海外で日本人学校へ通いました【ベトナム・ホーチミン、インドネシア・ジャカルタ】

アイキャッチ画像:海外での学校生活のイメージ画像です。

ベトナム・ホーチミン、インドネシア・ジャカルタでお子さんが日本人学校に通った、Yさんへのインタビューです。学校の選び方、通わせてみてよかったことなどについてお聞きしました。 

自己紹介をお願いします。

Yです。2023年4月に本帰国しました。
2019年から約3年間、ベトナム・ホーチミンシティに滞在。
2022年9月から2023年3月まで約7カ月間、インドネシア・ジャカルタに滞在していました。

お子さまはどのような学校に通っていましたか?

ベトナム、インドネシアともに、日本人学校に通学していました。
2019年10月~2022年8月まで約3年間、ホーチミン日本人学校の小学部および中学部に通学。2022年9月からジャカルタ日本人学校中学部に編入しました。

その選択をされた理由をお聞かせください。また、いつ頃から考え始めましたか?

・娘(当時小4)の希望を最優先としました。
娘が「インターナショナルスクールの英語での授業についていく自信がない。日本人学校で日本語での授業と、友だちとの学校生活を楽しみたい」と強く希望したため。
私も夫も、何ごとも「娘自身に選択させたい」「可能な限り娘の希望を叶えたい」という方針です。夫のベトナム駐在が決まったのは、渡航予定(2019年10月)の半年以上前の2019年1月でした。
まずは娘を交えて、海外駐在に同行するか否かと、転編入先を日本人学校かインターナショナルスクールにするかについて、何度もよく話し合いました。
渡航前に早めに編入先を日本人学校に決めたことで、日本での残りの学校生活を楽しいよい思い出作りに充てられるなど、時間にも気持ちにも余裕を持って渡航準備に臨むことができたことが良かったと思います。

・日本人学校は、日本のカリキュラムに沿った指導内容なので、本帰国後に勉強面や生活面で感じるストレスを軽減できることが見込めたため。
当初、夫と私は娘をインターナショナルスクールに編入させたいと考えていました。娘には幅広い目と心を持ち、海外生活中に多くを経験してほしいという想いからです。
また、夫の海外駐在の期間が長期間になった場合は、娘の高校進学も視野に入れなくてはならないため、高等学校を併設していない日本人学校よりも、早目にインターナショナルスクールでの学校生活に慣れておいた方がよいのではと考えていました。

どんな情報を参考にされましたか?実際に見学する機会はありましたか?

・編入前に学校見学
渡航前に、夫がベトナム・ホーチミンに出張する機会がありました。
夫がホーチミン日本人学校に見学に出向き、職員の方に校内をご案内いただきました。
私と娘は事前の見学機会はなく、初登校に至りました。渡航前から担任の先生とメールで連絡を取り合ったことで、初登校までに不安は解消できました。

・Webサイト、Facebookページ
ベトナム、インドネシアとも、日本人学校のWebサイトとFacebookページを参考にしました。

・SNS
InstagramやX(旧Twitter)などで、学校の正規アカウントによる投稿を参照していました。

ズバリ、何が決め手となって、その学校を選びましたか?

ベトナム・ホーチミンもインドネシア・ジャカルタも、娘の希望が決め手になりました。
私と娘が駐在同行前に、夫がホーチミン日本人学校内を見学できたことで、先生方や生徒、設備面、カリキュラムなどの内容も雰囲気もとても良く感じられ、安心して楽しめると確信したためです。

実際に通わせてみて、よかったことは何ですか?

