【メンバー座談会】本帰国が決まった!学校選びや英語維持のポイントは?体験談を語ります 後編

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中編では、本帰国に向けて居住地や学校の選択についての情報収集や、実際に学校に通い始めて、戸惑ったこと・苦労したことについて、お子さん目線、親目線どちらも伺ってきました。

最後となるこの後編では、「駐在同行中にやっていたことが本帰国後の今、どのように活きているのか」そして気になる「本帰国後の英語の維持」についても聞いていきたいと思います。

メンバー紹介

RN

RN
・2017年よりアメリカ・ジョージア州に滞在し、2023年3月に本帰国。
・14歳長女:本帰国後は公立中学校に中2より編入。アメリカでは現地校と土曜に日本語補習校(以下、補習校)に通学。

キャリー

キャリー
・2022年〜2023年、タイ・バンコクに滞在し、23年8月に本帰国。
 過去、中国・インドネシアへ計7年超の同行経験あり。
・9歳長女:現地では日本人学校に在籍。現在は公立小学校に通学中。
・4歳長男:現地ではオーストラリア系インターナショナルスクール(以下、インター)に在籍。現在はバイリンガルインターナショナルスクール(幼稚園)に通学中。

あや

あや
・2018年〜2022年、東欧に滞在。過去、トルコへの同行経験あり。
・9歳長男:現地では2nd Gradeまでインターナショナルスクールに在籍。現在は都内の公立小学校に通学中。
・7歳長女:現地の英語幼稚園→PreKからインターナショナルスクールに在籍。現在は都内の公立小学校に通学中。現地では兄弟揃って土曜に日本語補習校にも通う。(小1から)

まいこ

まいこ
・2020年〜2023年、シンガポールに滞在し、23年6月に本帰国。
 2016年より中国に駐在同行し、2020年からシンガポールへスライド
・10歳長女:現地では小4まで日本人学校に在籍。
 その後、インターナショナルスクールへ転校。現在は都内公立小学校に通学中。
・7歳次女:インターナショナルスクールに在籍。現在は都内公立小学校に通学中。

Karin・まい
アメリカ駐在同行中。それぞれ小学生の子どもがいる。今回はファシリテーターとして座談会に参加。

駐在同行中にやっておいてよかったこと、駐在経験が今活きていると感じる場面は?

Karin
駐在同行中にやっておいてよかったこと、駐在経験が今活きていると感じる場面は?

あや
生活面で向こうでのマインドが活きているなっていうのは、「誰かの発表をよく聞いて、この部分がいいねっていうのを表現する、相手の良さを一緒に称える」というマインドを持ってる点ですね。学校の先生からも、「お子さんは誰かの発表の時に、それいいね。って盛り上げてくれて、とてもありがたい存在です。」と言ってもらっていて。海外生活で身についた「インタラクション(双方向のコミュニケーション)を大事にしているところ」は今も活きてるのかな。

あとは街中で困ってそうな外国の方を見ると話しかけてますね。お店で同年代の外国人の子と気付いたら友だちになってたり。元々の性格かもしれないんですけど、垣根がないと感じます。

RN
やっぱり語学は良かったなと思ってます。
私たちが住んでるところは「高校入試の際に英検で一定のグレード以上に合格しておくと点数に加味される」と聞いて、軽い気持ちでアメリカで受験しました。
本人的にはあまり何とも思っていなかったことが、日本では評価されることだったので、本人は嬉しかったみたいだし、自信に繋がったようです。

私が現地では仕事をしていなかったので時間の余裕があり、子どもとの生活に時間をさけました。例えば、話をゆっくり聞く、学校のボランティアに参加し学校での様子がわかる、勉強を丁寧に見る、習いごとへの送迎などです。時間に追われていないゆったりしたリズムで子どもに関われたことは、とても良かったと思っています。

今、帰国子女が1クラスに1人はいる環境ではあるんですけれど、外国人に会うとしたら、学校の英会話の授業くらいで。海外に住んでる時と比べたら、まだまだ人種的な多様性は少ないです。日本の近隣のアジアの国だけじゃなく、南米などいろいろな国からの人が沢山いる環境で生活できたというのは、やはり日本とはちょっと違う体験ができたのかな、と思っています。このことが子どもの今後の生活に活きてくるといいですね。

