お子さんがいる家庭では、海外に駐在が決まった際、また海外でお子さんが成長して学校や幼稚園などを選ぶタイミングになった際、真っ先に考えるのが、
「どんな学校(または幼稚園・保育園)に通わせたらいい?」
「うちの子にはどんなところが合ってる?」
「日本語の維持のためにできることは?」
といった内容ではないでしょうか。
駐在ファミリーカフェの運営メンバーは実際どんな選択をしているのか、アンケートを実施しました。さまざまな地域・言語圏・年齢・学校タイプの回答が集まっているので、学校・園選びや日本語・英語教育の参考にしてみてください!
アンケートの目的、調査方法
アンケートの目的 | 日本人駐在員家庭がどのような理由で子どもの学校を選んでいるのか、また 子どもの日本語、英語教育はどうしているのか、実態を調査する |
調査対象 | 駐在同行中で幼稚園の年齢以上の子どもがいる駐在ファミリーカフェ運営メンバー、応援メンバー |
調査方法 | Google フォーム |
調査期間 | 2022年12月13日~12月25日 |
有効回答数 | 29 |
回答者の子どもの基本情報
今回のアンケート調査では、アメリカ、タイ、シンガポールなど、合計18の国や地域に滞在する(または過去に滞在したことがある)駐在ファミリーカフェ運営メンバー、応援メンバーから回答を得ました。
(過去複数の国に滞在経験がある場合は、すべての国名を回答)
比較的アジア駐在の家庭は日本人学校や日本語でも学べる現地校、北アメリカ駐在の家庭は現地校、ヨーロッパ・アフリカ駐在の家庭はインターナショナルスクールが多い結果になっていました。
通っている学校、保育施設に関する質問と回答
その学校、保育施設を選んだ理由を教えてください。 ※複数選択可
回答内容 | 回答数 |
英語で学ぶことができる | 12 |
子どもの性格、特性にあっている | 10 |
日本語で学ぶことができる | 8 |
自宅から通いやすい | 8 |
会社の指示、補助などの理由 | 6 |
ローカル言語で学ぶことができる | 6 |
日本と同等のカリキュラムで学ぶことができる | 5 |
教育理念が家庭の教育方針にあっている | 4 |
将来の進学に備えるため | 4 |
現地校(公立校)の評判がよくない | 2 |
選択の余地がなかった | 1 |
その他 | 8 |
その他
- 幼稚園は現地の私立幼稚園(フランス語)に通っていました。滞在国に英語の幼稚園がなく、会社からの教育費カバーがなかったので他の選択肢がなかった。(アフリカ/現地園)
- 住む地域の公立の現地校の評判がよかったため、まずは、その学校を選んだ。通ってみて子どもに合わない場合は、私立校に転校する、引っ越しをして別の公立の現地校に転校することを想定していた。(北アメリカ/現地校)
- 生徒、教職員ともに多様性に富んでおり、日本では与えられない環境だと感じたため。(北アメリカ/インター校)
- 多様性・コミュニケーション能力の向上を図るため。(ヨーロッパ/現地校)
- 仏語圏アフリカを転々と駐在生活しているため、フランスの教育カリキュラムを選んだ。(アフリカ/インター校)
国によって学校の選択肢は違うけど(インターナショナルスクールがない、日本人学校が遠い、など)、子どもに合っているか、家から通いやすいか、が学校や園選びの共通点になりそうですよね。
うちは母国語の習得を優先したいと思い、小学校入学を機にインター幼稚園から日本人学校に切り替えました。
日本人学校で現地語の授業の時間があったので、現地語も学ぶことができました。
また、日本の行事を大切にしてくれるので、日本の文化を家庭だけでなく学校でも学ぶことができた点がよかったです。
その学校、保育施設に通わせてよかった点を教えてください。 ※複数選択可
回答内容 | 回答数 |
国際性が養われる | 18 |
英語力がつく | 14 |
性格にあってイキイキしている | 14 |
経済的な負担が少ない | 12 |
近所に友だちができる | 10 |
日本と同等のカリキュラムなので帰国後も安心できる | 7 |
ローカル言語を学ぶことで日常生活がスムーズになる | 6 |
その他 | 5 |
その他