娘が「この学校に来れてよかった」と心底喜んだこと
なによりも両校ともよき友よき師に恵まれ、楽しい学校生活を過ごせたことが、最もよかったことだと未だに感じています。

日本人学校では同じ教科書を使用し、日本のカリキュラムに沿った指導内容なので、勉学や新生活などで生じるストレスや心労を軽減できたこと
その一方で、カリキュラムに滞在国の文化を勉強する時間が含まれており、現地のことを学ぶ機会もありました。

母親である私自身があまり英語にも現地語にも自信がなかったので、先生方や保護者の方々と日本語でやりとりできることが、私自身の心の負担・ストレス軽減にもつながり、スムーズに娘のサポートに努められたこと

転勤族や長く異国で暮らした経験のある子どもたちが集っており、転入生への理解が深く、やさしくて親切な友だちが多かったこと。
友だちのお陰で、転入初日から緊張せずに気持ちよく過ごせたと、喜んで帰宅したことを今でも覚えています。新たな学校生活に慣れるまでに時間がかかりませんでした。

いろいろな人や価値観に触れられたこと。
多様性やグローバリゼーションへの理解を深められたことは、とても貴重な経験であり、財産になったと思います。これからも海外生活中の学校生活において、得られた人とのつながりや学びを絶やすことがないよう、親として可能な限りサポートしていけたらと考えています。

・先生方をはじめとする教職員の方々、スクールバスの運転手さんや添乗員の方々(ベトナム人、インドネシア人)が、子どもたちにとても温かやさしく接し、見守ってくださる方々ばかりであったこと。

・先生方と子どもたちとの距離感が、程よい近さだったこと。
気さくで明るい先生方が多く、おおらかに接してくださいました。海外日本人学校ならではの距離感だったと思います。

(※以上はベトナム、インドネシア両校とも)

・ホーチミン日本人学校小学部での卒業式では、多くの生徒、保護者、先生方が、ベトナムの民族衣装アオザイを着て出席しました。私も娘とともに仕立てたアオザイを着て出席できたことが今でもとても良き思い出です。

ホーチミン日本人学校小学部の卒業式でアオザイを着て出席した時の写真。
ホーチミン日本人学校の校門と校舎の写真。

期待や予想と違っていたことはありましたか?

コロナ禍のため、行動規制が多かった学校生活になってしまったことでした。
学校行事が一切中止になった時期もあり、心底から楽しく過ごせなかった時期もありました。

ホーチミン日本人学校に編入し4カ月ほど経ち、新生活に慣れた矢先に、新型コロナウイルスが流行しはじめました。政府主導の厳しい規制により、約8カ月間にわたる休校期間中、オンライン授業を余儀なくされた時期がありました。
対面授業が再開されても、しばらくは行動制限およびルールを遵守しなくてはならず、楽しみにしていた学校行事(近隣の学校との交流会、学校集会、宿泊学習など)が中止になったり、思うように友だちや先生方とコミュニケーションが取れなかったことが、未だとても残念に感じています。

日本との違いで戸惑ったことがあれば、教えてください。

・インドネシア・ジャカルタで登校時間がとても早かったこと。
そのため、娘の生活リズムを保つことと健康管理に充分に気を付ける必要がありました。
インドネシア・ジャカルタでは朝6時にスクールバスが自宅前に到着し、約1時間かけて通学していました。交通渋滞に巻き込まれると片道1時間半から2時間かかる日もあり、車内で居眠りすることも多かったようです。
渋滞回避策と、イスラム教のお祈りの時間が朝早いことが、学校の始業時間が早い理由です。

・友だちの自宅と我が家の距離が離れていたので、放課後や休日に会って遊ぶことが、簡単ではなかったこと。
治安上、どこにいくにも子どもたちだけの外出が難しいので親が常に送迎する環境でした。また、お互いに塾や習いごとで、予定を合わせづらかったことも理由でした。

・スクールバスのバス停について。(※娘の在籍時と現在とでは、若干のルール変更が生じている場合があります。)
(ベトナム・ホーチミン日本人学校)渡航当初に、バス停が設置されていないレジデンスに居住した場合、学校関連の情報収集や放課後の遊びなどに苦労する場合があります。
我が家はバス停が設置されていない住宅(会社指定)に居住していたので、最寄りのバス停まで片道・徒歩5分の距離を送迎していました。自宅から近い場所でしたが、雨天時は道路上に一時的に洪水が起きたり、舗装状況が悪かったことで、徒歩移動に時間がかかるなどの苦労がありました。

ジャカルタ日本人学校の校舎と校舎前に停まっているスクールバス。
ジャカルタ日本人学校のスクールバスに乗り込む様子。

滞在国の言語での学習をしないことによって、学校以外の生活の中で困ることはありましたか?