まいこ
1つ目はチャレンジすることですかね。
「海外生活は今しかないから、今できることは遠慮せずにチャレンジしていこうね。」というのは、海外生活中の家族のテーマでした
インターは新しいことにチャレンジすることをとても歓迎してくれる雰囲気でした。チャレンジした行為を褒めてくれたり、チャレンジしやすい環境が整っていたんです。例えば、ピアノの発表会の前に自分で手をあげて、「今度発表会をやるから練習した曲をみんなの前でも披露したい。」と、学校のアセンブリー(集会)で発表する機会を与えてもらったことがありました。日本に帰ってきてから、家族全員が縁もゆかりもない土地でどうにかやっていけているのは、駐在同行中にチャレンジした経験があったからかな、と思っています。

2つ目はいい意味で、比較をする癖をつけていたことかな
例えば「海外では友だちの名前を下の名前でみんな呼び合うことがほとんどだったけど、日本の今の学校は名字で呼び合うことが多いよね」とか、「店員さんは日本ではかしこまった対応だけど、海外ではもう少しカジュアルだよね」など、感じた違いを親子で話したりしています。
比較して良し悪しを決めるということではなく、「国が違うと慣習や考え方が違うことがある」ということを認める経験につながればと思い、意識的にそういう問いかけを子どもにしていました。

あや
家族の絆をしっかり築くということをとにかく意識していたので、何か困ったら直接言ってくれるし、家族の関係性を築くことには注力しておいて良かったなと思ってます。

あとは「本を読む習慣をつけていてよかった。」とすごく実感しています2人とも本が好きで、日本語も英語の本も同じように自分でどんどん読みます。向こうに居た時は日本語の本を読んでいたし、日本に帰ってきてからは英語の本を読んでいます。
多分小さい頃から読み聞かせをしていたことが影響していると思います。あとは本を家に置いておくという環境を作っていて良かったかな。

学習面では、日本での学年相当の学習レベル(国語・算数)の維持をやっておいてよかったと思いました。
インターから日本の公立学校だと、生活面で違うことが多くて。その上、勉強までついていけないとなったら、学校に行くのがつらくなるのではと考え、海外滞在中にめんどくさそうにする子どもに対して、必死にモチベーションを保つよう働きかけました。低学年での帰国であれば、ひらがな・カタカナの読み書き程度あれば十分かと思いますし、中学生以降なら英語ができることでアドバンテージがあると思います。小学校中学年〜高学年だと勉強も難しくなってつまずきやすい時期なので、可能なら学年相当の勉強をやっておいた方がいいと感じました。

バンコクの街並みの風景
バンコクの街並み
インターナショナルスクール幼稚園の卒園式での集合写真
インターナショナルスクール幼稚園の卒園式で

英語の保持について。どんなことをしていますか?どのくらい維持できていますか?

Karin
英語の保持については、どんなことをしていますか?実際のところ、どのくらい維持できていますか?

英語の保持教室について

まいこ
帰国後にあまりスパンは開けない方がいいなと思ったので、本帰国が決まった時からリサーチをしてこの塾、というのは決めていました。
週1回、2時間の対面の英語塾に姉妹揃って通って4技能を満遍なくやっています。授業内容を見てると、特にライティングを重視していて、単語数を増やすことを目的としていると感じます。
そこの宿題をすごく頑張っているので、ライティング力は今のところはキープできてるのかなと思っています。ただスピーキングの機会は圧倒的に少なくなってしまったので、すごく落ちてきちゃってるんだろうな。
ただ「ライティング力があれば今後また勉強したり、海外の方と触れ合う環境に置かれればスピーキング力もまた上がっていく。」という考えがあるので、そこまで心配はしていません。

できるだけ英語に触れる回数が多い方がいいとは思うんですけど、他の科目の勉強もあるし、今は週1回の塾が精一杯の維持になっています。

あや
英語の保持教室は駐在同行国にいる時からリサーチしてました。
教室自体はたくさんあるエリアですが、「オールイングリッシュで、同年代で同じぐらいの英語レベルの子がいるところに入れたい。うちの子たちの性格的に、対面で通えるところ。」という条件で探しました。
現地からメールで「帰国子女はどれくらいいるか?」「オールイングリッシュかどうか。」「先生は日本人なのか、外国籍の方なのか?」などを問い合わせました。最も条件に合った教室で、通いやすさと英語のレベル感が合ったところを見つけたので、本帰国して3週間後には見学に行って、そのまま通い始めました。