- レベル分けされたクラス、グループで授業を受けることができて子ども自身が快適な環境で勉強をすることができ、モチベーションを保つことができる。(北アメリカ/現地園)
- 自己表現力がついた。(アジア・ヨーロッパ計3カ国/インター校)
- とても多様性のある環境で、多様な文化行事などを通じて、他者への寛容さを得られていると感じる。(北アカメリカ/インター校)
- 生徒一人一人をしっかり見てくれること(小規模な私立校を選択したため)。(北アメリカ/現地校)
- モンテッソーリ教育を実践しているスクールで、我が家の教育理念にも合っていた。場所がら国際感覚のある家族が集まっており、素晴らしい出会いがたくさんあった。(北アメリカ/インター校)
上の子はドイツでインターの幼稚園、下の子は現地の保育園に行っていますが、土地柄、現地園でもとても国際的でさまざまな国から集まっていました。
ニューヨークでも私の住む場所は土地柄さまざまな人種の方が住んでいて、娘は肌や髪の色がみんな違うということを当たり前だと捉えています。
学校 、保育施設の選択での悩みごとがあれば教えてください。 ※複数選択可
回答内容 | 回答数 |
日本と違うカリキュラムで学んでいるため、本帰国後が心配 | 13 |
ローカル言語が分からず、現地の人とコミュニケーションがとれない | 4 |
日本語と外国語が混在してしまう | 4 |
日本と同じような学校環境の中、海外生活の経験が得られない | 3 |
日本語に苦手意識を持っている | 3 |
特にない | 3 |
言葉や文化の違いでクラスになじめない | 2 |
その他 | 4 |
その他
- のびのびし過ぎて、日本のキッチリしたカリキュラムに適応できるか心配。(アジア/日系幼稚園)
- 低学年は放課後のアクティビティがない。先生の数が足りず、急に休まれる時に代わりがいない場合がある。常に教室にサブの先生がいてくれたらと思う。(アジア/日本人学校)
- 英語や現地語を学ぶ意欲が低い。(アジア/現地校)
- 通いはじめはフランス語がわからず、毎日泣きながら通っていました。私もフランス語が苦手だったので、学校からの連絡、保護者会のやり取り、ママ友とのコミュニケーションなど、苦労が絶えませんでした。(アフリカ/インター校)
本帰国後のための日本語教育、日本のカリキュラムのキャッチアップ、日本の教育文化なども考えないといけないので、いろいろ悩みは出てしまいますよね。
次の項目は駐在家庭がどのように海外で日本語の教育をしているのかについてのアンケート結果です!
駐在同行中の日本語学習に関する質問と回答
その他
- バイリンガル・マルチリンガル環境で育つ子どもの言葉の発達・ 人格形成を支援する会(日本)で、年に数回情報交換、収集。(北アメリカ/現地校)
- 習いごと(日本式の学習塾)(アジア/現地校)
- 雑誌を定期購読して郵送してもらっている。(ヨーロッパ/現地園)
うちは日本語補習校に通うことで親子共に日本のコミュニティに入ることができてよかったです。
小学校高学年、中学生になると日本での受験を意識した日系の学習塾に通っている子どもがほとんどのようです。
その他
- 日本式の学習塾。(ヨーロッパ/インター校)
- 日本語幼稚園に週1回通っています。(北アメリカ/現地園)
- 漫画も活用している。(アフリカ/インター校)
- インター校の日本語クラス。(アジア/インター校)
読書や読み聞かせが圧倒的ですね!読み聞かせは日本語の発達はもちろん、日本の文化や習慣を知れたり、想像力を養うことができるので、うちも幼稚園の子に毎晩やっています!
その他
- 現地の方も通える学習塾で、平日週2回各2時間で日本語を教えてもらえる場所があります。(アメリカ/現地園)
この結果はとても意外でした。日本語補習校以外に日本語で勉強する学習塾に通うなど、子どもの性格や家庭の状況に合う方法を選べるのはとてもよいと思います。
コロナ禍以降、オンラインなど他の方法も増えているからですかね?うちは幼稚園の時に通わせていましたが、補習校は土曜日に一日がかりとなるので、今は平日の塾と家庭学習にしています。
◎効果を感じた学習方法、教材があれば教えてください。 ※自由記述
自由回答でみなさんが実行しておススメの学習方法や教材を教えてもらいました!
