海外で現地校に通っています【アメリカ・メリーランド州】

アメリカ・メリーランド州で、お子さんが現地校に通っているHさんのインタビューです。学校の選び方、学校での過ごし方や慣れるまでのお子さんの様子などについてお聞きしました。

自己紹介をお願いします。

Hです。2021年からアメリカのメリーランド州に、夫と6歳の子どもと住んでいます。

お子さまはどのような幼稚園・学校に通っていますか?

2021年9月に現地の公立校(キンダーガーテン※)に、5歳で転入しました。同時期から土曜日は日本語幼稚園に通っています。

※小学校の中にある小学校準備クラスで義務教育の入り口です。新学期の開始時点で5歳になっている子どもはキンダーガーテンに入ります。

その選択をされた理由をお聞かせください。また、いつ頃から考え始めましたか?

住む予定の地域の公立校の教育に関するよい評判から、公立校に通わせようと決めました。もし一旦転入した学校が子どもに合わないようであれば、私立校や、引っ越しをして別の公立校に転校することも視野に入れていました。子どもは、日本で何度か保育園を転園しましたが、新しい環境に慣れるのがとても早かったので、本人にとって快適な環境であれば、学校を変わること自体は問題ないと考えました。

また、現地の公立校、とくに小学校は校区が狭く日本人の生徒はほぼいないことを知っていたので、英語だけの学校生活になると子どもの負担が大きいと考え、日本語幼稚園にも通うことにしました。

現地の公立校、日本語幼稚園探しは、渡米の半年前から始めました。

どんな情報を参考にされましたか?実際に見学する機会はありましたか?

現地校

各公立校が公開している情報、公立校の評価が掲載されているWebサイトの情報と口コミ情報です。
夫が先に渡米して家探しをしていたので、その際に不動産エージェントや近所の住人に学校の様子を聞いてもらいました。
学校の見学はしていません。

日本語幼稚園

通園可能な地域にある2つの園に、渡米前にメールで問合せをしました。年度途中の入園でしたが、渡米後に個別で見学と園の説明の機会を設けてもらいました。

ズバリ、何が決め手となって、その幼稚園・学校を選びましたか?

現地校

生徒の学力テストの成績が一定の基準以上であること、諸事情(低所得、一人親家庭、移民・外国人家庭で生徒及び親の英語能力が低い、現地の制度に精通していない、特別支援対象の児童など)で不利な立場にある生徒へのサポートが充分にあること、ESOL(English for Speakers of Other Languages)を受けている生徒が一定数いることを条件に学校を絞り込み、それらの学区にある賃貸物件を探しました。目当ての学区に賃貸物件がほとんどない場合もあるので、家探しと学校選びを並行して、何を優先し、妥協するかということを考えて住む家と学校を決めました。

日本語幼稚園

通園可能な2つの園のうち、より日本語での教育に熱心な方の園を選びました。また、幼稚園のすぐ近くに森があり、そこで季節や天候に関わらず思い切り外遊びができることに魅力を感じました。

実際に通わせてみて、よかったことは何ですか?

現地校

転入当初、子どもは言いたいことを発言するのを躊躇することが多かったですが、スナックやランチの時間、休み時間などに先生たちと少しずつ英語で話をできるようになってから、学校生活が楽しくなった様子でした。
英語、算数の時間は、生徒のレベル別にクラス分けやグループ分けされ、定期的に見直されます。子どものレベルに合った内容を学ぶことができるので親としては安心です。子ども自身も、頑張ればどんどん難しい問題に挑戦できてやる気が出るようです。

日本語幼稚園

子どもは初日から日本語幼稚園を楽しんでいて、現地校に慣れるまでは、毎日通いたいと言うほどでした。
週1回土曜日のみの通園ですが、車で一時間弱かけて通うこと、平日も現地校で疲れるのに、土曜日まで集団生活をすることで疲れすぎてしまわないか不安がありましたが、通わせて本当によかったと思っています。
入園当初、日本語幼稚園の先生方は、平日現地校で頑張っている子どものことをいつも褒めて励ましてくれました。

