知っておきたい、女性ホルモンのお悩み別Q&A -現役女性医師監修!海外在住日本人のための健康講座シリーズvol1:女性ホルモン(後編)

女性ホルモン後編アイキャッチ

●監修:北出佐知子医師

女性は毎月のサイクルで、またライフステージによって、女性ホルモンの影響を大きく受けます。
特に海外駐在家族の場合は、「大きな生活環境の変化に伴いその影響がより強く出てしまう」なんてケースもよくあります。
そこで駐在ファミリーカフェでは、サチコ先生こと北出佐知子医師をゲストにお迎えし、女性ホルモンをテーマにオンラインカフェを開催しました。

ご主人の海外転勤に同行し、海外生活10年以上のサチコ先生。
オンラインカフェ前半では女性ホルモンの基礎知識をご説明いただき、後半では参加者の皆さんからの質問にご回答いただきました。
このページでは、《海外在住日本人のための健康講座シリーズvol1》と題し、オンラインカフェ後半の内容ーPMSや更年期との向き合い方、ピルについての情報などをまとめています。
サチコ先生の医学的見解&駐在妻としての立場からの回答には、他ではなかなか得られない日々の不調との向き合い方のヒントがたくさん!
女性ホルモンに関する悩みをお持ちの方は、ぜひこの記事をご覧ください。

★オンラインカフェ前半部分:『女性ホルモンの基礎知識:海外在住日本人のための健康講座シリーズvol.1:女性ホルモン(前編)』

●監修:サチコ先生のプロフィール●

北出佐知子医師

本名:北出佐知子。1974年生まれ。東京都出身。英領バミューダ諸島在住。都内の医学部を卒業後、大学病院循環器内科に勤務ののち、シンガポールでGP (総合医)として日系クリニックに勤務。2013年より、オンライン・ホームドクターとして在外邦人のサポートを行なっている。Peace of Mind Medical Services 代表
プロフィールと経歴
◇Peace of Mind Medical Services
◇Instagram

サチコ先生
私は2011年から夫の仕事の都合でシンガポールに住むことになり、現地の日系クリニックで総合医として働き出しました。その頃から健康問題で困っている方の相談を受け始め、かれこれ8年ほどオンラインで世界中に住んでいる方からの医療相談・健康相談を受けています。今回のオンラインカフェやこの記事を通して、皆さんにご自分の体のことをよりよく知っていただければ嬉しいです。

現代人にはストレスフリーな生活は不可能!?

まず前提としてサチコ先生が語られたのは”現代人にはストレスフリーな生活は無理”ということでした。
“女性ホルモンの嬉しくない影響を減らすためには、ストレスを減らした方がよい”
というセリフを耳にしたことがある方は多いでしょう。

確かに、過度のストレスは心身に悪影響を及ぼしますし、実際ストレスケアは大きな課題のひとつです。
しかし私たちは常にストレスに晒されています。19世紀に電球が発明されて以降、人は日が暮れてからも起きている生活を始めました。夜に起きている時点で体にはストレスです。

それに加えて海外で生活をする日本人には、慣れ親しんだ土地から離れて暮らすという大きなストレスも、のしかかります。
空気、水、食べ物、言語
ー海外在住の皆さんを取り巻く環境そのものが、日本にいた時とは大きく異なります。
渡航した直後はもちろん、日常生活でもずっと強いストレスに晒されている状態です。
絶え間ないストレスにより脳や腸のバランスや、サーカディアンリズム(体内時計)が崩れることで、女性ホルモンのサイクルも大きく影響を受けて崩れてしまいます。

そのためストレスフリーを目指すのではなく、ご自身の置かれた状況の厳しさを客観的に把握し、ストレスを軽減させる方法の実践や、医療や代替療法に頼ることが大切です。

サチコ先生
駐在家族の皆さんは、かなりキツい環境で日々生活をしています。まずはそんな自分を認めてくださいね。

PMS・PMDD・月経困難症を軽減させる6つの方法

Aさん
PMSがつらいです……。月経前のイライラがひどくて、自分でも止めることができません。どうすればいいですか?
Bさん
月経痛が重くて、毎回痛み止めを飲んでいます。痛み止め以外で対処する方法を知りたいです。