RN
英語の保持は娘本人がそこまで望んでなかったので、あまり考えていませんでした。
ただ現地校に5年間通って、学年相当で理解している様子を見てきたので、親からすると読むスピードが落ちたり、単語力が止まったりするのがちょっと惜しいなと思っていて。それで夏休みに、オンラインの長文読解のコースを薦めてみました。通ってみたら楽しかったみたいで、その後も継続しています。スピーキングではなく、リーディングの維持ですね。楽しんで続けられて、ちょっと単語を増やせればいいかなと考えています。

Karin
読書好きなお子さんなのでリーディングという方式が合っていたのでしょうか?

RN
そうですね、本人に合っていたと思います。
そのお陰で、読むスピードは維持できてるんじゃないかなと思います。始めたときはアメリカから戻ってきて3,4カ月経った頃でしたが、レベルはそこまで落ちていなくて、学年相当レベルでした。今はそこからちょっとずつ積み上げていってる状態で、現地校に通っているのには敵わないとは思いますが、ちょっとずつでも積み上げていければいいな、と思ってます。 
スピーキングに関しては、普段話す機会がほとんどないので、自信がなくなっているな、と見ていて感じています。

Karin
長文読解のコースは、オンラインということですが、頻度はどのくらいでしょうか?

RN
できるだけ英語に触れる回数が多いといいと思って、週3回まで行けるコースを選びました。オンラインだから予定に合わせていつでも参加できるし、回数の多さをポイントに選びました。

まい
日本人の先生と一緒にリーディングをして、長文読解の問題を解いていくんですか?解説は日本語ですか?

RN
日本人の先生ですが、皆帰国子女なんです。個別に解いていって、その後の解説を先生が日本語でやる形式です。
なので英語の会話は発生していません。その部分も英語でやり取りできるのもメリットがあるだろうし、日本語だから分からない単語が理解しやすいということもあると思います。一長一短って感じですかね。
私は英語に触れる回数重視で選んだんですけど、他の方がどんな基準で英語保持をしているのか、とても興味があります。

Karin
皆さん、どのくらいの頻度なのでしょうか?

あや
対面教室は現在週1回です。文法をやった後は、少し長めの長文読解で、クラス時間内はすべて英語です。

家庭での取り組みについて

まいこ
家の中では「テレビを見るなら英語を中心に。」と言っていて、Netflixやディズニーチャンネルを契約して英語で見てもらうようにしています。

あとは友だちとの繋がりもやっぱりモチベーション維持には欠かせないと思うので、上の子はメールで前のクラスの子とやり取りしたり、というのを楽しんでやっています。下の子は私がいないと繋げられないのですが、ちょっとそこはできていない状況なので、友だちとの関わりをもう少し復活させてあげたいな、と今試行錯誤しているところですね。

あや
家では英語の本を読んでいるのと、我が家でもテレビなどを見るスクリーンタイムを英語にしてます。「長い時間のスクリーンタイムはダメだよ。」と伝えているのですが、英語だったらいいよって。
英語のNetflixでサイエンス系のEmily`s wonder labとか、Ask the StoryBotsというものや、同じくNetflixのThe Who Was? showという「ベンジャミン・フランクリンとガンジーが一同時代に生きていたらどんなことが起こるか?」みたいな番組を見てます。内容も面白いし、社会的なトピックを取り扱っていたり、歴史も学べたり。

他には、2週間に1回ぐらいの頻度で、今も現地の友だちとビデオ通話で話すようにしてます。いつか再会した時に以前のように英語で話したい、という気持ちを持ち続けることで、スピーキング力の維持へのモチベーションを保っています

こういった取り組みをしているので、「本は読めるし、聴き取れる。スムーズなコミュニケーションが取れる状態」は維持できているかと思います。ただライティング力が落ちてるな、とはすごく感じています。駐在同行国の学校の授業でオピニオンライティングの型をやっていたのに、忘れていることに最近ショックを受けました。

RN
お子さんのライティング力が落ちていることに気付くあやさんがすごいです。

Karin
皆さんのお話を伺っていると、リーディング・ライティング・リスニング・スピーキング、とやってないところがやっぱり落ちてくるということですよね。駐在同行国で毎日英語に触れていた頃と比べたらどうしても機会が少なくなるので、当然のことではありますよね。

あや
ひとつ気をつけてるのは厳しく言いすぎないようにするということです。
学校で国語・算数・理科・社会をやらなきゃ、という状況の中で、英語は息抜きというか、楽しいこととして位置づけたい。」という想いがあって。家では「オピニオンライティングをちょっと忘れてるから、これをやろうね。」程度の声掛けに留めて、 塾で見てもらうようにしてます。家で厳しくやってしまって、嫌になってしまわないように。

家庭での兄弟間の会話の言語

Karin
ちなみに家庭での兄弟間や姉妹間での会話は日本語ですか?英語?