- 通信教育のアプリで日本語の本が無料で読める。現地では日本語の本が売っておらず、本は重くて日本から持ってくるにも限度があるため、重宝している。
- 通信教育、ゲーム、動画サイト
- 学習塾での音読と書写
- 文章を書かせること(主語、述語をしっかり意識しながら)
- 家庭学習用の国語の参考書やドリル
- 日本語補習校で出された宿題は必ずやる。
- 兄が日本語補習校に通っていて、そのオンライン授業を隣で聞いていると、なんとなく覚えている。
- 一時期オンラインの日本語幼稚園のようなグループレッスンに毎週参加していたが、先生に直接おしえてもらう、お友だちと一緒に学ぶことでモチベーションアップしていた。
- 日本の学校向けのコンテンツ(動画)
その他
- 親が教えるしかないが、その方法が難しい。本人は書きたい意欲があり、どんどんドリルを進めていくが、書き順がめちゃくちゃ。書き順がなぜ必要なのかをうまく説明できず本人を納得させられない。(アジア/インター園)
- 日本人が少なく、日本語を使う機会がほとんどないので、モチベーションの維持(とくに漢字)が難しいです。(アフリカ/インター校)
- 語彙量の不足。(ヨーロッパ/インター校)
- ダブルリミテッド※の対策。(アジア/現地園)
- 来春から日本の小学一年生になるので、日本語補習校に通うかどうか迷っています。(アメリカ/現地校)
- インターナショナルスクールの勉強も日本の小学校のカリキュラムもついていくことが大変です。(アフリカ/インター校)
※ダブルリミテッド・・・子どもの母語が育たず、それゆえどの言語も年齢相応に発達しない状態
言語の習得については、子どもの性格、普段通っている学校によってさまざまだと思うので、言語力が弱いと感じる時期があっても、焦らずに、子どもの様子をみながら学習を続けていければよいですよね。
駐在同行中の英語学習に関する質問と回答
その他
- 読書(読み聞かせではなく自分で読む)。(北アメリカ/現地校)
- 家庭教師。(北アメリカ/現地校)
- 日本人経営の英会話スクール、先生はフィリピン人。(アジア/日本人学校)
比較的お子さんの年齢が小さい家庭の回答が多かったので、特に家庭での英語学習をしていないという回答が多い結果となりました。小学校中学年より大きなお子さんは家庭でも何らかの英語学習を取り入れているという回答が多かったです。
子どもがアメリカの現地校に通っており、転入当初、学校での英語の会話に慣れるまで家庭教師をつけていました。学校に毎日通い宿題をした上で、家庭で追加でやるというのは子どもの体力・時間的に大変そうです。
英語学習の悩みや不安は何ですか?
子どもの英語学習の悩みや不安に関しては、さまざまな回答がありました。いくつかピックアップしてご紹介します。
- 英語での会話が難しい
渡航して1年経つが、文章でなかなか話せるようにならない、他の子とコミュニケーションを取れるレベルになかなか到達しない。(北アメリカ/現地園)
- 本帰国後の英語力の維持
帰国後のモチベーションの維持が心配。海外にいるといろんな人種がいて、英語は世界共通語ということを理解しているが、日本だと周りが日本人ばかりで英語を学ぶ必要性をどこまで理解してくれるのか。(ヨーロッパ/インター園)
- 帰国子女受験対策
現在特に英語学習を行っているわけではないので、将来帰国した際に帰国子女枠での受験に対応できないこと。
(アジア/日系幼稚園)
- 学習方法が分からない
今後学年が上がっていくにつれて学校外(家庭や通信教育など)でどのようにサポート、フォローしていったらいいのか、効果的な方法がわからないこと。(北アメリカ/インター校)
日本語で書かれた英語学習用のテキストを使いましたが、中学生レベルの漢字が普通に使われているので、小学生低学年の息子は知らない漢字が多く、どこまで理解できているか不安です。(ヨーロッパ/現地校)
- 現地の学校で使う英語が難しい
現地校ではネイティブの生徒と同じレベルで読み書き能力が求められ、指導されます。(もちろん当然のことでそこに不満はありませんが) 子どもの負担にならないように、学校の指導を聞き流してしまっていますが、若干不安もあります。
(北アメリカ/現地校)
- 学習時間の確保が難しい
教育言語がフランス語です。学校では、第二言語として英語、中学校からは第三言語としてスペイン語も授業で習っています。家で通信教育のタブレット教材で日本の小学校英語を勉強していますが、フランス系のインターナショナルスクールの英語より簡単だそうです。しかし、勉強時間がとれないので、英語学習を増やすことができない点が悩みです。
(アフリカ/インター校)
まとめ
いかがでしたか?
滞在国・お子さんの年齢・滞在年数・学校での言語などについて、さまざまなメンバーからアンケート結果が集まったので、ご自身と共通するお悩みや意見を見つけることができたのではないでしょうか。
子ども時代を海外で過ごしたり、現地で学校に通ったりという経験は、今後のお子さんにとって、また家族全体にとってとても貴重なものです。今回のアンケート結果が、みなさんの駐在生活における幼稚園や学校選び、日本語や英語学習の参考になればと思います!