ベトナム語、インドネシア語を話せなくても、生活の中で困ることはありませんでした。

ホーチミン日本人学校では、隣接する学校(台湾人学校、韓国人学校、現地校)との交流会を通じて、子ども同士の国際交流の機会がありました。娘自身、ベトナム語に興味があったので、学校外でレッスンを受講していました。

インドネシア日本人学校では、カリキュラムにインドネシア語の時間が組み込まれていました。現地語に触れる機会があることで、現地の人々や物事への理解をより深められたり、滞在国での生活がより色鮮やかで楽しいものになるということを、娘自身も感じ取っていたようです。

学校選びについて、お子さまとはどのような相談をされましたか?また、通われたお子さまの感想はいかがでしたか?

渡航当時、娘は小学5年生でしたので、編入先の選択肢には日本人学校とインターナショナルスクールがあることを説明し、本人の希望を聞きました。
娘は「この学校に来れてよかった」と、とても喜んでいました。

お子さまの今後の学校、教育について、どのようにお考えですか?

・できる限り娘の希望を優先することと、選択肢がある限り「娘に考えさせて選ばせる」を、夫ともども我が家の教育方針にしてきました。今後もその方針は変わらないと思います。

・「海外生活=インターナショナルスクール」とは限らないことを理解することも大事だと思いました。インターナショナルスクールに通ったからといって、英会話が堪能になるとは限らないということを理解すること。子どもの適性を理解し、大事にしたいと改めて思い直しました。
当初は、「娘には将来英語で苦労してほしくない」、「グローバルな視点を培ってほしい」という想いから、インターナショナルスクールに通わせたいという気持ちがありました。
ですが、もし親が決めた道に娘が進み、ストレスを感じ元気をなくしたり、モチベーションを下げ家族一緒の海外生活も何もかもを楽しめなくなったりすることこそ、本末転倒だと考え直しました。
本帰国した今では、海外生活中に娘に無理をさせなくて良かったと感じています。

・娘は英会話が好きですし、将来は英語を使って海外で仕事をしたいという希望もありました。英会話を嫌いにさせないことを念頭に、無理なく楽しく英会話レッスンを継続できるよう、そして培ったスキルを自信を持って発揮できるよう、サポートしていました。

ベトナム・ホーチミン像・人民委員会庁舎・国花ハスの花が咲く様子。
日本人学校近くでよく見られる砲丸の木の花の写真です。

これから海外で幼稚園・学校選びをされる方へメッセージをお願いします。

海外生活におけるお子さんの学校選びについては、迷いや不安を感じたり、ご家族の希望や理想などもいろいろあるかと思います。

どの選択にも「絶対にこれが正解」というものはありません。

どの学校を選んだとしても、お子さんやご家族も、心身ともに健康で、笑顔で楽しく彩豊かな学校生活、海外生活を送れることがベストのように思います。

もし何かのきっかけで途中でつまづいたり悩んだり落ち込んだりしたならば、その時に最善の策を考え見出し、軌道修正や方向転換に努めさえすれば、「それもアリ」なのではないかと思うのです。

何かをはじめるのに遅いことなど何もないと感じています。

将来お子さんがかつての海外生活や学校生活を振り返って、それらがかけがえのない貴重な経験・すばらしき思い出であったのだと心の宝のように思ってもらえたなら、是幸いというものではないでしょうか。

限りある海外生活を、たくさんの出会いや価値観、色鮮やかな景色や文化に触れることで、より幸せな将来へとつながりますよう、そしていつでもどこにいても、健やかな心と笑顔で日々の生活を無理なく楽しんでいただきたいと、切に願っております。

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