本帰国エピソード vol.3 ~バンコクから緊急帰国して~

タイ・バンコクに約1年滞在し、本帰国したMさんへのインタビューです。本帰国が決まってから行ったこと、本帰国後のご自身のキャリアのことなどをお聞きしました。

自己紹介をお願いします。

Mです。約1年間タイのバンコクに滞在し、本帰国しました。

本帰国が決まって感じたことや、行ったことを教えてください。

私の場合は、夫が駐在先で体調を崩したため、緊急で家族全員で一時帰国しました。夫が日本で療養中に、本帰国が決まりました。そのため、夫が日本で休職、療養している間に私が本帰国後の生活準備や滞在国からの引き上げ、引越しをすることになりました。

この時、私は滞在国での生活にようやく慣れ、友人もでき、やりたいことがたくさん出てきていたので、この成り行きにはとても切ない思いでした。それと同時に夫の体調にも不安があり、複雑な感情が入り混じっていました。ただ「限られた時間の中で本帰国と新生活の立ち上げ準備ができるのは私しかいない」と割り切り、淡々と前に進めていったことを覚えています。

本帰国が決まってから日本での生活を始めるまでの猶予は2カ月を切っていました。まず私がしたことは「日本で生活を始めるために最低限やるべきことは何か?」を考え、日本での新居と子どもの幼稚園を決めたこと。バンコクへ戻り、滞在国からの引き上げに最低限やるべきこと(具体的には幼稚園の退園手続き、習いごとの解約、荷物の仕分け、銀行口座引き出しと日本円への換金など)をこなしながら、約1カ月で引越し準備を行いました。その合間に時間を見つけて、お世話になった方々と過ごしました。時間がない中でもお世話になった方、最後に会っておきたい人たちとの時間をとることは、私にとって最優先事項でした。

ビザの手続きや住居の契約終了手続き、運送会社の手配は会社側がしてくださり、パッキングは運送会社にすべて任せることができたので、とても助かりました。
自分がやらなければならないことと、会社や業者に任せられることを整理しておけば、計画がスムーズに立てられるかと思います。

お子さんの転入先はどのように探しましたか?

当時、子どもは4歳。共働きでないと保育園に入れるのは難しいと思っていたため、通園可能な幼稚園をピックアップし、電話をして空き状況の確認と見学依頼をしました。定員オーバーで断られたところが1件だけありましたが、入園希望時期が6月だったため、ちょうど欠員が出て空きのある園が数園ありました。見学と通園を検討して、納得のいく幼稚園に入れることができたと思います。4月入園を目指すよりも入りやすかったのかもしれません。

この時、私はまだ働いていませんでしたが、いずれ働くことを考えて夕方まで延長可能な幼稚園を探しました。

本帰国に際して、ご自身のライフキャリアをどのように考えられましたか?

前述のように夫が療養していたため、日本での生活を落ち着かせることに専念し、3カ月経った頃、保留にしていた失業保険をもらうためハローワークに行きました。

私は仕事をしていないこの時期に「もう一度何かを学んでみたい」と思っていたので、職業訓練校に通うことを決めました。いくつか講座があったのですが、夫の「簿記はビジネスの共通言語、やっておいたらよい」との勧めがあったので簿記を受講することに決めました。
ただ、これを受けたからといって簿記を武器に就職活動したかというと、そうではありません。正直、自分の知識を広げるために勉強したという感じです。
この職業訓練校の終了後に本格的に就職活動をする予定でしたが、ちょうどこの頃に新型コロナウイルスが爆発的に広がって外出が難しくなり、幼稚園も休園になりました。

就職活動が難しくなった私は、以前務めていた会社の再雇用制度を使って正社員として応募することを決めました。再雇用制度は、配偶者の転勤や介護など、自己都合ではなく退職した場合、ある一定期間内であれば再雇用応募ができるというもの。10年以上前からあったようですが、実際に社内で活用した人は私でまだ2人目だったようです。

この時期は、コロナ禍でいろんな経済活動が止まっていたため、私の面接は保留になり、応募してから5カ月後にようやく再雇用が決まりました。

再雇用制度は、これまでの経験が活かせるので、社員にとってメリットの多い制度だと感じました。しかし実際には、活用例が極めて少なかったのです。「この制度を活かさないのはもったいない。在籍している社員の方にも『こんな制度があるんだ』というひとつの活用例として参考にしてもらえたらうれしいな」と思いました。
また再雇用時に「管理職を目指すか?」という質問をされました。「せっかく再雇用されるなら、管理職を目指して頑張りたい!」という気持ちがあったので、そのように答え、会社に戻りました。

コロナ禍という異例の状況下で、スムーズに再就職できたことはとてもありがたかったと思っています。また、会社内で再雇用制度が認知されるよい機会になったと考えています。

これから本帰国される方へメッセージをお願いします。

本帰国して3年半、再就職して2年ほどが経ちました。今回この記事を書くにあたり、夫の駐在が決まってから今までを振り返ってみました。私は「キャリア=仕事=正社員で働く」ということに縛られていたと思います。夫の駐在により、「自分が勤めてきた会社を辞めること=キャリアが途切れること」と考え、本帰国後にそのキャリアをつなぐために正社員として再就職しました。

でも、今はそれだけが正解ではなかったかもしれないと感じています。

駐在期間は、自分を見つめ直すとてもよい期間だと思います。滞在中は、やりたいことは全部やって、新しい自分の可能性を広げてほしいと思います。帰国後のライフキャリアには正解なんてなく、自分がどうしたいかを常に考えて動いていれば、自分に最適なチャンスが回ってくるはずだから。

ぜひ、いろんな人の生き方を参考にして自分なりの正解を探してみてください!

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