日本との違いで戸惑ったことがあれば、教えてください。

現地校

保護者が先生と顔を合わせて話をする機会がほとんどないことに、当初戸惑いました。日本の保育園では、送り迎えの際に保育園での様子を見たり先生方と話をしたりする機会がありましたが、現地校では、担任の先生と話をする機会は保護者面談などに限られています。
その代わり、質問や依頼事項がある場合は、いつでも先生にメールで連絡することができ、先生方もすぐに返信してくれるので安心できます。

日本語幼稚園

日本で保育園に通っていたので特にありません。

入園・入学・転入前に、お子さまは必要となる言語の学習はされましたか?

日本で通っていた保育園では、週に1度、ネイティブスピーカーの先生による英語の時間がありました。また、渡米が決まった後に、日本でオンライン英会話の個人レッスンを約半年間受けました(当時4歳)が、渡米時(当時5歳)は、「簡単な自己紹介と挨拶ができて、色・形・動物・食べ物の英単語を知っている」というレベルでした。
現地校に転入前に必要な英語を身につけることは難しいと分かっていたので、転入後にどのようにサポートするかが重要だと考えていました。そのために、子どもがどの程度英語を理解しているか、子どもの性格(間違いを気にせず発言するか、間違いを気にして話せないか等)を親が学校に説明できるようにしておくとよいと思います。オンライン英会話の個人レッスンを受けたことが、子どもの英語レベルを把握するのに役立ちました。

転入後、週に数回現地校でESOLプログラムを受けていましたが、それだけでは足りないようでした。特に、英語の聞き取りがあまりできない時期にストレスを感じていたようだったので、現地校のESOLの先生から家庭教師を紹介してもらい、週1回、会話、読み書きの勉強を手伝ってもらいました。家庭教師の先生に1対1で教えてもらうやり方は、子どもが自信を持つのに役立ったと思います。

入園・入学・転入前に、語学学習以外でやっておいてよかったこと、やっておけばよかったことがあれば、教えてください。

日本では少人数の保育園に通っていたので、先生方の目が非常によく行き届き、何か困っているのかなというときにはすぐに気がついてもらえる環境でした。
子どもはどちらかというと自分から主張しない方なので、現地校ではクラスの人数が多くなることが心配でした。転入時に、言語以外の環境の違いについても先生に伝えておくとよいと思います。

キンダーガーテンからコンピュータを使う授業が始まりました。子どもは、両親がコンピュータで仕事をしている姿を見たり、自分でタブレットを操作したりしたことはありましたが、初めての授業の時は、英語もよく分からず、説明をよく理解できていない様子でした。事前にコンピュータについて教えていれば、もっとスムーズだったかなと思います。
全く知らないことを英語で習うと理解が難しいこともあると思うので、各教科のカリキュラムを確認して、家庭で日本語で教えておくと学校での理解がスムーズだと思います。

お子さまは、日本語の学習、日本語での教科の学習を継続していますか?どのようにして学習しているか教えてください。

週1回日本語幼稚園に通っています。また、日本語幼稚園の放課後に、ひらがな、詩や俳句などを遊びながら学んでいくクラスで日本語を教わっています。
子どもが日本で小学校にあがる年齢になるときに、日本語補習校か、今通っている日本語幼稚園の小学部のどちらに通うか決めるつもりです。

また、日本で通っていた保育園と数カ月に一度、オンラインで子ども同士でお話をする機会を設けてもらっています。日本に住む友だちと、アメリカの好きな食べ物、好きな英語の本や学校で楽しいことなどを話しています。
習いごとも、日本で習っていた先生にオンラインで継続して教えてもらっています。

幼稚園・学校選びについて、お子さまとはどのような相談をされましたか?また、通われたお子さまの感想はいかがですか?

