる。
NPO団体での人事関連業務のボランティア
―ボランティアを始めた時期とその理由は何ですか?
コミュニティカレッジでHRM(※3)の修了証明(Certificate)が取れる資格コースの受講を始めてすぐに、並行してHR(※4)のボランティア活動を探しました。その理由は、学校で学んだことをリアルタイムで実践に移したかったこと、また、駐在期間は限られている中で、1日でも早く経験を積みたかったからです。私の場合は滞在国では働けないので、ボランティア(無給)でできるHRの活動という軸で探しました。HRは未経験でしたが、面接で資格取得中であることをPRしました。先方はHR経験者を探していましたが私の意欲をみて採用いただけたと思います。
―ボランティアの内容はどういったものですか?
2021年6月の活動開始当時、当該NPO団体では私が1人目のHR担当だったため、団体の代表と二人三脚でHRチームを作り上げてきました。ゼロからの立ち上げだったため、採用・研修・管理・イベント企画など、活動は多岐に渡りました。
幸いにも団体の代表がとても良い人で、関係も極めて良好だったため、彼女に一つ一つ活動内容を教えてもらいました。「失敗しても仕方ない、とにかくやってみよう」という気持ちを常に持ち、楽しく活動に取り組むことができました。
―ボランティアの内容はどういったものですか?
最初は20人くらいの団体でしたが、今では50人以上と急激に拡大しボランティアの活動量も増え、現在は私含め3人がHRチームとして活動しています。スタッフは世界各地にいるので、やりとりはメールやWeb会議、Slackというアプリのメッセージ機能で行っています。
(※3)HRM:HumanResourceManagemanetの略。人材マネジメント。
(※4)HR:Human Resourceの略。人的資源・人事関連業務のこと。
進学・ボランティア活動を通じて心掛けたこと・苦労したこと
―さまざまな活動に取り組まれる中で、心掛けたことや苦労したことを教えてください。
常に「次に自分ができることはなにか」と考え、やってみたいと思ったら即行動、前向きに活動し続けました。
ESL・コミュニティカレッジからボランティア活動へ移行するときのハードルが高く、何度もくじけそうになりました。ESLやコミュニティカレッジはあくまでも費用を支払ってサービスを受ける側ですが、ボランティア活動は無給ではあるものの仕事のようなものです。同僚と英語でコミュニケーションを図りながら活動を進めていく必要があり、求められる英語力や責任感も異なります。
一方でどんどん自分の活動の領域を広げていくことに達成感を感じ、新しいことにチャレンジするワクワクの方が不安を上回っていたので、葛藤はありませんでした。
チャンスがある限りやってみたいという気持ちで挑戦し続けたことが今につながっていると思います。
家庭との両立
―ご家族の反応はいかがでしたか?
夫は私が何もしていなくても、またしていても何も言ってこないです(笑)。そのため私は自由に活動できましたし、失敗を恐れずに挑戦していくことができました。ただ、どれだけ学校の課題やボランティア活動に追われていても、晩ご飯はしっかり作る、休日は二人で出掛けるなど、家事や夫との時間を大切にすることでメリハリをつけて活動できました。
これまでのシカゴでの生活を振り返って
―さまざまな活動から学んだこと、今後に活かしたいことはありますか?
在米3年半という期間で、本当にたくさんの経験を通じて、最も学んだことは「チャンスは自らつかみにいく」ということです。特にアメリカという国ではチャンスは至る所に転がっており、挑戦するとゲットできることが多々あると感じます。行動することは怖くもありますが、自分の行動次第で同じ1年でも大きく変わります。我慢強くかつ積極的に活動し続けることでいろいろなことがつながっていき、自分のやりたいことやできることが見えてくるのだと思います。
今後の目標は、在米生活で培った経験や知識を活かして、渡米前や渡米後の方、また日本在住でアメリカと関わりがある仕事をしている方などが集まり、語学習得や異文化理解などの情報交換できる場所作りを行うことです!
―最後に、駐在妻の皆さんにアドバイスがあればぜひお願いします。
「チャンスは自らつかみにいく」という気持ちで、ぜひ駐在生活を有意義なものにしてください!
<後編終わり>
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