RN
日本語です。

まいこ
うちも主に日本語ですが、どっちかが英語で反論したりとか、ちらっと英語のフレーズを言うと、そこから英語に切り替わることがまだあります。

あや
うちは帰国したばかりの頃は、ちょこちょこ英語で話してたんですけど、1年以上経った今はもう完全に日本語で話すような感じです。
息子の方が英語を維持したい気持ちが強いから、たまに突然スイッチが入って英語でバーっと話し始めるんですけど、娘は日本語の方が言いやすいから、日本語で返しちゃうみたいなところがあって。兄弟間では今は基本的に日本語ですね。

まいこ
あやさんのお子さんもそうだと思うんですけど、同じ年数海外にいても兄弟間で英語に対するモチベーションが全然違うなっていうのを今感じてるところです。
うちは下の子の方が圧倒的にモチベーションが高くて、「どうしてもキープしたい。絶対に忘れたくない。」と言っています。上の子はモチベーションがないわけじゃないんですけれども、ゆるく頑張ろうみたいな感じかな。性格にもよると思うんですけど、こんなにも違うんだなっていうのを見てて興味深いですね。

Karin
兄弟間でも英語維持のモチベーションが結構違うものなんですね。皆さんお子さんの意志やモチベーションをきちんと把握して、それに合わせた対応をしていることが印象的です。

10年後くらいにまた集まって、今お子さんはどうなってますか?というお話を伺いたいです。

今日の感想

キャリー
皆さん今住んでる地域や状況が違うので、英語の教育の維持の話など、どういう風にされてるのかなとすごく興味深く話を聞いてました。
今回お子さんの英語の維持に関して、皆さんが試行錯誤されている様子がよくわかりました。とても貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

RN
今日こういう機会を与えていただいて、 他の方が本帰国に向けて早くから準備されていたり、とても細かくお子さんを観察されてるのを聞いて、またモチベーションが上がりました。語学維持など帰国子女だからこそ得られた部分を活かせるような子育てを頑張ろうと思いました。

まいこ
皆さんのお考えや、工夫、体験談などを具体的に伺うことができて、とても参考になりました。その時の最善を尽くして、それぞれのお子さんに合った方法を模索し選択し挑戦されていらっしゃることがわかり、自分たちがとっていた行動と重なる部分があり安心しましたし、引き続き頑張っていこうと元気をもらえました。
ありがとうございました。

あや
今日は貴重な機会をいただき、ありがとうございました。日本に帰ってきてから友だちはできたけれど、やっぱり海外での話とか英語の維持っていうところはすごく話しにくいトピックで。海外にいたことが、日本に帰ってきて活きている体験談を聞けてすごくほっとしたし、共感できることばかりで、心が暖かくなりました。すごく楽しかったです。

まい
今日は長時間ありがとうございました。これから日本に帰る身として、こういうことを準備した方がいいなとか、子どもに日本語の勉強面であまり厳しくしないようにしようとか、私の心構えも非常に勉強になりました。まだまだたくさんお聞きしたいことがあります。

おわりに

今回4人の運営メンバーで集まって、本帰国後の生活についてさまざまなトピックで話を伺ってきました。公立小学校の国際学級や、駐在国での経験が日本での生活でどのように活きているか、などが話題に挙がっていますので、前編、中編の記事もぜひ併せてご覧ください。

海外駐在同行が決まり渡航する前には、現地での生活やお子さんの学校について情報収集を熱心にする方がほとんどだと思います。
一方で、日本に戻る本帰国の際には「母国に戻る」ということで安心して帰国したところ、「逆カルチャーショックで苦労した。」という経験談を聞くことがあります。
実際にお子さんを連れて本帰国したメンバーのリアルな声が、本帰国前の皆さんの不安の解消や日本での新生活への希望となれば幸いです。

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