学校選びについて、特に子どもとは相談していません。
夫の海外赴任が決まった時に、子どもは家族で暮らしたいと強く希望していたので、アメリカに住む場合は平日は現地の学校に通うことになること、学校での会話は英語になることを話しました。
また、日本語の幼稚園に週1回通うことができることも話しました。
ただ、子どもを年齢相当の学年に転入させるか、学年を一つ下げるかについては少し迷いました。年齢相当の学年だと、英語での授業についていくのに最初は苦労するかもしれないと思ったからです。
ですが、現地の公立校のキンダーガーテンに転入すればESOLを受けることができること、子ども自身が、先生の話をよく聞き座って読み書きをする準備はできていると判断して、学年を下げずに年齢通りの学年に転入させました。

現地校

通い始めて1カ月くらいの間は、学校から帰るととても疲れていて、毎日学校に通うのに精いっぱいという様子でした。
子どもの方から学校での出来事を話し出したときはできるだけ聞くようにして、こちらから学校のことを聞くことはできませんでした。
何か尋ねても「よく分からない」という返答で、実際に英語があまり理解できず、分からないことばかりだったのだと思います。

その後、徐々に学校生活に慣れ、学校でのことをいろいろと話すようになりました。転入後一年たった今は、子どもは通っている学校が大好きで、卒業までこの学校に通いたいと言っています。

日本語幼稚園

初回からとても楽しんでいて、「毎日通いたい」と言い、先生方と日本語で話をするのが楽しい様子でした。季節ごとの行事、料理、工作など毎週充実した内容で楽しんで通っています。

お子さまの今後の学校、教育について、どのようにお考えですか?

様々な年代、バックグラウンドの人と関わり、いろいろなことに興味を持って欲しいです。その中で、子どもが強く興味をもっていること、得意なことを伸ばしていければと思っています。
また、自分の感じたこと、アイデアや疑問を表現する方法を学び、習得して欲しいです。

アメリカに引っ越してから1年ほど経って環境に慣れてきたため、子どもはいろいろと新しいことに興味が湧いていて、「習いごとやボランティア活動などに挑戦したい」と言っているので、親としてできるかぎりサポートしたいと考えています。

学校に関しては、今は親の考えや都合で決めていますが、子どもの選択肢を狭めないように、そして子どもの個性が尊重される環境を用意することを意識しています。
子どもがもう少し大きくなったら、子ども自身の意見を尊重し、親子で一緒に学校選びについて考え、話し合うことができればよいなと思っています。

これから海外で幼稚園・学校選びをされる方へメッセージをお願いします。

海外で子どもの学校を選ぶ際には、国によって学校の仕組みや文化の違いがあり、判断に迷うこともあるかと思います。また、住む国や地域によって、選択肢が少ないということもあります。その中で、子どもの性格や何を大切にしたいかを家族でよく話し合うことで、納得のいく学校選びができると思います。

そして、通う学校を決めたらひとまずそこで一生懸命頑張ってみること、子どもが学校に慣れるまでは、学校の先生、スクールカウンセラー等にどんどん助けを求めてよいと思います。
我が家の場合は、家庭教師の先生が子どもが通う学校に長く勤めていたので、学校のルールや文化、成績表の見方、事務手続きなどを教えてもらい、英語や学校の勉強以外にも私たち家族の助けになってくれました。

頑張ってみても、学校が子どもに合わないと思ったら、別の学校を探して転校してもよいと思います。あるいは、学年が上がって別の学校に興味を持つこともあると思うので、学校を変わること自体を柔軟に考えてよいと思います。

また、我が家の場合は、現地校と日本語幼稚園のダブルスクールで居場所が複数あることが、特に渡米当初の子どもにはとても合っていました。

子どもの年齢や性格によって考えは様々かと思いますが、その時のお子さんの状況に合った学校選びができることを願っています。

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