PMS・PMDD(月経前不快気分障害)・月経困難症に悩む方は女性全体の70%と言われています。オンラインカフェの事前アンケートでも、やはりPMSやPMDDに関する質問が多く寄せられました。

サチコ先生
普段から月経痛があって、痛み止めを飲むのが当たり前だと思っている女性がすごく多いです。でも、月経痛って本来はは耐えられるレベルであるべき。
なので、痛み止めを飲む必要がない状態が正常だと考えた方がいいと思います。これは痛い時に我慢して薬を飲むなと言っているのではなく、飲まなくても済むような状態を目指して体をちょっと整えた方がよいという意味です。

※月経痛がひどい方は婦人科疾患、例えば子宮内膜症・子宮線筋症・子宮筋腫といった病気が隠れている可能性もあります。下記の方法を試す前にオンラインカフェ前半の記事で紹介している4つのポイントをご確認の上、必要な場合は病院を受診してみてください。

サチコ先生によると、月経痛に限らず、PMS・PMDDを含む女性ホルモンによる症状を軽減するためには、以下の6つの方法があるそうです。

1.運動
2.食事
3.サプリメント
4.漢方
5.ピル
6.代替医療

それぞれについて詳しくご説明します。

1.運動

PMDDの原因の一つが、女性ホルモンの分泌変化に伴って生じる、神経伝達物質であるセロトニンやGABAの働きの低下です。
(※詳細は女性ホルモンの基礎知識2ページ目をご参照ください)
運動をすることで神経伝達物質のGabaとセロトニンを増やすことができるため、精神的な安定に繋がり、PMSやPMDDの症状が軽くなります。
また、プロゲステロンの作用で月経前はむくみやすくなります。運動はむくみに対しても有効です。

サチコ先生
運動の内容はウォーキングやジョギングなど、何でもOKです!
比較的効果が高いと言われているのはヨガなので、試してみるのもいいかもしれません。

2.食事

食事に気をつけることで、むくみを減らすことができます。
むくみは月経前に起こりやすく、むくむと便秘や下痢、頭痛、体重増加などあらゆる症状が出てきます。
食事でうまくコントロールして水分の排出をスムーズにすることがポイント
塩分は控えめにし、カリウムをしっかり取ることで排泄の量を増やしましょう。具体的には葉物野菜や果物を食事に取り入れることがおすすめです。

サチコ先生
食事&運動に気をつけ、むくみを減らすことで劇的に症状が改善するケースもあります。
あと、中年期(40歳〜64歳までの時期)は食事に気をつけていないとすぐに栄養不足になります。カロリーはとっているけれど、栄養素が足りず、なんとなく不調が続くというケースも。特にビタミン・ミネラルが不足しやすいので、意識的に取り入れていく必要があります。

3.サプリメント

サプリメントは女性ホルモンの分泌自体を動かすものではありません。しかし、二次的に起こる反応を和らげる効果が非常に高いです。
ただしサプリメントの効果は体質によって違いがあり、同じサプリメントでも効くかどうかは個人差があります

サチコ先生
海外だと、チェストツリー(チェストベリー)、月見草オイルなどを使ったものが店頭によく並んでいます。
日本だと100年以上前から「命の母」という、今で言うサプリメントが愛用されています。現在でも、小林製薬から”命の母ホワイト”がPMS用に、”命の母”シリーズが更年期用に販売されています。これは漢方のように生薬を配合していますが、日本古来のものを日本人に合わせた配合で作っているため評判がいいです。
サチコ先生
ちなみに月経関連で推奨されるサプリメントには海外製でも日本製でも、ビタミンB群が一緒に入っていることが多いです。これは先ほど食事の項でお伝えしたように栄養不足を補う目的で入れられています。
腸内環境が悪くなって食事から効率的に栄養が取れないという方もいるため、サプリメントでビタミン・ミネラルをとることで栄養状態が改善され、症状がよくなっているというケースもあります。
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